恋をして、私はだまされた

 

「アナタのことがスキです」
「ニッポンでいっしょにくらしたい」

こうした愛情表現のことばをメッセージで送り、SNSで知り合った相手に恋愛関係にあると錯覚させる。
 

そして、ことば巧みにお金をだましとる。

犯人は、日本に留学中の外国人などを装って、近づいてきます。

“国際ロマンス詐欺”と呼ばれていて、去年、山形県内の被害額は1億円を超えました。特に、若者の間で被害が広がっています。

【恋人は“マッチングアプリ”で】
出会いのきっかけは“マッチングアプリ”でした。

“国際ロマンス詐欺”の被害者は去年、県内で男女あわせて13人。

このうち20代の男性5人は、マッチングアプリで知り合った外国人の女性を装った人物にだまされていました。

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同じ趣味や価値観の人と出会いたい。

好みのタイプの人を見つけたい。
 

男女が恋人を探すための手段の一つですが、いま大学生の間ではマッチングアプリを使うのが当たり前になっています。
山形市内で大学生に聞いてみました。

20歳男性 大学2年生
「関東の人とかがやっているイメージがあるんですけど、思ったより山形でやっている人はいるって、よく聞きますね」


22歳男性 大学3年生

「周りでは結構、利用していますね。異性と連絡とって会いにいく。会ってそのまま付き合っている人とかもいますね」


16人中、半数を超える9人は自分自身もしくは友人などが使っていると回答しました。

 

【会いたいなら…】
ステキな出会いを見つける人がいる一方で、お金を要求されたという人も。

22歳男性 大学1年生
「相手から『会いたいなら、電子マネーで払ってほしい』と。1万円って言われたけど、手持ちが5千円しかなかったので、5千円しかないって言ったら『じゃあ5千円でもいいよ』と言われた。『あなたには払いたくない』って断りました」


この男性は、被害に遭わずにすみました。

しかし、男性の友人は“会う条件”として電子マネーを購入するよう要求され、お金をだまし取られてしまったといいます。

22歳男性 大学1年生

「恋愛感情を利用された感じじゃないですかね。実際にお金を払っているわけですから、会いたいっていう気持ちが強くないと払わないですよね、やっぱり」


【お金で証明して】

“国際ロマンス詐欺”は、人の恋愛感情を利用して、ことば巧みにお金をだましとるのが特徴です。

日本に留学中の外国人などを装い、被害者の悩みごとや身の上話に日本語のメッセージでやりとりを重ね、少しずつ恋心を抱かせていきます。

山形県警に取材すると、マッチングアプリで被害にあった20代の男性5人も会うことを条件に、お金を要求されていました。

会ったときに、男女の関係になることを約束したうえで、こんなやりとりをしていたといいます。

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「会いたい」という思いを募らせた男性をターゲットにして、犯行に及んでいるのです。

若い男性の場合、多額の現金を持っていないと考えられることから、犯人はコンビニなどで電子マネーを購入するよう要求する狡猾さもあわせ持っています。

こうして20代の男性5人は、一度も会うことなく、お金をだましとられました。中には、5回にわたって約110万円を支払ってしまった男性もいました。 

【相談できない…#9110】

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こうした国際ロマンス詐欺の被害は“氷山の一角”の可能性があります。

警察によると、10代や20代の被害者は、恋愛感情を抱いていた相手からお金をだまし取られ、ショックを受けたり、恥ずかしいと感じたりして、周囲に相談できない人が少なくないといいます。だまされたお金は「勉強代」として捉えるようにして、警察に相談しないケースがあるというのです。

もし、マッチングアプリで知り合った人からお金を要求されたら、いったん冷静になってください。

相手のことを「スキ」でも、お金を払う前に、まずは周りに相談してください。

家族や友達に相談しづらい場合は、警察の相談電話「#9110」もあります(山形県警は毎日、24時間態勢で相談を受け付けています)。

“国際ロマンス詐欺”は、人の感情につけこんだ悪質な手口だということを知り、少しでも怪しいと思ったら、身近な人や警察に相談して、被害を防いでほしいと思います。

 

 

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やままる   

山形局記者 | 投稿時間:13:22