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2018年62日放送 午後900分~NHK-FM

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『あとで!』

原案:加藤美南、菅原りこ、高倉萌香、奈良未遥

脚本:北阪昌人

★参考:グッドマン、大輔

出演

加藤美南、菅原りこ、高倉萌香、奈良未遥、山寺宏一

あらすじ

四人の宇宙飛行士をのせた七色のロケット「宇宙船NGT」は惑星ATODEを目指す。やる気にあふれた宇宙船内の中で、ひとり風邪をひき、顔色がさえないのは加藤美南。そんな加藤を励ます菅原りこ、高倉萌香、奈良未遥の三人。やがて、宇宙船NGTは惑星ATODEに無事到着する。しかし、着陸して、わずか十分後、加藤を除く三人のメンバーに異変が…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、新潟市内。萬代橋の近くから、今、七色のロケット「宇宙船NGT」が、飛び立とうとしています。乗組員は、四名。いずれも、厳しい訓練を乗り越えた面々。まずは、挨拶の前に、前方宙返りをしてみせた、加藤美南!


加藤:よっと! 地球のみなさん、私たちは、ベールに包まれた惑星ATODEに行ってきます!


ナレーション:次は、バレエで培った体の柔らかさがハンパない、菅原りこ!


菅原:どうも、みなさーん! 行ってきます! 向こうでも、イタリアン、食べられるといいな。ちなみに、日本の初ミートソースのスパゲッティは、140年くらい前に、新潟から始まったって、言われてるらしいですよ?!


ナレーション:そして、おかっぱが、似合う、高倉萌香!


高倉:はいはーーい、今から、宇宙に飛び出します! え~、宇宙船の中で、ピアノを弾いて、メンバーのみんなを癒したいと思います。


ナレーション:最後は、剣道初段の奈良未遥!


奈良:私は、リンゴが大好きです。リンゴが落ちるのを見て、万有引力を発見したニュートンのように私も何かを発見して帰ってきたいと思います!


ナレーション:いよいよ、ロケットの打ち上げのときが、来ました。ファイブ! フォー! スリー! ツー! ワン! ゼロ!


加藤:向こうに着いたら連絡します!

四人:みんなーーーーーー、あとでね!


ナレーション:ここは、宇宙空間を漂う宇宙船NGTの中・・・。四人の宇宙飛行士の中で顔色がさえないのは、加藤美南です。


加藤:ああ、どうしたんだろう・・・風邪をひいたみたい。(咳する)みんなにうつさないように、マスクをしている。ああ、ようやく夢だった宇宙飛行士になれたのに・・・。

菅原:かとみな、大丈夫?

加藤:え? ああ、大丈夫、りったん、ありがとう。

菅原:これ、食べて、

加藤:え? メロンパン?

菅原:りったん、好きでしょ?

加藤:ありがとう!

菅原:四人で力を合わせて、頑張ろうね!

加藤:うん。

高倉:かとみな、少し休みなよ、次の警戒作業は私が変わるから。

加藤:もっちゃん、ありがとう!

高倉:みんなで今やれることをやろう!

奈良:かとみな、もし宇宙人が襲ってきたら、剣道初段の私が守ってあげるからね。

加藤:みはちゃんも?

加藤:ああ、なんていいメンバーなんだ・・・。体調管理できていない私を責めるひともいない。みんな前向きで、みんなやる気十分。ああ、いいチームに入れてよかった!


ナレーション:やがて、宇宙船NGTは、惑星ATODEに、降りたちました。


高倉:さあ、いよいよだね、いくよ!

加藤:私たち、四人は、惑星ATODEに一歩を踏み出した。

菅原:うわあ、体が、ふわふわ、浮いてる~

奈良:ねえねえ、あれ、地球じゃない?

菅原:ほんとだ! ちっちゃいけど、丸くて青い!

奈良:まだ、熟れていない、リンゴみたい・・・。

高倉:かとみな、体、大丈夫?

