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2018年922日放送 午後900分~NHK-FM

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『走れユウカ』

原案:沖侑果、磯貝花音、今村美月

脚本:北阪昌人

★参考:ノモモ、ちー

出演

沖侑果、磯貝花音、今村美月、山寺宏一

あらすじ

STU高校の休み時間。小説家を目指す沖侑果は徹夜をして原稿用紙800分の小説を書いたことをクラスメイトの磯貝花音、今村美月に話す。「走れユウカ」というタイトルのその小説は、自分の身代わりのために、ユウカが一生懸命に走る、というあらすじ。それを聞かされた磯貝と今村はすぐさま太宰治の「走れメロス」を連想する。しかし、沖は気にすることなく自分の小説について語り出し…。果たして、沖の小説「走れユウカ」はどんな話なのか?

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、瀬戸内のおだやかな海をのぞむ、STU高校。休み時間、同じクラスの沖侑果、磯貝花音、今村美月が話しています。


磯貝:ねえねえ、沖ちゃん、めっちゃ眠そうなんだけど、大丈夫?

沖:ああ、ダメかも~。

今村:ゆうべ、寝てないの?

沖:そうなんだよね。実はさ、徹夜。

磯貝:ええ? マジで?

今村:数学のテスト、あるもんね。

沖:いや、試験勉強じゃなく。

磯貝:ええ? 違うの?

沖:実はさ、じゃーん! 小説を書いたんです!

今村:うわ、すごい!

磯貝:何枚書いたの?

沖:いや、そんなに長くないよ。800枚くらいかな。

今村:長っ!

磯貝:沖ちゃんの将来の夢は、小説家、だもんね。

沖:いやあ、我ながら、いい出来だと思うんだよね。めちゃ感動すると思う。

今村:へえ、タイトルは・・・『走れユウカ』?

沖:そう、テーマは、友情、かな。自分の身代わりのために、ユウカが一生懸命、走るっていう話。

磯貝:あれ?

沖:ん? どうした?

磯貝:どっかで聞いた気がする。

今村:私も、国語の教科書で読んだような気が・・・。

沖:え? やだ、なに? もう誰かにパクられた? 怖いねえ、油断もすきもあったもんじゃない。

磯貝:いやいや、違うと思うぞ。

沖:書き出しはねえ、こうなの、めっちゃ斬新だよ、「ユウカは、激怒した」ね、いいでしょ。かなりいいでしょ。

今村:それって、太宰治の、

沖:妹の結婚式に出席するために、ユウカが久しぶりに町に出ると、町のひとたちは、まったく元気がなく、おびえていた。原因は、暴君、ヤマディラニス!

ヤマディラ:グアアッハハハ、私に逆らうやつは、許さん! みんなくすぐりの刑に処す! こちょこちょこちょこちょ、永遠に笑っちゃうんだぞ~。

今村:ねえ、いそがい、

磯貝:なに? みちゅ、

今村:完全に、世界に入っちゃったよ。

磯貝:みたいだね。

今村:あ、授業、始まる!

担任:はい、じゃあ、数学の授業、始めるぞ~。ん? どうした、沖、私の顔になんかついてるかな?

沖:出たな! 暴君ヤマディラニス! ゼッタイ、許さん!

担任:許さんって、いってもねえ、授業しないと。

沖:みんな、安心しろ! このユウカが、この町を元通りにしてやる! ははははは。


ナレーション:さて、『走れユウカ』どんな話になるんでしょうか?


ナレーション:さて、教室に斜めに夕日が差し込む、放課後。沖侑果、磯貝花音、今村美月の三人は、まだ残って、『走れユウカ』という小説について、話しています。


沖:正義感あふれるユウカは、暴君ヤマディラニスに、意見したの。

ユウカ:どうしてひとのことをもっと信じないんですか!

ヤナティン:うるさい! このわしに意見するとは、いい度胸だ! おまえをくすぐりの刑に処す! みなのもの、こいつを捕まえろ!

ユウカ:やめろ! 放せ! ボクに触るな!

ヤマディラ:わしに逆らった罰じゃあ、グアハハハハハハ。

ユウカ:わかった。もう抵抗はしないよ。ただ、ボクにはやり残したことがあるんだ。たったひとりの家族、妹、ミツーキの結婚式がこれあら、あるんだ。その結婚式に出たあとは、命などくれてやるさ。

ヤマディラ:ふふふ、そうやって逃げるつもりだろう。だから、信用ならんのだ。

ユウカ:どうしても信用できないなら、こうしよう。ボクの親友に、カノンティウスというのがいる。ボクが日没までいなくなる間、彼に身代わりになってもらう、というのは、どうだろう。

ヤマディラ:グアハハハアハハ、面白い、裏切りの現場を見ることができるというわけか。おまえはきっと、戻ってこんよ。誰だって、自分の命が可愛い。よし、そのカノンティウスに連絡をとるんだ。

ユウカ:あ、もしもし、カノン?

