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2018年113日放送 午後900分~NHK-FM

放送一覧

『新潟ガッツリ食べようマラソン!』

原案:小熊倫実、村雲颯香、太野彩香、西村菜那子

脚本:北阪昌人

★参考:こっちゃん、ちー

出演

小熊倫実、村雲颯香、太野彩香、西村菜那子、山寺宏一

あらすじ

今年、初開催となる、新潟ガッツリ食べようマラソン、略してNGTマラソン。ドリンクが置かれる地点に新潟の美味しいものを取りそろえ、走る楽しみと、食べる楽しみの両方を感じることができるという画期的なマラソン大会。優勝候補は、新潟県出身の小熊倫実、秋田県出身の村雲颯香、兵庫県出身の太野彩香、長野県出身の西村菜那子の4人。果たして、優勝するのは誰なのか!?

人物相関図

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物語が読める ♪


アナウンサー:全国の駅伝ファンのみなさん、こんにちは! ええ、いい天気です! 新潟は、秋晴れです! 今年初めて開催されます。新潟ガッツリ食べようマラソン、略してNGTマラソン、実況中継をするのは私、万代橋男(ばんだい・ばしお)です。この大会は、ドリンクが置かれる地点に新潟の美味しいものを取り揃え、走る楽しみと、食べる楽しみの両方を感じることができる、画期的なマラソンです。応援するみなさんも、新潟ならではの食材に舌つづみを打ちながら観戦できるとあって、見てください! すごい数のギャラリーです! ええ、そのギャラリーの注目は何と言いましても、新潟出身の小熊倫実選手です。今大会、最年少のエントリーですが、優勝候補のひとりです!

小熊:私、小熊倫実は、怖かった。みんなが私に期待している・・・私は、自信がない。だって・・・いつも勝ってるのは、まぐれだから。

アナウンサー:そのほかにも、優勝候補がいます。ご紹介しましょう。秋田県からやってきた、村雲颯香。彼女のニックネームは、もぐもぐふ~ちゃん。食べることが大好きだそうで、今回は、走ることより食べることが楽しみと言っているそうです。

村雲:やべ、お腹がなってきた。めっちゃお腹がすいてる。食べるぞ~。でも、優勝もするぞ~。だって、優勝したらコシヒカリがもらえるんだって!

アナウンサー:まだまだ優勝候補がいます。続いては、兵庫県からエントリーしてきた、太野彩香。彼女はとにかく、お寿司が好きだそうで、お魚どころ、新潟のお寿司目当ての参加だそうです! すごい走りを見せてくれるんじゃないでしょうか! おおっと、今からエンジン全開です!

太野:あああ、やったるで! 勝ったるで~! 関西人の意地、見せたる。負けへんで!!

アナウンサー:そしてもうひとり、ダークホースともいうべき優勝候補が、長野県出身、西村菜那子です。体格を生かしたダイナミックなフォームの走りは、見るひとを圧倒! 4歳から習ってきたバレエが、さらに走りをなめらかにしていると言われています!

西村:不安は・・・ない。私がきっと、優勝する! だって・・・私は箱根駅伝が好きで、歴代優勝校を全部、言えるんだから。

アナウンサー:いよいよスタートの時が、迫っています!

アナウンサー:スタートしました!! さあ、優勝するのは・・・誰だ?!


ナレーション:新潟ガッツリ食べようマラソンの前日、実は、優勝候補の4人が、たまたま同じ中華料理店で食事をしていました。


小熊:ど、どうも、

村雲:こんばんは、

太野:まいど。

西村:初めまして、


ナレーション:4人は、お互いを意識しつつも、同じテーブルに座りました。


太野:明日は、まあ、私の優勝で、決まりやなあ。

西村:そんなこと、わからないよ。

村雲:ええっと、

太野:なに見てんの?