加藤:うん、ありがとう・・・。


ナレーション:異変が起きたのは、着陸して、わずか、十分後のことでした。


加藤:さあ、みんな、研修どおり、持ち場に分かれて調査を始めましょう! りったんは、石を採取して・・・

菅原:え? いいんじゃない、あとで。

加藤:え~? あ、もっちゃんは、大気の分析を、

高倉:ええ? いいよ、あとで、

加藤:ええ~~? あ、みはちゃんは、探査機を、動かして、

奈良:いいんじゃない、あ・と・で。

加藤:ええええ~~~?

三人:いいよいいよ、あとで!

高倉:どうせ、サボっても誰にもわかんないし。

加藤:み、みんな・・・どうしちゃったの?

高倉:っていうかさ、なに自分だけマスクしちゃって、体調管理、なってなくない?

加藤:え?

菅原:そうだよねえ、めっちゃ、カッコ悪い。

加藤:ええ?

奈良:ああ、なんかめっちゃダルイ。なんもやりたくない。

高倉:いいよいいよ、

三人:そだね~あ・と・で。

加藤:おかしい、みんな・・・急に変わってしまった・・・。いったい何が起きたんだろう・・・。なんで私だけ、みんなとおんなじ感じにならないんだろう・・・。みんなと私、何が違う? ・・・う~ん。・・・あ、マスクだ!

高倉:めんどくさいことは、みーんな、あとで。

奈良:ああ、学校に通ってるときから思ってたんだよね。勉強も習い事も、みーんな、あとで。

菅原:ああ、なんもやりたくない・・・。寝ようかな・・・。

高倉:努力なんて、ぜったい報われないって思ってたんだよね。ピアノやっても、テニスやっても、全然、いいことなかった。必死で練習してもうまくならないし・・・。

加藤:明らかに、ネガティブになってる・・・。しかも、気になるあの言葉・・・。あ・と・で。まさか・・・。


ナレーション:加藤は、惑星ATODEの大気を採取して、さっそく宇宙船に戻り調べました。


加藤:こ、これは! なに、この見たことのない、ウィルスは!


ナレーション:加藤は、地球にいる信濃川博士に分析結果を送信すると、信濃川博士から、すぐに通信が届きました。


信濃川:加藤君、

加藤:博士、いかがでしょうか?

信濃川:やっかいなことになったぞ。

加藤:ええ?

信濃川:これは新種のウィルスだ。名付けるとすれば、「アトデウィルス」・・・

加藤:アトデウィルス!

信濃川:その惑星に蔓延するウィルスだ。そこに生物が見当たらないのは、みんなこの「アトデウィルス」にやられて、怠けてしまったがゆえの末路なんだろう。

加藤:そんな・・・。

信濃川:このままでは、地球に帰ってくることもできなくなる。

加藤:えええ?

信濃川:こちらの実験結果では、おそらく、五時間以内になんとかしないと・・・。

加藤:なんとかしないと?

信濃川:食べるのも、あとで。眠るのも、あとで。ついには生きていることすらも、あとで・・・。つまり・・・・。

加藤:教授! どうすればいいんですか? 私は、どうすれば!

信濃川:落ち着くんだ、加藤君。とにかくみんなの免疫力をあげるしかない。

加藤:免疫力?

信濃川:前向きな言葉を口にすると、免疫力が増すという研究結果があるとかないとか・・・。

加藤:そんなあやふやな!

信濃川:やれることはみんな試すんだ! ワクチンもない時間もない! とにかくみんなに前向きな言葉を、加藤君、あとは、

加藤:博士! 博士! ・・・ああ、どうしたらいいんだろう、私ひとりで。


ナレーション:菅原、高倉、奈良の三人が宇宙船に戻ると、


菅原:ああ、ダルイ・・・めっちゃ、ダルイ。あとで、あとで! ぜーんぶ、あとで。

高倉:もういいよ、地球に帰るのは、あとで・・・メンドクサイ。

奈良:なんか欲しいもの、なくなっちゃった、ぜんぶ、あとでいいや、あとで・・・。

加藤:マズイ・・・ますます症状がひどくなってる・・・。ねえ、みんな! 思い出して、好きなこと、あったでしょ?

