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2018年62日放送 午後900分~NHK-FM

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『ぎこちない通学電車』

原案:高倉萌香、加藤美南、菅原りこ、奈良未遥

脚本:北阪昌人

★参考:ゆーこ、リリカル

出演

高倉萌香、加藤美南、菅原りこ、奈良未遥、山寺宏一

あらすじ

NGT女学院の二年生、高倉萌香は、通学電車の中で出会う男子高校生に片思いをしている。彼はNGT高校に通う加藤美南男。今日は、そんな加藤がキャプテンを務めるNGT高校体操部と、高倉がキャプテンを務めるNGT女学院新体操部との合同練習。しかし、緊張でうまく演技ができない高倉。そのうえ、恋のライバル、奈良未遥の存在も気になって…。果たして、高倉の恋の行方は?

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:新潟市内を走る、とある電車。通学する男子高校生や、女子高校生で、混みあっています。


高倉:今日も、あのひとは・・・いた。二両目のいちばん前のドア近く・・・。NGT高校の制服を着た、イケメン・・・名札には、「加藤」と書いてある。


ナレーション:高倉萌香は、NGT女学院の二年生。通学電車の中で出会う男子高校生に、片思いしているのです。


高倉:あんなにイケメンだから、きっと彼女とか、いるんだろうなあ・・・。私は、自分に自信がない。おかっぱの髪型は気に入ってるけど、男子からどう見えるのか・・・。

菅原:ねえ、萌香、今日の部活、めっちゃドキドキするね。

高倉:え? なに?

菅原:なに、ぼ~っとしてんのよ、しいたけみたいな顔して。

高倉:しいたけ?

高倉:この子は、同じクラスの菅原りこ。部活も同じ。新体操部だ。りこは、ジャズダンスを習っているので演技に華がある、リズム感も素晴らしくて、私なんかより、ずっとうまい・・・。なのに、キャプテンは私で・・・。

菅原:NGT高校体操部の男子との合同練習なんて、めっちゃ、ドキドキ、ワクワクだよねえ・・・。

奈良:加藤君、

加藤:おお、奈良か。

奈良:今日、NGT女学院との合同練習、行くの?

加藤:いちおう、キャプテン、だからな。

奈良:あ、なんか、うれしそう。

加藤:べ、別にそんなんじゃねえよ。

奈良:浮気したら、許さないからね!

加藤:いや、別にオレらつきあってねえし、

奈良:バカ! 加藤君のバカ!

菅原:あれ、あっちでなんかいちゃついてるね、

高倉:え?

菅原:NGT高校か・・・いいな、共学は・・・。

高倉:そうだよね・・・彼女やっぱ、いるよねえ・・・。しかも、めっちゃ美人・・・。

奈良:私も練習、見にいっちゃおうっかなあ・・・。

加藤:って来なくていいし。

奈良:きゃ!

加藤:おい、抱きつくなよ。

奈良:電車が、ゆれたの。

高倉:早くも私の恋は・・・終わった?


ナレーション:さて、高倉萌香の恋の行方は?


高倉:放課後の部活・・・体育館で・・・。

古町:は~い、新体操部のみなさ~ん、今日は、ええ、前にもお伝えしたとおり、隣にある、NGT高校の男子たちが、合同練習に来てくれました。どうもぉ、あたくしが、NGT女学院新体操部コーチの古町ハナコでぇす、独身でぇす、タレかつ丼が好きでぇす、独身でぇす。

菅原:独身、二回いったね。

高倉:そ、そだね。

高倉:私は・・・ドキドキしていた。だって・・・通学電車でただ見つめるだけだったあのひとが、今、目の前に・・・。

加藤:うっす。ええ、NGT高校体操部キャプテンの、加藤美南男っす。今日は、オレ、いや、ボクらにとっても、勉強になる練習ができると思います。古町コーチ、このような機会を与えていただき、感謝っす! あざーーっす!

古町:ああ、いいわねえ、いいわねえ、あなた、加藤君。さっすが体操部のキャプテン。挨拶のキレがいい! 独身でぇす。ほら、高倉さん、こちらも挨拶して。

高倉:は、はい・・・。ええ、あ、あの、

菅原:どうしたの? 萌香、

高倉:いあ・・・ええ、あの、新体操部の、高倉、あの、キャプテンで、その・・・。

古町:ちょっとちょっと、ダイジョウビ? 高倉っち、ダイジョウビ? ちゃんと挨拶しなさい! 新体操は挨拶に始まって挨拶に終わるっていっつも言ってるわよねえ。

高倉:すみません。

高倉:そのとき、彼は私に近づき、

加藤:よろしくね、高倉さん。

高倉:え?

加藤:いつも、会うよね、通学の電車で。

高倉:えええ?