カノン:ああ、ユウカ、ちーっす。

ユウカ:ちーっす。あのさ、ちょっと悪いんだけど、ボクの身代わりになってくんないかな。

カノン:身代わり?

ユウカ:今日の日没まででいいんだけど、忙しい?

カノン:え? 今日かあ、いきなりだな、

ユウカ:やっぱ、無理か、

カノン:いいよ。

ユウカ:え?

カノン:ユウカの頼み、断ったこと、あるかよ。

ユウカ:だな。あんがと。

カノン:いいってことよ。この間、オレの好きな「わかめ」お土産にくれたしな。

ユウカ:じゃあさ、暴君ヤマディラニスの宮殿まで来てくれっかな。

カノン:OK!

ユウカ:じゃあね、しくよろ~。はい、はーーーい。どうも~。

ユウカ:あ、すぐ来るそうです。

ヤマディラ:ふん! かわいそうな親友だ。友達に裏切られるとは知らずに、グアハハハハハハ。

ユウカ:友よ、このユウカを信じたまえ! さあ、いくぞ!


ナレーション:ユウカは、まずは妹の結婚式に向かって、走り出しました!


ミツーキ:お兄さん、めっちゃすごい汗なんですけど。走ってきたの?

ユウカ:ああ、走ってきた。

ミツーキ:私の結婚式のために、ありがとう。

ユウカ:水臭いことをいうなよ、ミツーキ、大事な大事な妹の結婚式だ。出ないわけがないだろ。ほら、手土産は、おまえの好きな広島の大福だ。

ミツーキ:ありがとう! うれしい!

ユウカ:ついた早々なんだが、ボクはすぐ戻らなくてはいけないんだ。

ミツーキ:え? 戻る? 戻るって、どこへ?

ユウカ:暴君ヤマディラニスの宮殿さ。

ミツーキ:え? どうして?

ユウカ:そこで、ボクの親友、カノンティウスが、待っているからさ。

ミツーキ:待ってる? どういうこと?


ナレーション:そこで、ユウカは、妹ミツーキに、事の次第を話したのです。


ユウカ:かくかくしかじか・・・

ミツーキ:なるほど~。

ユウカ:ということで、

ミツーキ:戻ること、ないんじゃない?

ユウカ:え?

ミツーキ:だって、戻ったら、お兄さんの命が・・・。

ユウカ:でも、ボクが戻らないと、カノンティウスの命がヤバイことになっちゃうよ。

ミツーキ:まあ、この際、カノンさんには、我慢してもらうことにして、

ユウカ:えええ? ミツーキ、かわいい顔して、言うこと、けっこうエグいぜ。

ミツーキ:そうね、ごめんなさい。一瞬、わが兄と、カノンさんを天秤にかけてしまったわ。

ユウカ:じゃあ、ボクは、いくよ。あ、これ、ボクの全財産だ。おまえにやるよ。

ミツーキ:待って! お兄さん! だめ、いっては、ダメ。私、天涯孤独になってしまう・・・。

ユウカ:泣くな、ミツーキ、達者で暮らせよ。

ミツーキ:お兄さん!


ナレーション:ユウカは、走った。妹の涙を振り切り、自分を信頼してくれている親友のために、走った。


ユウカ:はぁはぁ、はぁはぁ、日差しが・・・きついなあ・・・のどが乾いたなあ・・・。あ、あんなところに、飲み物を売るおじいさんが!

おじいさん:へい、いらっしゃい。

ユウカ:あ、ああ、あああああ! ボクとしたことがっ! お金を全部、妹にあげてしまった!

おじいさん:そうかい、金、ないんかい、いいよ。

ユウカ:え? いいの?

おじいさん:そのかわり、この、眠り薬入りの炭酸水しか、ないけどねえ。

ユウカ:ね、眠り薬入り?

おじいさん:よく眠れるよ~。しかも、カッチンカッチンに冷えてるぞぉ。

ユウカ:眠れる・・・冷えてる・・・ああ、ああ、やばい、今のボクが最も欲しい言葉が二つ並んじゃったんですけどぉ~。

おじいさん:しかも、タダだよん。

ユウカ:ああ、ああああああ、


ナレーション:とそのとき、ユウカの耳に、カノンティウスの声が聴こえたのです。


(イメージ)
カノン:いいんだぜ、オレのことはさあ、気にすんなよ。

ユウカ:そういわれても、気になるんですけど~。ああ、ダメだ、おじいさん、ボク、やっぱ、飲めない、じゃあ、失礼します!


ナレーション:ユウカは、走った。のどの渇きに苦しみながら・・・。


ユウカ:あ、足が、痛い・・・と思ったら、スニーカーが、ボロボロだ。あ、あああ、あそこで、靴を売ってるおじいさんがいる。

おじいさん:へい、いらっしゃい。

ユウカ:あの、スニーカーを、サイズは、25.5で。意外と、足、ちっちゃいんです。ってあああああ! 妹にお金を全部、渡してしまったんだった!

おじいさん:お金、いいよ。

ユウカ:え? いいの?

