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2018年811日放送 午後900分~NHK-FM

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番外編『海の家・恋物語』

原案:石森虹花、尾関梨香、渡邉理佐

脚本:北阪昌人

★参考:BBバズーカ、みーこむ

出演

渡邉理佐、石森虹花、尾関梨香、山寺宏一

あらすじ

ここは、欅坂海岸。海の家「けやき荘」のアルバイト・渡邉理佐は人見知りを変えるため、海の家で働き始めた。そんな渡邉は一緒に働く尾関梨香男に恋をしているが、いまだ思いを伝えられずにいる。夏の終わりも近づき、焦る渡邉だったが、同じバイト仲間の石森虹花の存在もあり、ますます弱気になってしまう。そして、今年の夏、最後の営業が終わった夜、「けやき荘」の仲間たちでバーベキューをすることになり…。渡邉理佐の恋の行方は…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、欅坂海岸。


ナレーション:打ち寄せる波は、おだやかで、砂浜には、たくさんの海水浴客が来ています。海の家「けやき荘」では、店長が、海を見つめながらバイト連中に、こんな話をしています。


店主:今年の夏も、そろそろ、店じまいだよ~。クラゲが出ちまう時期だからなあ・・・。なんだろうなあ、夏の終わりってのは、独特の寂しさがあるよなあ・・・。

渡邊:私、渡邊理佐は、店長の言葉に、胸がきゅんとなった。一緒に海の家で働いている、尾関梨香男君に、自分の思いを伝えられないまま、バイトも終わりに近づいていた・・・。

尾関:なあ、りっちゃん、ビーチバレーしようぜ、

渡邊:え? まだ、お店が・・・。

店主:いいよ、遊んでこいよ、もう終わっちまうんだからさ、夏がさあ。

尾関:店長、ありがとうございます!

尾関:しっかし、りっちゃんは、バレー、うまいよな。それ!

渡邊:そんなこと、えい!

尾関:もしかして、バレー部?

渡邊:中学んときね。

渡邊:私が告白できない理由、それは・・・尾関君にはきっと、好きなひとがいるから、それは・・・。

石森:まあまあ、元気だねえ、若者達よ。青春だねえ、

渡邊:石森虹花さん。同じバイト仲間だけど、妙に大人っぽくて、しかも・・・超美人!

尾崎:虹花も、やろうぜ、ビーチバレー。

石森:遠慮しとくよ。私は、ワンちゃんのお散歩いってくるから。

尾関:え? あ、待ってよ、オレも行く!

渡邊:え?

尾関:りっちゃん、わりぃ。この勝負、おあずけな。

尾関:お~い。待ってよ~。

渡邊:砂浜を遠ざかっていく、二人の背中を見つめる。やっぱり言えっこないよね、好きです、なんて・・・。


ナレーション:海の家「けやき荘」。今年の夏、最後の営業日がやってきました。


店主:みんな、今年もよく頑張ってくれた。おかげで、いい夏だったよ。ああ、せつないなあ、夏の終わりは。今日の営業が終了したら、打ち上げ、やろうな。花火も買っておいたし、バーべキューの用意もある。2018年の夏を、みんなで見送ろう。

渡邊:私、渡邊理佐は、人見知り。大勢の前にでると、緊張してしまい、言葉が出てこない。そんな自分を変えたくて、思い切って、海の家で働くことにした。なのに、バイト初日、お客さんの前でテンパってしまい・・・。

お客さん:だからさあ、おいらが頼んだ焼きそば、どーなってんのよ! ずいぶん前に頼んだんだぜ。

渡邊:すみません、あ、あの、その、

お客さん:おいらの彼女、気が短いわけ、早く戻んねえと、めっちゃ怒られんだよ、ほら、焼きそば、なんで順番、飛ばされてんのよ!

渡邊:すみません、その、

お客さん:すみませんばっかじゃ、どうしようもねえってんだよ!

渡邊:そのとき、助けてくれたのが・・・。

尾関:お客さん、はい! 特製ジャンボフランク!

お客さん:ええ?

尾関:焼きそば、すぐ届けますから、まずは、これ持って戻っててください! サービスですから、これ、サービス!

