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2018年616日放送 午後900分~NHK-FM

放送一覧

『反省ソーダ』

原案:荻野由佳、山口真帆、西潟茉莉奈

脚本:北阪昌人

★参考:キミチー、テン

出演

荻野由佳、山口真帆、西潟茉莉奈、山寺宏一

あらすじ

新潟市のとある地下室で稽古をしているのは劇団「おぎゆか」。メンバーは、脚本や演出を担当している荻野由佳、看板役者の山口真帆、西潟茉莉奈の三人。かつては48人いた劇団員も荻野の高圧的なやり方についていけなくなり、残ったのは山口と西潟の二人だけとなっていた。荻野に反省させるためにも、山口と西潟は飲むと反省するとウワサされる「反省ソーダ」を買いに夜の古町へ向かうが…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、新潟市のとある地下室。ここを、稽古場兼劇場にしている、劇団がありました。劇団「おぎゆか」。


荻野:はい、じゃあ、やってみようか。よーい、はい!

山口:おお、おまえはなにゆえ、信濃川なのじゃあ。わしは、おまえと添い遂げることは、できぬ運命・・・むむ、無念じゃあ。

西潟:萬代橋さま、そのように嘆かないで、くださいまし。あたいこそ、あなたさまが、まさか、橋だなんて、ああ、ああ、橋だなんて・・・。ああ、憎い、川に生まれたおのれが・・・憎い。

荻野:はいダメぇ! ぜっんぜん、ダメ、まるでダメ。気持ち入ってないし、めっちゃ棒読みだし。あのね、ここはねえ、大事な場面なのよ。萬代橋と信濃川の恋愛、決して交わることのない二人・・・ああ、ああ、哀しいシーンなのよ。もっと気持ち入れて!

山口:気持ち入れるって言ったって・・・。

荻野:山口! 看板役者のあんたがそんなこと言って、どーすんのよ!

西潟:信濃川の気持ちになれって・・・ていうか、川だし。

荻野:はい、西潟! ダメ、川だし、とか言っちゃダメ。

山口:ダメ、っていうか、荻野さんのやり方についていけなくて、うちの役者み~んな、やめちゃったじゃないですか。

西潟:残ってるのは、私達、二人。荻野さん入れて、たったの三人。

荻野:いなくなるやつは、いなくなればいいのよ! 私についてこられないひとは、必要ない!

山口:荻野さん、

荻野:なに? 山口。

山口:荻野さんの辞書に、「反省」って文字は、ないんですか?

荻野:ははははは、バカらしい。あのねえ、中途半端に反省するやつがいっちばん、嫌いなの!


ナレーション:さて、劇団「おぎゆか」の運命はいかに!?


ナレーション:劇団「おぎゆか」の稽古場に、山口真帆、西潟茉莉奈の姿がありました。


山口:ねえ、がたねえ、

西潟:なに、まほほん

山口:反省、しないね。

西潟:ああ、荻野さん? そだね、しないね、反省。

山口:昔は、いいホン書いてたし、いい演出してたんだけど、

西潟:最初の作品が、ヒットしちゃったからね。

山口:そう。普通のせんべいと、濡れせんべいの恋、

西潟:「ともに割れる日が来るまで」

山口:せつなかった。

西潟:笑いもあった。

山口・西潟:いい作品だった。

山口:でも、48人いた劇団員も、

(イメージ)
荻野:はい、ダメダメぇ! 何度いったらわかるの? レインボータワーの気持ちになってよ! この下手くそ! やめちまえ!

西潟:みんなやめちゃって・・・

山口:わたしと、がたねえだけになっちゃった。

西潟:ねえ、まほほんは、なんで辞めないの?

山口:え? そうだなあ・・・なんでだろう、がたねえは?

西潟:私? 私は・・・さあ、なんでだろう。

山口:荻野さんって、ふだんは厳しいけど、たまにさ、変なことやってくれるじゃん。

西潟:ああ、だね。開脚しながら変顔とか、

山口:開脚しながら絵を画くとか、

西潟:憎めないんだよね。

山口:ねえねえ、小耳にはさんだんだけど。

西潟:え? どこにはさんだの?

山口:いや、ほんとにはさんだわけじゃないよ、

西潟:どこ? ねえ、どこ? ここかな?

山口:やめて、くすぐったい。耳、やめて。

西潟:はーい。で、なにをはさんだの?

山口:「反省ソーダ」っていうのを売ってるお店があるんだって。

西潟:反省ソーダ?

山口:そう。その名の通り、飲むと反省するようになるとか、ならないとか。古町のお寺の裏あたりの露天で、たまーに、店出してるって。

西潟:へえ、

山口:それ飲ませたら、変わるんじゃないかな、荻野さん。

西潟:反省・・・ソーダ・・・面白、そうだ。


ナレーション:夜の古町・・・。山口と西潟は、裏路地を探しました。


山口:ないねえ、

西潟:デマなんじゃないの?

山口:いや、それを飲ませたら、彼氏が反省してくれました! とか、ネットに書き込みがあったんだよ。

西潟:あ! あれ、あそこ! 変なおばあさんが・・・。

山口:え? どこ? あ、ああああ! あれだ! 段ボールに書いてある、

山口・西潟:「反省ソーダ、売ってます」

おばあさん:はい、いらっしゃい。

山口:あの、変なおばあさん、

おばあさん:誰が変なおばあさんじゃ!

西潟:反省ソーダ、欲しいんですけど。

おばあさん:はいはい、ありますよう。ええっと、はいどうぞ。

山口:缶ジュースみたいなんですね、あ、おいくら、ですか?

おばあさん:百万円。

西潟:高っ!

おばあさん:じゃあ、十円。

山口:安っ!