高倉:知ってた・・・気づいてた・・・。ああ、ああ、私・・・。どうしよう・・・。

加藤:こんなふうに会えて、うれしいよ。

高倉:な、なに? この笑顔・・・真っ白い歯が、光ってる!

加藤:はははははは、

奈良:なによ、加藤君ったら、デレデレしちゃってさあ・・・。許さないわよ~NGT高校でイチバン綺麗な私、奈良未遥を、なめないでよ!


ナレーション:合同練習が始まりました。お互いの演技を見て、技や体のひねりかたを研究する、何より、異性に見られている緊張感が、選手たちのメンタルを鍛えます。


高倉:あああ、ダメだあ・・・全然、うまく演技できない・・・。私って・・・ほんとうに・・・ダメな子だ・・・。

古町:なにやってんの! 高倉! あんたキャプテンでしょ! そんな演技じゃ、恥ずかしいわよ!

高倉:はい! すみません!

高倉:どうしよう・・・。緊張して、ボーっとする。なんだか、頭に血が上ってきた。

菅原:萌香? 大丈夫?

菅原:あ!! 萌香!!

高倉:私は、練習中に、緊張で意識を失ってしまった・・・。

高倉:気がつくと私は・・・。

高倉:ええ?

高倉:おんぶされていた・・・その広い背中は、

加藤:あ、気づいたか?

高倉:加藤君・・・。

加藤:心配しなくていいよ。保健室まで連れていってやるからさ。


ナレーション:高倉萌香をおんぶして歩く美南男の後をついて行くのは、菅原りこと、奈良未遥。


奈良:ったくなんなのよ! あの女! ちゃっかり加藤君におんぶされて、おかっぱのくせに!

菅原:っていうか、あんたこそ、なんなの? っていうか、誰?

奈良:私は・・・加藤君の、カノジョ、的な、存在よ。

菅原:へえ、そうなんだ。で、ヤキモチでもやいてるってわけ?

奈良:ヤキモチなんかやいてないわよ、あんなおかっぱに!

高倉:私、全然、ダメで、恥ずかしい、せっかく来てくださったのに、

加藤:ダメ? 君が?

高倉:うまくできない・・・

加藤:ずいぶん、ネガティブ、なんだね。

高倉:そう・・・コーチにもいつも注意されます。

(イメージ)
古町:もう、高倉ぁ! どうしてあなたって子は、そんなふうにネガティブなの? もっとポジティブに、いきなさい! ポジティブ! あたしなんかね、ぜったい、諦めないからね、結婚!

加藤:そっか・・・。

高倉:自信・・・ほしいな。

加藤:オレもさ、実はコンプレックスのかたまりで・・・。

高倉:え?

加藤:ほら、オレって顔がいいだろ?

高倉:え?

加藤:だからさ、最初っからハードル高いわけ。ダッサイことできねぇっつうか・・・プレッシャー、ハンパないんだよね。でもさ、オレ、あるとき、思った。生きるってそもそも、カッコ悪いんだってさ。

高倉:生きることは、カッコ悪い?

加藤:カッコよく生きようだなんて。思う方が間違ってる。

高倉:・・・。

加藤:汗水たらして、ドロドロになってつかむから、一等賞はうれしいんだ。いいんじゃないかな、ネガティブなままで。高倉さんは、ネガティブなままで、いいよ。

高倉:渡り廊下を渡り、教室の間を歩いて行く。背中があったかい、汗の匂いがする。ああ、このまま保健室に永遠に着かなきゃいいのに、と思った。

奈良:ちょっと、いいかげん、降りなさいよ! 仮病つかってんじゃないわよ!!

菅原:気がついた、萌香、

高倉:うん、心配かけて、ごめんね・・・。

奈良:降りなさいよ! おかっぱ!

高倉:奈良さんは、言うほど悪いひとじゃなかった。私が倒れたとき、最初に駆けつけ、脈をとってくれたのは彼女だったとりこに聞いた。奈良さんは、看護師になりたいんだそうだ。

高倉:それからも、通学電車で、彼に会った。

加藤:よう、

高倉:おはよう。

加藤:今日も、雨か・・・。

高倉:そうだね。

加藤:部活帰りに、四人でイタリアンでも食いにいくか?

高倉:いいね!

高倉:私と加藤君、そしてりこと奈良さんの四人は、いつしか、仲良くなっていた。

奈良:なに、こそこそ、相談してんの?

加藤:こそこそしてねえし。

菅原:イタリアン、賛成!

高倉:私は、加藤君のおかげで、少しずつ、自分が好きになっていた。

加藤:似合うと、思うぜ、オレ、

高倉:え?

加藤:高倉さんの、おかっぱ。

高倉:・・・ありがとう。

高倉:私の恋は、まだ始まったばかりだ。

収録後のワンショット

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