おじいさん:この、眠り薬を塗った、足がひんやりするスニーカー、いいよ。よく眠れるよ~。しかも、カッチンカッチンに冷えてるぞぉ。

ユウカ:眠れる・・・冷えてる・・・ああ、ああ、やばい、今のボクが最も欲しい言葉が二つ並んじゃったんですけどぉ~。

おじいさん:しかも、タダだよん。

ユウカ:ああ、ああああああ、


ナレーション:とそのとき、ユウカの耳に、カノンティウスの声が聴こえたのです。


(イメージ)
カノン:いいんだぜ、オレのことはさあ、気にすんなよ。そのスニーカー、はいちゃえば、いいじゃん。気にすんなって。

ユウカ:そういわれても、気になるんですけど~。ああ、ダメだ、おじいさん、ボク、やっぱ、はけない、そのスニーカー、じゃあ、失礼します!


ナレーション:ユウカは、再び、走った!


ユウカ:うわ、谷だ! しかもめっちゃ深い。丸太でもないと、渡れないぞ。っと思ったら、あそこで丸太を売ってるんですけどぉ!

おじいさん:へい、いらっしゃい。

ユウカ:あ、おじいさん、丸太を一本、くださいなって、ああああああ、あああああ、お金をみんな妹にあげてしまったぁ!

おじいさん:いいよ、

ユウカ:え?

おじいさん:お金は、いいよ。でもねえ、この丸太、眠り薬がしこんであって渡ってるうちに、眠くなるよ。しかも、ひんやりして、気持ちいいよ。

ユウカ:眠れる・・・冷えてる・・・ああ、ああ、やばい、今のボクが最も欲しい言葉が二つ並んじゃったんですけどぉ~。

おじいさん:しかも、タダだよん。

ユウカ:ああ、ああああああ、


ナレーション:とそのとき、ユウカの耳に、カノンティウスの声が聴こえたのです。


(イメージ)
カノン:いいんだぜ、オレのことはさあ、気にすんなよ。渡っちまえよ、その丸太、オレのことは、気にすんなって。

ユウカ:でも、気になるんですけど~。ああ、ダメだ、おじいさん、ボク、やっぱ、もらえない、その丸太。じゃあ、失礼します!


ナレーション:ユウカは、助走をつけて、谷を飛び越えました!


ユウカ:おりゃあああああああああ! えい!!!


ナレーション:谷を越えたユウカは再び、走った!


ユウカ:ああ、日没が近くなる・・・世界がオレンジ色に染まっていく! 友よ、許せ、もう限界だ! ボクは、ボクは・・・もうヘトヘトだぁ。

(イメージ)
カノン:いいんだぜ、最初から、戻ってこないかなあって、思ってたから。オレのことは、気にすんなよ。まあ・・・化けて出るけどな。

ユウカ:・・・化けて出られるのは、困る・・・。


ナレーション:ユウカは、最後の力を振り絞って、走り、ついに、ヤマディラニスの宮殿にたどり着きました。


ユウカ:はぁはぁはぁ、

カノン:ユウカ!

ヤマディラ:バカな! まさか、戻ってくるとは・・・。

ユウカ:カノンティウス、ボクの頬を叩け!

カノン:え?

ユウカ:ボクは、何度か、君を裏切ろうとした。

カノン:そうか・・・でも、それはできない。

ユウカ:なぜだ!?

カノン:オレも、おまえを疑ったからだ。どーせ、戻ってこねえんじゃねえかってなあ。

ユウカ:カノンティウス・・・。

カノン:オレの頬を叩け!

ユウカ:できない!

カノン:オレも、できない!

ヤマディラ:う・・・うう・・。

ユウカ:ん? ヤマディラニス? なんで泣いてる?

ヤマディラ:ああ、あああ、あるんだねえ、友情って、あるんだねえ。

ミツーキ:お兄さん!

ユウカ:ミツーキ、おまえ、どうして!?

ミツーキ:お兄さんが、心配で!

ユウカ:結婚式は!?

ミツーキ:それより、お兄さんが大事で・・・。

ユウカ:バカなやつだ・・・ったく、ミツーキも、カノンも、バカなやつだ・・・。


ナレーション:もう一度、ひとを信じることにしてみようと思ったヤマディラニスは、改心して、素敵な王様になったのでした。めでたしめでたし。


沖:っていう話なんだけど・・・。どうかな。

磯貝:っていうか、まんま『走れメロス』じゃん、ねえ、

今村:ああ、ああ、いい話、

磯貝:って泣いてんのかい!

沖:小説書くのって、なんか楽しいんですけどぉ。

磯貝:今度は、パクるの、やめてね。

沖:あ、ああああ! いま、新しい話、思いついた! 桃から生まれた、

磯貝:それも、あるから。

沖:罠にかかった鶴を助けて、

磯貝:それも、あるかな。

沖:瀬戸内に生まれた少女が、アイドルになる話。

磯貝:それは・・・

今村:いいね!

収録後のワンショット

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