村雲:あ、これ? これはね、どこの中継地点で何が食べられるかを書いたマップ。そっか・・・お寿司は、15キロ地点かあ、

太野:寿司? どこ? ああ、ほんまや、寿司はええなあ、新潟の寿司、いやあ、楽しみやわ。

西村:あなたたちは、食べることしか興味ないのね。

村雲・太野:はい!

西村:って、めっちゃいい返事。どうやら、優勝するのは、私か、そこの小熊さん、どちらかのようね。

小熊:私は・・・あの、全然、ダメなんで、その、無理です。優勝なんて。

太野:またまた、そういうこと言ってるひとが、いっちばん速かったりするやん。よくおらんかった? テスト勉強全然してへんっていうひとが、めっちゃ優秀で、ああ、こいつの嘘にまんまとダマされて、一緒に遊んだ自分がアホやったわ~ってこと。

小熊:いえ、ほんとに、その、私、自信、ないんで。

西村:だったら出るのやめれば?

村雲:ちょっと、西村さん、そんな言い方しなくても。

西村:箱根駅伝で頑張ったひとたちの話、聞いたことある? 彼らはねえ、仲間にタスキをつなぐために、足が痙攣しても、体力が底をついていても、気力で、前へ前へと、進んだの。走ることは、戦い。それは・・・自分との闘い。最初から自信ないとか言ってるひとに箱根駅伝を語ってほしくないわよ!

太野:いや、語ってないし、小熊ちゃんは、ただ自信ないって言うただけやん。

小熊:そう・・・ですよね、私に走る資格、ないですよね。

太野:ってあんたも暗いなあ、もっとポジティブに、明るく考えたらどーなん? 明日は、美味しいもんも食べられるし、青空のもと、たくさんのひとに応援されながら走ることができる、なんちゅー幸せや、ってさあ。

村雲:まあ誰もが太野さんみたいにポジティブには、生きられないとは思うけど。

西村:とにかく、優勝は私、西村菜那子がいただきます!

太野:ある意味、カッコええなあ、そこまでいいきるんは。

村雲:ええ? 納豆コロッケパン? ポッポ焼き? この中継地点もたまりません。

太野:って村雲ちゃんは、食べることだけかい!

小熊:みなさん、すみません、私・・・

太野:まあ、そんなに哀しい顔せんと。さ、みんな、こうして偶然集まったんや。楽しいレースしましょう。な?

西村:箱根駅伝のひとは楽しくレースなんか

太野:わかった! わかった、箱根駅伝は、わかった。今夜は、楽しく、ご飯食べようよ、な?

村雲:ええ? 25キロ地点にタレカツどん? やばい、めっちゃ、食べたい!

太野:ってさぁ、あんた、なにもん?

村雲:食べたいんだ、もん。

アナウンサー:さて、新潟ガッツリ食べようマラソン、早くも、先頭集団が、他を大きく引き離しています。先頭集団は、優勝候補の4人、小熊倫実、村雲颯香、太野彩香、西村菜那子です!

小熊:ああ、苦しい、

村雲:ああ、カツどん、タレカツどん、

太野:ああ、寿司、寿司、

西村:ああ、箱根駅伝の選手たちに、負けたくない!

アナウンサー:今のところは、太野が他の3人を引っ張る形でしょうか。ぴったりくっついているのは、村雲。西村が虎視眈々と後ろで機会をうかがい、小熊は、やっとついていってる、という感じでしょうか。

小熊:はあ、つらい・・・なんでこんなつらいことしなくちゃいけないの?

西村:次の給水場で、水、飲みなさい。

小熊:え?

西村:右足のふくらはぎ、ちょっと痙攣が起きてるんじゃない? 脱水症状、気を付けて。

小熊:あ、ありがとうございます。

西村:最後まで走り切るの。

小熊:え?

西村:この4人で、最後まで走りきるの。いい? わかった?

小熊:どうして? どうして私なんか・・・。

西村:昔の自分に似てるから・・・。自信がなくて、いつもやめる理由を探してた、弱い自分。

小熊:西村さん・・・。

西村:あなた、いい走りするわ。きっといい選手になる。がんばりなさい。

小熊:はい!