菅原:え? っていうか、かとみな、マジ、ウザイんですけど。

加藤:え?

高倉:そうそう、ひとりでいい子ぶって、マジ、ウザイ。

加藤:えええ?

奈良:あたしの持ってるリンゴあげるから、ひとりで食べたら、ははは。

加藤:そんな・・・。

加藤:こんな孤独、味わったことない・・・。行きの宇宙船の中では・・・。

(回想)
菅原:かとみな、大丈夫?

加藤:え? ああ、大丈夫、りったん、ありがとう。

菅原:これ、食べて、

加藤:え? メロンパン?

菅原:かとみな、好きでしょ?

加藤:ありがとう!

菅原:四人で力を合わせて、頑張ろうね!

加藤:うん。

高倉:かとみな、少し休みなよ、次の警備作業は私が変わるから。

加藤:もっちゃん、ありがとう!

高倉:みんなで今やれることをやろう!

奈良:かとみな、もし宇宙人が襲ってきたら、剣道初段の私が守ってあげるからね。

加藤:みはちゃんも?

加藤:そうだ・・・いっそ、いっそ私も、アトデ菌に感染してしまえば・・・楽かも・・・。そう・・・そうすれば・・・。私は、マスクをはずそうとしました。

加藤:いいよね、なんかゼッタイ、無理だし・・・全部、あとで・・・。

加藤:とそのとき、

まろん:きゃんきゃん

加藤:え? ま、まろん・・・。私は目覚まし時計の音を、飼っている犬のまろんの鳴き声に設定していたのです。

まろん:きゃんきゃん

加藤:まろん・・・そうだよね・・・。たとえどんなことがっても諦めない。私は、そうやって生きてきたんだ。しかも、そう思えるようになったのは、ここにいる三人のおかげ・・・。

加藤:みんな、大きな声で言ってみようよ! 私たちは宇宙飛行士になりたかった!

三人:・・・。

加藤:宇宙飛行士になってうれしかった!

三人:・・・。

加藤:やればできる! それは信じたひと、努力したひとだけが経験できる!

三人:・・・。

加藤:やれば、できる! やれば、できる! 今やれることをやろう! 今、やれることを、やろう!!


ナレーション::加藤は、言い続けました、声が枯れても、大声を出し続けました。


加藤:や、れば・・・で、きる・・・。


ナレーション:やがて、加藤美南はその場に倒れ込んでしまいました・・・。


加藤:え?


ナレーション:彼女の涙をそっとぬぐったのは・・・菅原りこ。


菅原:どうしたの? かとみな、泣いちゃって、

加藤:りったん・・・。

高倉:声、かすれてるけど、風邪、治らないの?

加藤:もっちゃん・・・。

奈良:ふわ~なんかずっと寝てたみたい。さあ、調査する?

加藤:みはちゃん・・・。

菅原:かとみなは、休んでなよ、私らで、頑張るからさ。

加藤:エエエエン!

三人:どうしたの? かとみな!


ナレーション:こうして、三人はウィルスに勝ち、みんなで力を合わせて調査を終えました。もちろん、しっかりとマスクをして・・・。


加藤:じゃあ、地球に帰ろうか!


ナレーション:なんだかやる気の出ないという、そこのあなた。ああ、ダリィ、マジダリィ、いいかな勉強は。あ・と・で、なんて思ったら、もう感染していますよ。そんなときは、この言葉を思い出してください。


加藤:やれば、できる! やれば、できる! 今やれることをやろう! 今、やれることを、やろう!!

収録後のワンショット

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