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2018年1222日放送 午後900分~NHK-FM

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『サンタが泣いた!』

原案:田口愛佳、西川怜、下尾みう

脚本:北阪昌人

★参考:ブルーベリー、浅漬け

出演

西川怜、田口愛佳、下尾みう、山寺宏一

あらすじ

ここは、北欧のとある氷の洞窟。その中で、ダッシャー、ヴィクセン、コメットという三頭のトナカイは、やる気を失っているサンタを心配していた。なぜ急にやる気を失ってしまったのか、その原因を考えるトナカイたちの前に、サンタがやってくる。溜息をつき、トレードマークの真っ赤な服を脱ごうとするサンタを止めるために、トナカイたちはやる気を失った理由を尋ねる。すると、サンタはポケットから一通の手紙を取り出し…。果たして、そこに書いてあった内容とは…!?

人物相関図

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ナレーション:ここは、北欧のとある氷の洞窟。天空には、オーロラが美しく輝いていますが・・・洞窟の中では、ダッシャー、ヴィクセン、コメットという三頭のトナカイたちが、心配そうな表情で話し合っています。


ダッシャー:ねえねえ、やばいよね。

コメット:ああ、ヤバイヤバイ、

ヴィクセン:ヤバイって、何が?

ダッシャー:そんなこともわかんないのか? ヴィクセン!

コメット:そうだよ、そんなこともわかんないのか?

ヴィクセン:え? なになに?

ダッシャー:そりゃあ、決まってるっしょ、

コメット:そうだよ、決まってるっしょ、

ヴィクセン:なに?

ダッシャー・コメット:(同時に別々のことを言う、ダッシャーは、サンタさんだよ! コメットは、お腹がすいたんだよ)。

ダッシャー:ええ? コメット、おまえ、今、お腹がすいたっていった?

コメット:言ったけど、なにか悪い?

ダッシャー:いやいや、ボクがヤバイっていったのは、

コメット:お腹がすいて動けないってことじゃなくて?

ダッシャー:サンタさんだよ。

コメット・ヴィクセン:サンタさん?

サンタ:ふ~ああ~、あああああ・・・・。

ダッシャー:ああやって溜息ばっかりついてる。しかも、ゆうべなんか・・・。

サンタ:ああ、今年は、やめたいなあ、世界中にプレゼントを配りにいくなんて、は~やめたいなあ・・・。

ダッシャー:めっちゃやる気なくしてるんだよ。ヤバイよ、ヤバイよ、このままだと、子どもたちにプレゼントが届かない、とんでもなく淋しいクリスマスに、なっちゃう!

サンタ:はあ・・・やめよう、そうだ、もうサンタなんか、やめよう・・・。

コメット:ねえ、どうしてサンタさん、急にやる気なくしちゃったんだろうね。

ヴィクセン:そりゃああれじゃね? ボクたちがダメだからでしょ。

ダッシャー:自信たっぷりに言うなよ。

コメット:きっと、あれじゃないかな。ひとにプレゼントをあげるばっかりで、自分はなんにももらえないから、つまんなくなっちゃったんだよ。そうに違いないよ。

ヴィクセン:なるほどねえ、それはわかるなあ。ボクもさあ、誰にも褒められなかったら、掃除なんかやんないもんね。

ダッシャー:でもさあ、今まで、何十年も愚痴ひとつこぼさず、やってきたんだよ。なんで急に今年になって・・・。

コメット:疲れちまったのさ。わかるなあ・・・ボクだってそうさ。ときどき、ふっと、やっていることが虚しく思える瞬間がやってくるのさ。手ごたえっていうやつを見失っちまうんだ。わかるぜ、サンタさん、わかるぜ・・・。あんた、欲しいんだろ? て・ご・た・え。

ダッシャー:どう思う? ヴィクセン、サンタさんのこと、

ヴィクセン:そうだね、ダッシャー、サンタさんはねえ・・・

コメット:ってボクの話、聞いてよ。

ダッシャー:あ、サンタさんが来た!

ヴィクセン:よし、この大きな岩の影に隠れよう。

サンタ:はぁ~、はぁ・・・。

ダッシャー:やっぱり溜息ついてる。

サンタ:こんな服なんか、着たくない、もう、こんな服なんか、

ヴィクセン:あ、サンタさんが真っ赤な服を脱ごうとしているよ、

コメット:暑いんだな、洞窟の中は、しっかり暖房きいてるから。

ダッシャー:そうじゃないよ! とめなきゃ!