太野:ええとこ、あるやん。

村雲:私もなんだかそう思えてきた。誰が勝ってもいい、ゴールまで、この4人で戦いたいって。

西村:優勝は、私がもらうけどね。

村雲:いいえ、優勝賞品のコシヒカリは、私がもらいます!

太野:あかんあかん、私が勝ちます!

小熊:私は・・・私は・・・あああああ、勝ちたい!

太野:言うた、初めて、言うた。

西村:それで、いいのよ、小熊さん。

アナウンサー:おっと、なんだか4人が話しているようですが、どうしたんでしょう・・・。これは・・わたくし、万代橋男には4人が楽しそうに走っているように見えますが・・・。これが、真のスポーツというものなんでしょう! ライバルが競い合いつつも、お互いを切磋琢磨していく。ああ、美しい、ああ、これぞ、スポーツ、これぞ、青春!

西村:さあ、遊びはここまで。ここからは、一気にいくわよ!

アナウンサー:おおっと、35キロ地点! ここで抜け出したのは、西村菜那子! ギアをひとつあげました! 驚異のスタミナです!

太野:そうは、いかへんで!

村雲:さっき食べたタレカツどんのパワーでいくわよ!

アナウンサー:そして、太野彩香、村雲颯香も、続く!

小熊:私は・・・私は・・・今までの自分を振り返った。私は今まで自分の手で何かをつかみたいと思ったことがあっただろうか・・・。今こそ、がんばるべきなんじゃないか! 私は、私をもっと好きになりたい。だから、だから!

アナウンサー:な、な、なんということでしょうか! 小熊倫実が、さらに、さらにギアを上げました!

西村:ま、まさか、無茶すぎる。ここでスパートをかけるなんて!

小熊:おりゃあああああああ! ゼッタイ、優勝してやる!!

太野:そんなアホな!

村雲:小熊ちゃん!?!?

アナウンサー:いやあ、まれにみる、デッドヒートでした。新潟ガッツリ食べようマラソンは、歴史に残る好レースになりました。

小熊:ああ、やりきった・・・。

太野:ああ、ゴール、できた。

村雲:ああ、きつかったけど、楽しかった。

西村:ああ、私は・・・最高のタイムを出せた。

アナウンサー:4人が同時にゴールするという異例の結果になりました、この大会。ビデオ判定の結果、なんと、4人が全員、優勝! ということになりました。素晴らしい・・・素晴らしいです。途中、4人の選手がお互いをかばいあい、励ましあう姿を見ることができました。マラソン万歳! 新潟万歳! 素敵な試合を、ありがとう!


ナレーション:その夜、中華料理店に4人の姿がありました。


太野:ああ、今まででいっちばん、充実感のあるレースやったわ。

村雲:私も、いっちばん、お腹がいっぱいになるレースだった。

小熊:みなさん、ありがとうございました! みなさんのおかげで、私は、ひとつ殻を破ることができました。

西村:ううん、小熊さん、それは私たちも同じこと。あなたのおかげで、殻を破れた。あのとき、ここでスパートを切るのは無謀だと思ったけど、あなたに引っ張られて、走り切ることができた。

小熊:西村さん・・・。

西村:ひとはね、自分ひとりでは成長できないんだね。ライバルがいて、仲間がいて、初めて超えられる壁がある。

太野:ええこというねえ、西村ちゃん。

村雲:ねえねえ、それより、ここのお店、餃子がめっちゃ美味しいんだよ。

太野:あんたは食べることだけかい。

村雲:あああ、よかった! 優勝賞品のコシヒカリ、4分の一でも、もらうことができて!!

西村:やれやれ。

太野:じゃあ、ソーダで乾杯やな。

小熊:最高のレースと、最高の仲間に!

4人:かんぱーい!

収録後のワンショット

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