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2018年630日放送 午後900分~NHK-FM

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『せっかちな王女様』

原案:宮脇咲良、本村碧唯、豊永阿紀

脚本:北阪昌人

★参考:さっちゃん、はと胸地蔵

出演

宮脇咲良、本村碧唯、豊永阿紀、山寺宏一

あらすじ

とにかくせっかちで有名なHKT王国の王女・サクーラ。そんな王女のせっかちすぎるエピソードを聞きつけ、ある女性がやってきた。アーキと名乗る黒装束に身を包んだ怪しいその女性は、王女に「早送りカレンダー」という時間を早送りすることができるカレンダーをプレゼントする。さっそく、早送りカレンダーを使った王女は、その効果を気に入り、ますます早送りカレンダーを使い始めて…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、HKT王国の大きなお城。このお城には、わがままで、とにかくせっかちな王女・サクーラがいました。


サクーラ:ああ、ああ、わたくしのメロンジュースはまだ来ないのですか? これ、アオーイ、これ、アオーイ!

アオーイ:はい、すみません、サクーラ様! いま、すぐ!

サクーラ:しぇからしか! いったい、わたくしをどれほど待たせるのですかぁ!

アオーイ:あの、まだ、2分しか、経っていませんが・・・。

サクーラ:口答えするでない!

アオーイ:ひいい! 申し訳ありません!

サクーラ:わたくしが欲しいといったら、すぐ持っていらっしゃい! すぐというのは、すぐのことで、すぐじゃないのは、すぐじゃないの! いい? わかった?

アオーイ:はい! あの、ちなみに、すぐっていうのはどれくらいのことを言ってるのでしょうか?

サクーラ:すぐっていったら、12秒に決まってるでしょうが!

アオーイ:はい!

サクーラ:で?

アオーイ:はい?

サクーラ:だから、わたくしのメロンジュースは?

アオーイ:あ、あの、とりあえず、これでいかがでしょうか?

サクーラ:これは! メロンパンじゃないの! 大好きだけど!

アオーイ:お許しを!! メロンジュース、すぐに用意します!!


ナレーション:さて、王女のせっかちすぎるエピソードを聞きつけ、ある女性がやってきました。黒装束に身を包んだ、怪しい女性。


アーキ:初めまして、王女様。

サクーラ:顔をあげなさい。あなた、お名前は?

アーキ:アーキと申します。

サクーラ:アーキ、アオーイから聞くところによると、わたくしに特別のプレゼントがあるとか?

アーキ:はい。

サクーラ:プレゼントは、好きですよ、ふふふ。楽しみだわ。

アーキ:恐れ多くも、私が持ってきたのは、

サクーラ:いったい何でしょう?

アーキ:早送りカレンダー。

サクーラ:早送り、カレンダー?

アーキ:いかにも。

サクーラ:それは、いったいなんですか?

アーキ:ずばり、時間を早送りすることができるカレンダーでございます。

サクーラ:時間を・・・早送り?

アーキ:百聞は一見にしかず。実際にご覧いただきましょう。そう、たとえば・・・アオーイさま! 今すぐメロンジュースを持ってきてください。

アオーイ:えっ? 今すぐですか?

サクーラ:アオーイには無理でしょう。

アーキ:いいえ。これに、書きこめば・・、メロンジュースと、

サクーラ:なるほど・・・ええ、メロン、ジュース、と。

サクーラ:え? えええ?

アオーイ:王女様、メロンジュースでございます。

サクーラ:は、はやい!

アーキ:ざっと、15分、早送りしました。

サクーラ:素晴らしい!! 気にいりましたよ、アーキ!


ナレーション:さて、この早送りカレンダーを持った王女の運命はいかに??


ナレーション:せっかちな王女・サクーラは、早送りカレンダーを使い続けました。


サクーラ:ああ、もつ鍋か、水たきが、食べたい!

アオーイ:この暑い中、そのような?

サクーラ:わたくしは、一年中、食べたいの! すぐ用意して!

アオーイ:はい、ただいま!

サクーラ:っていっても、時間がかかるんだよね、きっと。だったら、ほれ、アーキ!

アーキ:はい

サクーラ:すぐに、もつ鍋を!

アーキ:はい、では、この早送りカレンダーに、

サクーラ:も、つ、な、べ、と。

サクーラ:おお、おお、もつ鍋だあ! あ、あっつ、でも、美味しい・・・。あっぱれじゃあ! アーキ、そなたに褒美をあげよう!

アーキ:ありがたき、幸せ。つつしんで、お受けいたします。


ナレーション:王女・サクーラは、ますます早送りカレンダーを使うようになっていきました。


サクーラ:花火大会が、早くみたい!

アーキ:ここにお書きください!

サクーラ:おお、すばらしい! もみじ狩りがしたい!

