OnAir

2018年98日放送 午後900分~NHK-FM

放送一覧

『星の王女さま』

原案:石田千穂、岩田陽菜、薮下楓

脚本:北阪昌人

★参考:グッドマン、ネコ仮面

出演

岩田陽菜、薮下楓、石田千穂、山寺宏一

あらすじ

ここは瀬戸内にあるSTU女学院。二年生の楓子と千穂子が屋上でサボっていると、突然、すごい速さで何かが落ちてくる。二人の前に落ちてきたのは、オムライス星からやってきた王女ヒーナ。ヒーナはアイドルのセンターになるという夢をかなえるため、夢の聖地となっているレモン畑を目指してやってきた。そんなヒーナとアイドルについて話しているうち、楓子と千穂子はダンスを披露することに。二人のダンスを見たヒーナは…。

人物相関図

  • ストーリー&キーワード募集
  • メンバーへの質問募集
  • 感想を送る

物語が読める ♪


ナレーション:ここは、瀬戸内にある、海沿いのSTU女学院。屋上でサボっているのは、二年生の、楓子と、千穂子でした。


楓子:あああ、眠い、っていうか、ダルい。

千穂子:ほんとだね。ねえ楓ちゃん、午後の授業、サボっちゃう?

楓子:サボっちゃおうか、千穂子。

千穂子:ああ、めっちゃ牛タン食べたくなってきた。

楓子:ああ、めっちゃお好み焼き、食べたくなってきた。

千穂子:そうと決まったら、

楓子:行きますか。


ナレーション:と、そこへ・・・


楓子:ん? なに? あれ、

千穂子:え? あれって?

楓子:千穂子、なんか落ちてくるんですけど。

千穂子:ええ? マジ?

楓子:ま、マジ! すごい速さ!

千穂子:やばいね、

楓子:やばい!

千穂子・楓子:きゃあああ!

ヒーナ:痛っ! 痛い・・・。

楓子:すっごい勢いで落ちてきたのは・・・

千穂子:え? 人間? 女のひと?

ヒーナ:ああ痛い、痛いよ~。えーんえーん、

楓子:泣いてる、

千穂子:泣いてるね、

ヒーナ:えーんえーんって、ほんとは泣いてないそ~。あはははは、ひっかかった、ひっかかった。

楓子:子どもか!

千穂子:あのスピードで助かるって・・・しかも、ドレス着てるし。

楓子:いったい、何者?

ヒーナ:わたくしはヒーナ。オムライス星からやってきた王女なそ。

楓子・千穂子:王女??


ナレーション:いきなり現れた星の王女さま、彼女の目的とは?


ヒーナ:あらためまして、どうもどうも、ヒーナです。

楓子:マジで、落ちてきたの? ハヤシライス星から?

ヒーナ:オムライス星。

千穂子:すごい、どこも怪我してない。

ヒーナ:お尻、かなり打ったけどね・・・。

楓子:で、なんでまた、この瀬戸内にやってきたわけ?

ヒーナ:え? ああ、それは、この動画を見たからなそ。

千穂子:動画?

ヒーナ:ええっと、よいしょっと。


ナレーション:オムライス星からやってきた王女ヒーナは、背負っていたリュックから大きなタブレットを取り出し、


ヒーナ:電源、オン、と。


ナレーション:そこに映し出されたのは、あるテレビ番組の映像。瀬戸内を見下ろす山の斜面は、レモン畑。


レポーター:ええ、『夢をかなえる場所』、今日、私が訪れているのは、瀬戸内海に浮かぶ、小さな島です。このレモン畑に、いらっしゃるのが、今日の「夢・かないびと」の三人です。

石田:ええ、石田千穂です。いま、二十五歳です。ついに夢、かないました。

レポーター:石田さんは、ブリッジ走り世界大会で、見事! 金メダルを獲得したんですねえ。

石田:この場所で、初めて自分の夢を語ったんです。

薮下:ええ、薮下楓太です。オレも二十五歳です。アメリカのプロバスケットボールチームから、オファーがあって、今度、全米大会にレギュラーとして出場します。ここで、自分の夢、誓いました。

レポーター:いや~すごいですねえ、薮下さん、身長は決して高くないんですが、持ち前の負けず嫌いな性格で、ここまでのぼりつめました。そして・・・。

岩田:岩田陽菜男です。ボクも二十五歳です。世界一のレモン農家になるのが夢でした。

レポーター:なんと、岩田さんが作り出した「チーホ」という品種のレモンが、世界中のレストランからオーダーがくるほどの大人気になったんです。

岩田:この斜面で、ボクたち、夢を語り合ったんです。

レポーター:はい、というわけで、ここは、今や、夢の聖地になってるんですねえ。この山の斜面に立ち、瀬戸内の海を眺めながら、夢を口にすると、必ず叶う。その効力は、ネットで拡散して、いまや世界中から、この場所にやってくるひとが、ああ、ああ、いますいます、たくさん、います!

楓子:この薮下って男のひと、すんごいイケメンだね。

千穂子:石田さんってひと、めっちゃ美人!

ヒーナ:わたくしは、この陽菜男ってひとがタイプなんだけど、って! そういう話じゃなくって、夢の話。

楓子:ああ、そうだった。で、これを、あなたのチャーハン星でも見ることができて、

ヒーナ:オムライス星!

千穂子:まさか・・・まさか!

ヒーナ:さすが、勘がいいみたいね、そちらのかた。

千穂子:レモンが食べたくなった!

ヒーナ:違う! レモンを食べるために、じゃない。いや、レモンも、もちろん食べたいけど。この話の流れから言ったら、あれでしょ、夢をかなえるために、この場所に行きたいそ!