お客さん:え? い、いいのかよ。

尾関:もちろんですよ、えっと、どのあたりにいらっしゃいますか?

お客さん:あ、あのへんだけど、

尾関:わかりました! 焼きそば出来次第、デリバリーいたします! このボクにおまかせください!

お客さん:お、おお、そうかい、なんか、かえってわりぃなあ。あははは、そう、サービス、これ、ジャンボフランク、おいらの彼女、サービスって言葉が、いっちばん好きなんだよね、あはは。

渡邊:お客さんは、ニコニコして帰っていった。

渡邊:す、すみません・・・。

尾関:え? 何が?

渡邊:私、接客とか、初めてで、うまく、その、話せなくて、

尾関:気にしなくていいよ! 言葉なんてもんは、でるときはでるし、でないときはでない。夜空の月みたいなもんなのさ、はははっ。

渡邊:笑顔が、素敵だった・・・。彼の言葉や行動には、独特のスタイルがあって、みんなは「尾関スタイル」と呼んでいた。

石森:渡邊ちゃん、

渡邊:あ、はい。

石森:あなた、いい笑顔してるわ。ちょっと匂いかがせてね。

石森:うん、匂いもいい。あ、ごめんね、私、匂いかぐのが趣味なの。あ、私、石森虹花。この海の家のバイトは、三年目なんだ。よろしくね。

渡邊:虹花さん、・・素敵なひと・・・。こんな女性に、私もなりたい。そう思った。


ナレーション:海の家「けやき荘」も、いよいよ店じまい。誰もいなくなった海岸を、夕陽が赤く照らしています。


店主:ああ、夏が、終わる・・・。涙が、出るなあ・・・。

渡邊:私の恋も・・・終わる・・・。


ナレーション:すっかり陽も暮れた砂浜でバーベキューをする海の家「けやき荘」の仲間たち・・・。


尾関:おい、こっちの肉、焼けてるぞ、虹花!

石森:ふふ、ありがとう。

尾関:りっちゃんもさ、こっちに来て食べなよ。

渡邊:でも、私、虫が苦手で、

尾関:大丈夫だよ、ほら、このシイタケ、うまいよ。

渡邊:あ、ありがとう。

渡邊:バーベキューが終わると、

渡邊:みんなの手に、花火が握られた。

尾関:りっちゃん、線香花火、ばっかやってないでさあ。ほら、打ち上げ花火、やるから、見てて。

尾関:あれ、火、ついてないのかな、

石森:危ないよ? 尾関、

尾関:いや、やっぱ、火が、

尾関:うわあああ!

石森:ちょっと大丈夫? 倒れ方が、大げさなんですけど。

渡邊:尾関君と虹花さん、お似合いだなあ・・・。私の入る隙間なんて、ない・・・。

尾関:りっちゃん、あのさ、夜光虫って見たことある?

渡邊:夜光虫? 虫は苦手で、

尾関:いや、大丈夫。ムシって、そういうんじゃないから。海の中のプランクトンなんだけど、夜、光るんだ、綺麗だよ。

渡邊:尾関君に手をとられ、岩場に行った。胸がドキドキした。

尾関:いいか、目をつぶってろよ。いちにのさんで目、あけていいからな。

尾関:よし、いいよ。目、あけて。

渡邊:目の前の海に、神秘的な青が、浮かんでいた。キラキラ光る、奇跡の、青。

渡邊:綺麗・・・。

尾関:だろ・・・。いいよなあ・・・。

渡邊:あの、

尾関:ん?

渡邊:その、私・・・。

尾関:オレさ・・・ふられちゃったよ。

渡邊:え?

尾関:石森虹花。ずっと好きでさあ・・・気持ち、言えなくて、でも、今年、やっと言えた。

(イメージ)
石森:ごめんね、私、今度結婚するんだ。ずいぶん歳の離れたひとと。尾関は・・なんだか弟みたいな感じで、好きだったよ。

尾関:ふられた・・・。

渡邊:そう。

尾関:ちくしょう、夏がおわっちまうぜ。

渡邊:二人でしばらく、海に浮かぶ青を見ていた。風が優しく、私たちのそばを通り抜けていった・・・。そうして私の夏も、終わった・・・。

収録後のワンショット

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