ダッシャー:サンタさん!

サンタ:おお、ダッシャー、

ヴィクセン:サンタさん、

コメット:サンタさん、

サンタ:ああ、ヴィクセンにコメットも一緒か。

ダッシャー:どうしたんですか? このところ、溜息ばかりついて、

ヴィクセン:サンタさんのトレードマークの赤い服まで脱ごうとして、

コメット:やっぱ、あれっすよね、誰にもほめてもらえないから、虚しくなったんですよね?

サンタ:・・・すまない・・・お前たちトナカイたちには、関係ないことなんじゃが。

ダッシャー:そんなこと言わないでください!

サンタ:ダッシャー、

ダッシャー:どんな吹雪でも、どんなに寒くても、ボクら一緒にプレゼントを配ってきた仲じゃないですか、

ヴィクセン:そうですよ、話してください。

コメット:やっぱあれっすよね、時給をあげてほしいとかですよね?

サンタ:実はなあ、この間、年末の大掃除をしていたら、これが出てきたんじゃよ。


ナレーション:そういってサンタさんがポケットから出したのは、一通の手紙でした。そこに書いてあった内容とは・・・。


コメット:なるほど、ふんふん、なるほど、

ダッシャー:コメット、なんて書いてあった?

コメット:いや、ボク、字、読めないし。

ヴィクセン:ちょっと、お前さぁ、どれどれ、最愛なる私の夫、サンタさんへ

サンタ:わしの奥さんからの手紙じゃよ。

サンタの奥さん:おじいさん、毎年毎年、世界中の子どもたちのためにプレゼントを届けるあなたを、わたしは誇りに思ってますよ。この手紙はちょっとした、いたずらです。きっと読まれないだろうけど、書いてみますね。わたしはねえ、おじいさんに、生涯でたった一度だけ、プレゼントを、お願いしてみます。わたし、赤いマフラーが、ほしいんです。もし、もしも、これを読んでくれたら、お願いしますねえ。あなたの妻より

ダッシャー:サンタさんの奥さんは?

サンタ:とっくに、天国にいっちまったよ。

ヴィクセン:そうなんだ。

サンタ:もっと早くにこの手紙を読んでいればなあ・・・。世界中のひとを幸せにしたって、自分のいちばん近くのひとを幸せにしなかったら、何にもならない、わしの人生は、なんだったんだろう・・・。そう思ったら、途端に、やる気がなくなってしまってなあ、はぁ~

コメット:おばあさん、マフラーもらえなかったんだな、可哀そうに。

ダッシャー:こら、コメット、そういうこと言うなよ。

コメット:仕方ないじゃん。あげられなかったもんは、どうしようもないんだから、まあパパッと気持ち切り替えてさあ、

ヴィクセン:そんな簡単にいかないだろ。

サンタ:実は・・・買ってあんたんじゃよ、赤いマフラー。ほら、このとおり、

ダッシャー:ほんとだ。

ヴィクセン:綺麗な色。

ダッシャー:あったかそうだ。

コメット:なんですぐにあげなかったの?

サンタ:びっくりさせようと思って、クローゼットに隠しているうちについ忘れてしまったんだ、ほかのプレゼントのことで、頭がいっぱいで・・・。つい身内が後回しになっちまうんじゃよ。いちばん大切にしなきゃいけないものを、後回しにしてしまうんじゃあ・・・。はぁ~。


ナレーション:ダッシャー、ヴィクセン、コメットの三頭のトナカイは、必死に、考えました。


ダッシャー:なんとか、サンタさんを元気にすることはできないかな。

ヴィクセン:やっぱり、美味しいものでも食べればいいんじゃない?、

コメット:ぱーーっとカラオケでもいけば、気が晴れるんじゃないかな。

ダッシャー:なんとか、元気になってほしいなあ、サンタさん。


ナレーション:そうして、三頭はある作戦を思いつきました。


コメット:どうかな、それらしく、見える?

ダッシャー:写真でしか見たことないけど、まあ、そんな感じかな、

ヴィクセン:あとは、話し方だよ、コメット、ちょっとやってみて、

コメット:どうも、どうも、おじいさん、お久しぶりでございます。

ダッシャー:もっとおばあさんっぽくできないかな。

ヴィクセン:そうだよ、おばあさんっぽくなくちゃ、

コメット:どうも、どうも、おじいさんさん、お久しぶりでございます。あなたの妻ですよ、サンタばあさんですよ。

ダッシャー:はい、ダメ!

