2021東北冬点描 「壁に挑む冬 ボルダリングジムの1日」

 

「2021東北冬点描」。

 

東北各県の冬を1日で切り取る映像企画シリーズ。

 

例年厳しい冬となる山形県庄内地方の

ボルダリングジムが今回の舞台です。

 

ボルダリングジムは、

冬でも体を思い切り動かせるとあって、

静かな人気となっています。

1日をカメラで点描しました。

 

 

「ボルダリング」はスポーツクライミングの1種目として、

東京五輪でも初めて採用された競技です。

 

3メートルほどの高さの壁には、さまざまな「ホールド」と呼ばれる「突起」が付いていますが、登る際、

すべての「ホールド」を使って登っていいわけではありません。

 

難易度別に10級から初段まで分けられた「課題」があり、

「課題」ごとに使える「ホールド」が決まっています。

ホールドの横に「課題」ごとに様々なマークで貼ってあります。

 

例えば、5級の「x」課題では、「x」マークが貼ってある

「ホールド」を使って登ります。

 

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山形県三川町にある

ボルダリングジム「Key Stone(キイストーン)」。

 

ジムでカメラを構えていると、

さっそく、必死に登っている人に目がとまりました。

話を聞くと、まだ通い始めて1か月という男性で、

お名前は根上茂太さん(42)という方でした。

 

根上さんは、ご自分の年齢に対して、

「こういうスポーツを始めるのはちょっと遅いかなっていう気がするんですけど」

と前置きをして、いろいろ話をしてくれました。

 

仕事は交通関係ですが、やはりというか、

新型コロナの感染拡大で、仕事も減っているということでした。

 

《根上さん》

「仕事がちょっと暇になって、自宅待機する日が多くなって」。

「なんかこういうボルダリングの課題を

クリアすることで人生いろいろな問題があっても

乗り越えて行く元気が出てくる」。

 

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ボルダリングは、重力にあらがって高みをめざす競技です。

手がかりとなるのは、さまざまな形のホールド。

 

それが意外につかみにくいものだったり、

次のホールドが遠かったり。

たった3メートルの高さですが、ゴールにたどり着くまでに、

多くの難関があるのです。

 

体験すると、その難関を乗り越える達成感が

ほかでは得がたい体験だというのです。

 

根上さんがこの日にトライしていたのは

中級レベルの5級の課題です。

 

《根上さん》

「行けそうでいけないのが悔しくて楽しい、自分と向き合って、

壁の向こう側に自分がいて自分と戦う感じ」

根上さんは、この日3時間みっちり課題をクリアしようと

もがいていました。

 

このところ、週に2,3回はここに来ているという根上さん。

意外にも仕事で得ていた達成感を、ここで感じているということでした。

 

《根上さん》

「ふだん仕事でお客さんに感謝されたり、

1日の仕事が終わったときの達成感というのが

今は感じられない状況、そんな感情を

ボルダリングの壁に挑むことで感じられるのがいいんです」。

 

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《根上さんへの応援》

「ガンバ、ガンバ」

ジムで出会った人からの声援を受けながら根上さんは

この日の課題だった5級を完全に登り切りました。

 

ボルダリングジム代表の渡邉康弘さんによりますと、

新型コロナウイルスの影響で今まで開いていた

登り方講習会を去年は自粛していたということです。

 

しかし、年明けから、

ジムに来てくれる人が少しでも笑顔になるきっかけを作りたいと、

感染対策を徹底し1日限定で講習会を開催することを決めました。

 

1月17日は子ども向けの講習会を少人数で開催。

ジム内では感染対策として

消毒やマスクの着用を徹底していました。

 

講習会の様子を撮影していると

すいすいと登る子もいれば、力を出せない子もいました。

 

小学3年生の阿部桃子ちゃん(9)。

桃子ちゃんは体を動かすことが大好きで、

クライミングは何度かやったことあるものの、

講習会があると聞いてお母さんにお願いして、初めて参加しました。

 

話を聞いてみると、

 

《桃子ちゃん》

「高いところが苦手なので…」と

自分の弱いところを正直に話してくれました。

 

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桃子ちゃんはほかの子が登っている姿を目で追ったり、

大人にアドバイスをもらったりしながら何度も同じ課題に挑戦。

 

桃子ちゃんが挑んでいる課題の最大のポイントは、

いいところまでいくものの、高さ2メートルほどのところから上にあるピンクの大きなホールドに手が伸びないことでした。

 

この日はみっちり1時間ずっとその課題に

何十回も挑戦し続けていました。

 

ゴールのホールドに両手がつけばクリアでしたが、

片手が届いたところで、しっかりつかむことができず落下。

この日は疲れ果て、桃子ちゃんの1日の挑戦は終了しました。

 

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《桃子ちゃん》

「ちょっと怖かった」

「ゴールにちょっと行けなくてすごく悔しいです」

「今度またチャレンジして絶対ゴールしたいです」

 

《桃子ちゃんの母》

「生き生きとしているし、ほんとに頑張っているので

見ていて楽しいです」。

「自分の力で考えて登るっていう意味でも、

すごく大げさですけど

人生を切り開くような力になるような気がして、

とても見ていて力になります、私も」。

 

《桃子ちゃん》

「人生を切り開けるように頑張りたいです」

「まめはできてないけど、(手のひらが)赤くなっちゃった」

 

子どもから大人まで、目の前にある壁に挑むことで、ほかでは得られない体験ができるボルダリング。

 

その魅力にひかれたそれぞれの人々の思いに触れた1日でした。

 

ボルダリングジム代表・渡邉康弘さんによりますと、

新型コロナの影響でジムに来るお客さんの数は

減っているということです。

 

ただ、こういうときだからこそ、壁に向き合って得られた経験や

ここでしか出会えない人たちとのつながりを

大切にしてもらえればうれしいと話していました。

 



やままる  

山形局映像グループ | 投稿時間:12:15