おばあさん:このソーダはねえ、飲む分量を間違えると、大変なことになるから、気をつけてねえ。へへっへ、いい反省ができますように。へっへへへへへ。


ナレーション:さて、翌日の稽古でも、


荻野:はい! ダメ、ぜっんぜん、ダメぇ~。ダメ~。山口に西潟、あんたらやめたほうがいいわ、もう無理、こんなダイコン役者、つきあいきれない!


ナレーション:荻野は相変わらずでした。そこで、山口は、ゆうべ買った反省ソーダを取り出して、


山口:まあまあ、荻野さん、それだけ怒鳴ったら、のど、乾いたでしょ。ちょうど、美味しいソーダを用意しておきました。

荻野:え? なんか用意いいね。

西潟:美味しいんですよ、このソーダ。

荻野:そうなんだ。

山口:どうぞ。

荻野:ん。うわ、なんか苦いね、

山口:とか言いながら、すっげえ飲んでるし、

西潟:ねえ、まほほん、飲む分量、

山口:あ、いけない、ああ、待って、荻野さん、待って、それ全部、飲んじゃあ・・・。

荻野:ぷはー。ふ~マズイけど、なんか癖になる味、っていうか、味について私がどうこう言える立場じゃない。ソーダさん、ごめんなさい。マズイなんて言っちゃって、ごめんなさい。

山口:初めて、

西潟:聴いた、

山口:荻野さんが、

西潟:謝ってる。

荻野:っていうか、山口に西潟、ごめんなさい、なんだかわかんないけど、ごめんなさい、私って、ダメなの、ほんと、ダメ、全然、ダメ、それなのに、あなたがたお二人に、いろいろ言っちゃって、ごめんなさい、どんなに反省しても、足りない、ほんと、ごめんなさい!

山口:っていきなり土下座!?

西潟:あやまりすぎ! やっぱ、分量間違えたんだよ。

山口:反省しすぎだよね。

荻野:ダメすぎて恥ずかしい、ああ、ダメ、もうダメ、生きているのが恥ずかしい、ごめんなさい・・・。芝居なんて、できない、舞台なんか、私にはやる資格・・・ない。

山口:ヤバイね、どうしよう。

西潟:今晩、さっそく、あのおばあさんのところへ、行こう。

山口:だね。


ナレーション:二人は、再び、古町に向かいました。


おばあさん:へへへへへ、だから言ったじゃないかい、分量を守れって。

山口:どうしたらいいでしょうか?

西潟:このままでは、劇団は、ほんとうにつぶれてしまいます。

おばあさん:このソーダを飲めば、なんとか、なるよ。

山口:え?

おばあさん:「自信過剰ソーダ」

西潟:自信過剰、ソーダ?

おばあさん:本番前に緊張して足がガクガクするアイドルに、大人気の商品じゃよ。これを飲めば、自信がみなぎって、どんなことでもやれそうに思えるんじゃ、へへへへへ、あ、これも、分量を間違うと、エライことになるから、気をつけるんじゃよ、へっへへへへへ。


ナレーション:そして翌日、山口と西潟は、再び、荻野に、


荻野:こんなダメダメな私に、またソーダを用意してくれたの? 山口に西潟、いえ、山口さまに、西潟さま、ありがとうございます。

西潟:ああ、まほほん、大変! また全部、飲み干しちゃう!

山口:ええ?

荻野:ぷは~。おい、おめえら、稽古さぼってんじゃねえぞ! 天才、荻野由佳の脚本をなめんなよ!

山口:やばい!

西潟:前より、ひどくなってる!

荻野:私のやり方は、神様のやり方。私に逆らうのは、神様に逆らうのも同じ! はははははっは。世界は私の手のひらの中にある! はははははは。

山口:あの、反省ソーダをください!

荻野:あたしって・・・つくづく、ダメな女・・・。

西潟:あの、自信過剰ソーダをください!

荻野:あはははは、世界は私にひれ伏すのよ!! あははは!

山口:反省!

西潟:自信過剰!

山口:反省!

西潟:自信過剰!!


ナレーション:そンなことが続いた、ある日・・・。


荻野:ねえ、山口に、西潟、

山口・西潟:な、なに?

荻野:私、傲慢だった。もっと謙虚にならなきゃね。

山口・西潟:ええ? 飲んだ? 反省ソーダ。

荻野:みんながいてくれての、私なんだよね。自信なくしたり、自信過剰だったりして、やっと、気づいた。私、間違ってたよ・・・。

山口:荻野さん・・・。

西潟:荻野、さん・・・。

荻野:これからもよろしくね。

山口・西潟:はい!

荻野:じゃあ、稽古始めようか。早速やってみよう。準備はいい? いくわよ。よーい、はい。

山口:おお、おまえはなにゆえ、信濃川なのじゃあ、わしは、おまえと添い遂げることは、できぬ運命・・・むむ、無念じゃあ。

西潟:萬代橋さま、そのように嘆かないで、くださいまし。あたいこそ、あなたさまが、まさか、橋だなんて、ああ、ああ、橋だなんて・・・。ああ、憎い、川に生まれたおのれが・・・憎い。

荻野:はいダメぇ! ぜっんぜん、ダメ、まるでダメ。気持ち入ってないし、めっちゃ棒読みだし。あのね、ここはねえ、大事な場面なのよ。萬代橋と信濃川の恋愛、決して交わることのない二人・・・ああ、ああ、哀しいシーンなのよ。もっと気持ち入れて!

山口:前と同じような・・・

西潟:でも、少し、違ってるような・・・。

おばあさん:へへへへへ、あなたもどうですか? 「反省ソーダ」。へへへへへ・・・。

収録後のワンショット

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