ヴィクセン:はい、ダメ、

ダッシャー:そんなんじゃ、バレちゃうよ。

コメット:って、ごちゃごちゃうるさいよ! だったら、自分でやってみろよ!

ダッシャー:簡単だよ、いいか、どうも、どうも、おじいさん、お久しぶりでございます。

コメット:全然、ボクのほうがいいじゃん。

ヴィクセン:どうも、どうも、おじいさん、お久しぶりでございます。

コメット:同じじゃん!


ナレーション:三頭が考えたのは、一頭がサンタさんの奥さんになりすまし、枕元に現れるという作戦でした。


サンタ:(いびきをかいている)

ヴィクセン:寝てるね、

ダッシャー:よく寝てるね。コメット、準備はいいか? あれ? コメットは?

ヴィクセン:ったく、肝心なときになにやってるのかな。

ダッシャー:あ、来た来た、もう、遅いよ、コメット、

ヴィクセン:おお、なんかルックス、いい感じに仕上がってるじゃん。

サンタの奥さん:どうもどうも、お久しぶりでございます。

ダッシャー:いいね、うまくなってるよ。

ヴィクセン:じゃあ、起こすぞ。サンタさん、ねえ、サンタさん、

サンタ:ん? あ、ああ、な、なんだ、こんな夜中に、

ダッシャー:会ってほしいひとがいるんだよ。

サンタ:会ってほしいひと?

ヴィクセン:さあ、コメット、頼んだぞ。

サンタの奥さん:どうもどうも、おじいさん、お久しぶりです。

サンタ:お、おおお! おおお! ま、まさか、まさか、おまえは、

サンタの奥さん:はいはい、あなたの妻ですよ、

サンタ:ゆ、ゆ、夢じゃなかろうか・・・

サンタの奥さん:おじいさんを残して、先に逝ってしまって、ごめんなさいね。

サンタ:い、いや、それは、まあ、仕方ない。

ダッシャー:ほら、サンタさん、あれ、

サンタ:あれ?

ヴィクセン:あれ、赤い、マフラー、

サンタ:おお、おお、そうじゃったそうじゃった。おい、おまえ、

サンタの奥さん:はいはい、なんでしょう。

サンタ:手紙、見つけたぞ。生きているうちに、見つけてあげられんで、すまなかったなあ。ほれ、赤いマフラー、実は買っておいたんじゃあ、おまえにあげるためになあ。

サンタの奥さん:まあ、素敵なマフラー。わたし、こういうのが、ほしかったんですよ。

サンタ:そうかいそうかい。

ダッシャー:コメット、めっちゃうまくない?

ヴィクセン:ほんと、まるで本物のおばあさんみたい。

ダッシャー:あ、

ヴィクセン:え?

ダッシャー:泣いてる、サンタさんが・・・泣いてる。

サンタ:すまなかったなあ、おまえには苦労ばかりかけて。

サンタの奥さん:何を言ってるんですか、わたしはねえ、おじいさんが、誇りでしたよ。どんなときでも、必ずプレゼントを届ける。それを何十年も続けるなんて、並大抵のことでは、できませんから。

サンタ:そうかいそうかい、うう、ううう、泣けてくる・・・。

サンタの奥さん:じゃあ、わたしは、そろそろ、これで、

サンタ:ええ? もういっちまうのかい?

サンタの奥さん:姿は見えなくても、ずっとずーーっと、一緒ですよ、あなたと。

サンタ:おおおお、

ダッシャー:あ、消えた。

ヴィクセン:すげえな、コメット、いつの間に練習したんだ。


ナレーション:しばらくすると・・・


コメット:ふう、ごめんごめん、お腹すぎすぎて、近くのコンビニ寄ってたんだけど、さあ、やりますよ、おばあさん役、

ダッシャー:やりますって、コメット、

ヴィクセン:って、どういうこと?

コメット:どうしたの? 目をまん丸くして・・・。

ダッシャー・ヴィクセン:ほ、ほ、本物??

コメット:ええ? どうしたの? ねえ、二人とも、ねえ、

ダッシャー・ヴィクセン:うわあああ!


ナレーション:サンタさんは、すっかりやる気を取り戻して、


サンタ:さあ、今年も、頑張るぞ。たくさんの子どもたちが、待ってるからなあ。おまえたち、頼んだぞ!

ダッシャー・ヴィクセン・コメット:はい!頑張ります!

コメット:でもなあ・・・ボクがいない間に、いったい何が起きたのかな・・・。

収録後のワンショット

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