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2018年616日放送 午後900分~NHK-FM

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『世界はどこまで青空なのか』

原案:荻野由佳、山口真帆、西潟茉莉奈

脚本:北阪昌人

★参考:ミスター缶バッジ、トゥモロー

出演

荻野由佳、山口真帆、西潟茉莉奈、山寺宏一

あらすじ

NGT高校に通う荻野由佳は、ある日の放課後、親友の山口真帆から荻野の幼なじみである西潟マリオに片思いしていることを打ち明けられる。荻野は快く応じるが、心の中ではモヤモヤとした感情がうずまいていた。別の日の放課後、荻野は西潟から進路について聞かれる。成績優秀で父親にも医学部への進学を期待されていた荻野だったが、実はアイドルを目指していて…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、新潟市にある、NGT高校。放課後、並木道を歩いているのは、同じクラスの荻野由佳と、山口真帆です。


山口:ねえ、ゆか、

荻野:なに? まほ。

山口:あのさ、ゆかは、その、西潟君とはその、

荻野:え? なに?

山口:仲いいけど、

荻野:あ、ああ、幼なじみだからね。家が近所だし。

山口:それだけ?

荻野:え?

山口:・・・つきあってるとか、

荻野:ははは! ないない、やめてよ、なんで私があんなゴリラの物真似するひとなんかと。

山口:可愛いじゃない。

荻野:え?

山口:いや、実は・・・私、好きになっちゃったみたいなんだよね、西潟マリオ君のこと。

荻野:えええ? そうなの?

山口:私とゆかは、親友だから、もし親友がつきあってたら、キッパリ諦めようと思ったんだけど・・・。

荻野:・・・私は、別に、

山口:じゃあ、いいんだね、私、コクってもいいんだね。

荻野:っていうか、まほはさ、めっちゃ美人でたっくさん、コクられてるんだから、何も、こっちから、しかも、あんな無神経なやつに、わざわざ・・・。

山口:恋ってさあ・・・追いかけるから、いいんじゃない。

荻野:ええ?

山口:私ね、向こうが好きって先に言うと、それだけでもう、さめちゃうんだよね。。

荻野:そうなんだ。

山口:ほんとうに、な~んにもないんだよね、ゆかと西潟君。いいんだね、私、コクっても。

荻野:あ、うん、いいに・・・決まってるじゃん。

荻野:なんだろう・・・この心のもやもや・・・。私は・・・。


ナレーション:二人の頭上では、重くて黒い雲が空を覆っていました。それはまるで、荻野由佳の心の中のようでした。


ナレーション:放課後のNGT高校。荻野由佳が、帰ろうとすると、


西潟:おお、ゆかっぺ、今帰りか。

荻野:っていうか、やめてくれない、その呼び方。

西潟:いいじゃんか、昔っから、そう呼んでんだから。

荻野:嫌なの、その呼び方、

西潟:そっか、わかったよ、ゆかっぺ。

荻野:バカ!

西潟:って、待てよ、おい、ゆかっぺ、怒るなって、

荻野:マリオとは、幼稚園から一緒だった。私がいじめられると、

(回想)
西潟:おまえら! いいか、ゆかっぺに手ぇ、出すやつは、この西潟マリオが許さねえ! いいな!

荻野:いつも・・・私を守ってくれた。

荻野:ちょっと、離れて歩いてよ。

西潟:いいじゃん、一緒に帰ろうぜ。どうせ、家、近いんだし。

荻野:いろいろ、誤解するひとも、いるし、

西潟:誤解? なんだよ、それ。

荻野:知らないわよ!

西潟:なに、怒ってんだよ。あ、そうだ、ゆかっぺ、進路、どーすんの?

荻野:え?

西潟:面接あったろ? 丸井煎餅(まるい・せんべい)先生の、

荻野:あ、ああ、

西潟:まあおまえは、成績優秀だから、推薦で入れるんじゃね? 大学。どこの大学行くの? あ、ああ、やっぱ国立か、医学部か。お父さんの跡を継いで、医者か?

荻野:面接で、私は、丸井先生に・・・。

(回想)
丸井:で、荻野は、どこの大学にするんだ? 学年でトップの成績だから、まあ、心配はしてないが、

荻野:私、

丸井:ん?

荻野:アイドルに、なりたいんです。

丸井:あ? すまん、聴こえなかった。

荻野:私、アイドルになりたいんです!

