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2018年519日放送 午後900分~NHK-FM

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『ブレンド、ください!』

原案:矢作萌夏、前田彩佳、田口愛佳、庄司なぎさ、鈴木くるみ

脚本:北阪昌人

★参考:パラライカ、みっちー

出演

矢作萌夏、前田彩佳、田口愛佳、庄司なぎさ、鈴木くるみ、山寺宏一

あらすじ

あっと驚くコーヒーがバンバン出て来るカフェ、略して「カフェAKB」。この店で正式に店員として採用されるには、優秀な成績で研修期間を乗り越えなければならない。そんな「カフェAKB」に新しくやってきたのは5人の新人店員。そのなかでもひときわ目立つのは緑色の髪の女子・矢作萌夏。彼女の正体は、地球を調査するためにやってきた宇宙人だった…!

人物相関図

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ナレーション:ここは、東京、秋葉原の有名なカフェ。通称、あっと驚くコーヒーがバンバン出て来るカフェ、略して『カフェAKB』。この店で働くのは、並大抵のことではありません。研修期間を乗り越えた優秀な人だけが、店員として採用されるのです。おや、今月も、新人店員が、五人やってきました!なんだか、ひとり・・・髪の毛が緑色の女子がいますが・・・。


矢作:私の名前は、矢作萌夏・・・あ、これはちなみに、地球での名前。本当は、宇宙人。地球とは百万光年離れている、ある星から、地球って星を調査するために、やってきた。

店長:はい! みなさん、いいですかぁ。私がこれから言うこと、ちゃんと、聞いてちょうだい。ええ、申し遅れました。店長の、小林喫茶(こばやし・きっさ)です。

五人:よろしくお願いしまーすぅ!

店長:はい、まず、ダメぇ~。お願いしまーすぅって、語尾は、伸ばさないで。延ばしていいのは、パンにつけるバターと原稿の締め切り、はい、復唱!

五人:延ばしていいのは、パンにつけるバターと原稿の締め切り。

店長:はい、合格。よろしくお願いします! って、キレが大事。お願いしますっ! はい、復唱!

五人:よろしくお願いしますっ!

店長:マーベラス! ファンタスティック! やればできるじゃない。ええ、今日から、一週間、みなさんのこと、チェック! させていただきます。正式な店員になれるのは、だ・れ・か・な~? くくく・・・・。

五人:だ・れ・か・な~? くくく・・・

店長:それ、復唱しなくていいから。さあ、じゃあ、ひとりずつ自己紹介、しくよろ! まずは、そっちの、目がくるっくるしてるあんた。

鈴木:はい、鈴木くるみです。ええ、私は、おしゃべりが大好きなんで、お客様との会話を大事にしたいです!

店長:OK! 次、となり!

庄司:はい、庄司なぎさです。ええ、私は、チアダンスが得意なので、お客様を応援します! 踊ります! はい! はい! はーーい!

店長:OK! はい、次!

田口:田口愛佳です! あの、特技は、ウインクなんで、お客様に、このウインクを!

店長:ドキューーン! 来ました、OK! 次!

前田:はい、前田彩佳です! 私は、数学が得意なんで、一瞬で、お会計できます!

店長:5足す7足す39足す98足す43は?

前田:192!

店長:エクセレント! すげえ、マジ、すげえ! では、最後のキミ!

矢作:はい、ええ、あの、その、

店長:髪が緑色のあなた。お名前は?

矢作:ええ、ここでのお名前は、矢作萌夏ですけど。

店長:ここでの・・・名前? ウチで働くときの名前ってことかな?

矢作:ま、まあ、そんな感じです。あ、やだなあ、宇宙人じゃないですよ。

店長:え? あはははははは、冗談きついなあ、っていうか、面白くないし、あははははははは、宇宙人って・・・髪、緑色だし、あはははははは。

矢作:やべぇ、宇宙人だってこと、バレちゃった?


ナレーション:早朝のカフェAKB、掃除をしているのは、研修生の五人、前田、田口、庄司、鈴木、そして・・・髪が緑色の宇宙人、矢作。


鈴木:矢作ちゃんはさ、出身、どこ? 東京?

矢作:え? 出身? えっと・・・あ、ああ、遠いよ。

鈴木:遠いって、どこ?