アーキ:では、ここに!

アーキ:いかがですか?

サクーラ:おお、真っ赤なもみじが、美しい! 今度は、サクラだ! わたくしは、サクラが見たい!

アーキ:では、ここに!

サクーラ:おおおおお、見事な桜だぁ、花見は楽しいなあ。よし、今度は梅だ! 梅の花が見たい!

アーキ:ここにお書きください!

サクーラ:おおお、桜の後にすぐ梅の花が見れるなんて! アーキ、たいしたものだ。素晴らしいわ。

アーキ:ありがたき、幸せ。

アオーイ:なんだか、最近の王女様は、少し疲れているような気がするわ。大丈夫かしら、気のせいだと良いのだけれど・・・。

サクーラ:ははははっは、やっぱりもう一回桜が見たいなぁ! は~はっはっは、やっぱり、サクラは最高だ!!


ナレーション:ある日、アオーイは、アーキに言いました。


アオーイ:アーキさん、

アーキ:なんですか、アオーイさん、

アオーイ:私、気が付きました。サクーラ王女は、早送りカレンダーを使うたびに、少しずつ老けていっている・・・。このままだと、おばあさんになってしまいます。

アーキ:それもいいんじゃないでしょうか。

アオーイ:え?

アーキ:ひとというのは、自分で気づかないかぎり、まわりが何をいっても、ダメなのです。せっかちに周りを振り回して周りにどれだけ迷惑をかけているか・・・。大事なのは、自分で自分をみられる、冷静な、目です。

アオーイ:自分で自分をみられる、冷静な、目。

アーキ:はい。私は、信じています。

アオーイ:信じてる?

アーキ:サクーラ王女は、素晴らしい王女です。必ず、気がついてくれるはずです・・・。

アオーイ:あなた、サクーラ王女のためを思って・・・。あの・・・

アーキ:はい。

アオーイ:もしかして、あなた、このお城にいたことがあったのでは?

アーキ:はい。その通りです。幼い頃、私の母はこの城に仕えました。私は、サクーラ王女と、同じ年、同じ日に生まれたのです。

アオーイ:そうだったんですね。

アーキ:サクーラ王女は、私とわけへだてなく、遊んでくれました。いつか、言ってくださったのです。

(回想)
サクーラ:わたくしは、一刻も早く、すべてのひとが、幸せになれる世の中をつくりたいのです。

アーキ:私は、その言葉を信じています。

アオーイ:アーキさん・・・。


ナレーション:一方、そのころ。サクーラ王女は・・・


サクーラ:あはははは、サクラだぁ、サクラだぁ、花見だ花見だ!


ナレーション:飽きることなく、早送りカレンダーを使い、花見を続けていたのです。桜が散っては、


ナレーション:カレンダーに書き込み、


サクーラ:あああ、今年も散ってしまったぁ・・・


ナレーション:またしても、書き込み・・・。気がつくと、


サクーラ:わしは、はなみが、したいんじゃあ、さくら、さくら、ああ、はなみじゃあ・・・。カレンダーに、ああ、ああ、手がふるえて、書けん。


ナレーション:と、そのとき、サクーラ王女は、鏡に映る自分の姿が目に入りました。


サクーラ:ええ? な、なんじゃと?

サクーラ:ま、まさか・・・こ、これが、わたくし? このおばあさんが・・・わたくし?

アオーイ:そうでございます。

アーキ:サクーラ王女、ご自身の姿を、よくごらんくださいませ! 早送りを繰り返せば、早く歳をとるのは、当然のこと。

サクーラ:あああ、あああ、いやじゃいやじゃ、こんなのは。まだ、早い・・・。早送りは、もうしたくない・・・。


ナレーション:サクーラ王女がそう言ったとたん、雷鳴がとどろきサクーラ王女はどんどん若返っていきました。


サクーラ:わあああああああ、


ナレーション:やがて・・・時は巻き戻り・・・


アーキ:初めまして、王女様。

サクーラ:顔をあげなさい。あなた、お名前は?

アーキ:アーキと申します。

サクーラ:アーキ、アオーイから聞くところによると、わたくしに特別のプレゼントがあるとか?

アーキ:はい。

サクーラ:プレゼントは、好きですよ、ふふふ。楽しみだわ。

アーキ:恐れ多くも、私が持ってきたのは、

サクーラ:いったい何でしょう?

アーキ:早送りカレンダー。

サクーラ:早送り、カレンダー。

アーキ:いかにも。

サクーラ:そうか。わたくしには、必要、ない。アーキ、気づかせてくれて・・・ありがとう。

アーキ:王女様!!


ナレーション:それから、サクーラ王女は、せっかち過ぎない、それはそれは素晴らしい王女になったのだそうです。

収録後のワンショット

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