丸井:そうか、アイドルか、アイドルになるのにいい大学はってアイドル??!! お、おまえ、荻野!

西潟:どーすんだよ、進路。なあ、ゆかっぺ。

荻野:私は、私はね、マリオ君、実は、

山口:西潟君!

西潟:ん?

荻野:まほ。

山口:西潟君、ちょっと話、あるんだけど。

西潟:え? なんだよ、いきなり。

荻野:私は、じゃあ、

山口:ゆかも、いて。

荻野:え?

山口:私、西潟君のことが好きです。私とつきあってください!

西潟:ってなんだよ、それ。山口はあれだろ、ウチの高校のアイドルだし、めっちゃ人気高いし、別にオレなんか・・・。

山口:私は、西潟君がいいの。それじゃあ、ダメ?

西潟:それはその、

荻野:じゃあ、私は、

西潟:って、ちょっと、ゆかっぺ!

荻野:なんで動揺してるんだろう、なんで心がザワザワするんだろう。

荻野:その日の夜、私は思い切って、父に話した。

荻野:私、アイドルになりたいの!

父:アイドル? ダメだダメだ! ゼッタイ、ダメだ!

荻野:どーして?

父:簡単になれるもんじゃないからだ。

荻野:じゃあアイドルになれたひとはどういうひとたちなの? 諦めなかったひとたちじゃないの?

父:屁理屈をいうな、屁理屈を! おまえは、医学部を出て、医者になる、それで決まりだ!

荻野:いやだ、私は、ゼッタイ、なってみせる!

荻野:家を飛び出した。

荻野:みんな、反対ばかりして・・・みんな・・・。

西潟:って、ゆかっぺ?

荻野:え?

荻野:目の前に、マリオがいた。

西潟:なに? おまえ泣いてんのか?

荻野:いいでしょ、別に、

西潟:おやっさんと喧嘩でもしたのか?

荻野:あんたに関係ないでしょ。

西潟:進路のことか。

荻野:そう、私はね、アイドルになりたいの。知りたいの、この世界はどこまで青空なのか、知りたいの。笑えばいいよ。「荻野が、アイドル?」ってさ。笑えばいいよ、

西潟:そっか。

荻野:・・・え?

西潟:やっぱ、そっか。

荻野:マリオ?

西潟:なんとなく、そうなんじゃねえかって思ってたよ。

荻野:うそ。

西潟:ほんと。なげえつきあいじゃんか、オレら。

荻野:・・・私、

西潟:でもなあ、ゆかっぺ、いちばん近くにいるひとを納得できなかったら夢を追いかける資格なんか、ねえぞ。

荻野:え?

西潟:お父さんやお母さんを説得して、先生も説得して、初めて、胸はって言えるんじゃねえのか、アイドルになりたいってさ。

荻野:あんたに・・・あんたに説教なんかされたくない! どーせあんたは、あれでしょ、

西潟:なんだよ、あれって、

荻野:おやすみ!

荻野:私、何を怒っているんだろう、何に怒っているんだろう・・・。

荻野:翌朝、教室で、

荻野:断られた?

山口:そーなんだよ。山口真帆、人生で初めてふられました。いい経験したかも。

荻野:マリオ、まほを、ふったんだ。

山口:好きな子がいるんだってさ、

荻野:え?

山口:ずーーーっと、ちっちゃい頃から、その子のことしか、見てないってさ、誰のことだろうね? ああ、バカらしい。

西潟:そう! 二人で何の話してんの?

山口:決まってるでしょ、あんたの悪口。

西潟:あちゃ~やっぱ、そうか・・・まいったなあ。

荻野:バカだよ、マリオは、

西潟:え?

荻野:学校一の美女をふって。

西潟:いいや、バカはおまえのほうだ。アイドルを目指すなんてさ。笑っちゃうくらい、バカで、でも、素敵な夢じゃねえか、なあ、あはははははは。

山口:アイドル? ゆか、アイドルに、なるの?

荻野:うん、黙っててごめん。

山口:そっか、頑張って! 応援するから。

荻野:ありがとう!

荻野:教室の窓から、空を眺めた。雲の切れ間から、幾筋もの光が、校庭に、降り注いていた。

荻野:私、探すよ、私だけの、青空!

収録後のワンショット

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