楓子:無理やり、「なそ」って言ってません?

ヒーナ:無理やりじゃないそ!

楓子:あ、怒った。

ヒーナ:なそなそ、連れていっておくれよ。わたくし王女ヒーナを、この夢がかなう山の斜面に連れていっておくれよ。

千穂子:ええ? どうする? 楓子、

楓子:それより、お好み焼き、食べたいんだけど。

千穂子:私、牛タン、食べたい。

ヒーナ:ごちそうします、どっちも、ごちそうしますから。ね?

楓子:宇宙人なんだから、それくらい、ぱああって、飛んじゃえばいいんじゃね?

ヒーナ:地球に来ちゃったら、わたくしの力は、半減してしまうのでございます、なそ。

千穂子:あ、ああ、肝心なこと聞き忘れたんですけどぉ。

ヒーナ:な、なに?

千穂子:王女ヒーナの、夢って、なに?

ヒーナ:それは・・・

楓子:それは?

ヒーナ:それは・・・

千穂子:それは?

ヒーナ:センターになることです!

楓子・千穂子:センターになる?

ヒーナ:はい!

楓子:ああ、あれか、野球の、外野の、真ん中守るひと。

ヒーナ:ああ、足が速いから、とりあえずセンターね、って違います!

千穂子:ショップがいっぱい並んだでっかいモール、

ヒーナ:フードコートではやっぱりクレープが楽しみって、ショッピングセンターでもない!

楓子:じゃあ、なに?

ヒーナ:アイドルの、センターです!

ヒーナ:私はアイドルの、センターになりたいんです!

楓子・千穂子:アイドルのセンター?

楓子:もう王女なんだから、いいんじゃね?

ヒーナ:ダメです。アイドルのセンターほど、素晴らしいものは、ないんですよ、なそ。誰もができるもんじゃあないんです。

千穂子:確かに・・・選ばれたひとだけが、立てる場所って感じ、するけど。

ヒーナ:わたくしのオムライス星には、ケチャップライス48というアイドルグループがあるんだ、なそ。新曲『グリーンピースはいれないで』の、センターを一般オーディションで選ぶことが決まりまして、その、わたくし、王女であることを隠し、受けようかと・・・。

楓子:なるほど。じゃあ、ダンスとか、できるの?

ヒーナ:わたくしに、ダンス、できるのかと、お聞きになるんですね。見てください! それ!

ヒーナ:はぁ! はぁ! はぁ!

楓子:まあ、悪くないけど、千穂子、ちょっと、やってみせてよ。

千穂子:あいよ~。それ!

ヒーナ:す、す、すごい!! なそ!

楓子:あ、いちおう言っとくと、私ら、ダンスユニット組んでて、

千穂子:二人でやっちゃう?

楓子:かったるいけど、やるか。

ヒーナ:すごすぎる! なに? これ、まるで宇宙を飛んでるみたい!

楓子:イエイ!

千穂子:イエイ!

ヒーナ:お願いします!

楓子:え?

ヒーナ:聖地巡礼より、お二人に、弟子入りさせてくださいだ、なそ。

千穂子:弟子入りって・・・。

ヒーナ:わたくしを、ぜひ、ダンスの弟子に!


ナレーション:二人は、屋上でヒーナにレッスンを始めました。


楓子:はい、1,2,3,4、5、6、7、8、違う! 違う!

ヒーナ:はい!

千穂子:もっと、腰を入れて、

ヒーナ:はい!

楓子:軽やかに!

ヒーナ:はい!

楓子:やばっ。あっという間に、放課後になっちゃった。

千穂子:ああ、私、バイト入ってる。

楓子:私も。

千穂子:ごめんね、ヒーナ。

楓子:私ら、行かなきゃ。

ヒーナ:はい。残念ですが・・・あの、ありがとうございました。

千穂子:ううん。ヒーナ、頑張ってね。

楓子:筋は、めっちゃ、いいからさ。

ヒーナ:はい!

千穂子:「努力すれば、アイドルは誰だって、未来のセンターになれるんだ」私たちが好きな言葉。

ヒーナ:素敵な言葉ですね、なそ。

楓子:努力は必ず報われる。

千穂子:ヒーナの夢は、ヒーナが頑張れば、きっと叶うよ。

ヒーナ:ありがとう、なそ。

楓子:じゃあね。

千穂子:じゃあね。

ヒーナ:はい。


ナレーション:夕暮れ迫る屋上に、ひとすじの光が下りてきました。


王様:わが娘ヒーナよ!

ヒーナ:お父さま。

王様:こんなところにおったのか。

ヒーナ:はい。

王様:さあ、帰るぞ。

ヒーナ:はい。

王様:どうした、泣いておるのか? 何か、つらいことでもあったのか?

ヒーナ:いいえ、うれしいのでございます。ここ、瀬戸内の女の子たちは、わたくしのために、一生懸命、踊ってくれました。見ず知らずの、わたくしのために。

王様:瀬戸内は、昔から、他者を受け入れる、優しい場所と言われておる。

ヒーナ:お父様・・・。

王様:さあ、行こう。

ヒーナ:はい。


ナレーション:二つの光が、ゆっくりと天にのぼっていきました。


楓子:ねえ、千穂子、

千穂子:ん?

楓子:あの二つの流れ星、変わってる、

千穂子:え?

楓子:空高く、のぼってく・・・。

千穂子:ほんとだ。

楓子:綺麗だね。

千穂子:ほんと、綺麗・・・。

収録後のワンショット

Page Top