矢作:M48星雲。

鈴木:それ、どこ? 何県?

矢作:県? あ、ああ、大気圏は、超えてる。あえて言うなら、銀河系。

鈴木:渋谷系とか、秋葉系みたいな?

矢作:まあ、そう、かな。

鈴木:っていうか、矢作ちゃん、なんかその髪の毛、宇宙人みたいでウケるんですけど。

矢作:え? あ、ああ、こ、これは、

前田:外国人なんだよ、ね?

矢作:はい、はい。

田口:顔が真っ青だけど、

矢作:これは、

庄司:生まれつきでしょ?

矢作:はい。

庄司:私は、庄司なぎさ、よろしくね。

矢作:よろしく。

前田:まあ、私たちはさ、しょせん、ライバルだし。挨拶なんてしなくてよくない?

矢作:ライバル?

田口:前田さんは、さっすが、クールだよね。理系女子、リケジョだし。

庄司:せっかく、こうして出会えたんだから、仲良くしましょう。

前田:友達ごっこ、めっちゃ苦手。

矢作:友達?

田口:ああ、えっと、友達は、英語で・・・フレンド。

矢作:フレンド? 友達・・・友達に必要なものは?

田口:え? 友達に必要なもの? それは・・・。

庄司:優しさ、いたわる気持ち、相手をうやまう心。

矢作:優しさ、いたわる、うやまう、それが・・・友達。

庄司:相手が、いちばん困っているときに、助ける気持ちだね。

矢作:それが・・・友達。・・・えっと、ブレンド。

矢作:あ、ああ、わかった・・・。このカフェにくるたいていのお客さんは、こういう。

お客さんA:ああ、すみませーん、ブレンド、ください!

お客さんB:あ、ボクも、ブレンドください!

矢作:みんな・・・友達がほしいんだ。ということは、カフェって、友達をつくる場所なんだ。ブレンドって、なんか、いい、うん、地球を知るためのきっかけができた。

前田:ちょっと矢作ちゃん、なに、ひとりでうなづいてるの?

矢作:みんな・・・ブレンドが好きなんだなあって。

前田:ブレンド? コーヒーの話? どしたの? いきなり。

矢作:ブレンドって、あったかいもの?

鈴木:まあね、さめてたら、怒られるよ。

矢作:ブレンドって、毎日、ほしくなるもの?

田口:そうかも。毎朝、注文するひと、いるよ。

矢作:いいね・・・ブレンド。

前田:ほら、おしゃべりしてないで、掃除、ちゃんとやってよ。店長にいいつけるよ!

庄司:なにピリピリしてんの? 前田さん。

前田:別にピリピリなんかしてません。ただ、私は、この店の正式な店員になるために頑張ってるの。いいかげんな気持ちのあんたたちとは違うってこと。

田口:いいかげんな気持ちなんかじゃないよ!

鈴木:そうだそうだ、バシッと、いってやって、田口さん!

田口:私はね、なんとなく、カフェの店員にあこがれて、なんとなくバイトできたらいいなあって、なんとなく、ここにいるだけなの!

庄司:って、結構いいかげん!

前田:やれやれ。この五人の中で残るのは、私だけだね。ははは、

矢作:ちょっと待って。

前田:なに、矢作ちゃん。

矢作:前田さんは、いらないの? ブレンド。

前田:ブレンド? それは・・・好きだけど。

矢作:地球のひとは、ブレンドがないと生きていけないんでしょ?

前田:いやいや、そこまで大げさなもんでもないと思うけど。

店長:ほら~! みなさん、掃除はすんだ? おしゃべりは、厳禁ですよ!

五人:すみませんっ!


ナレーション:三日後、店長から、途中経過が発表になりました。


店長:ええ、御存知のように、私の名前は、小林喫茶です。『バイトのみなさん そこのけそこのけ 店長が通る』『ライバル店に 負けるな喫茶 ここにあり』まあ、俳句がね、趣味なもんで。え~、ここで、五人のみなさんの評価をですね、いろいろな角度から点数化させてもらった結果を発表します。二位と一位の方の名前だけ、発表しますね。あくまで今の時点ですが、ええ、まず二位は・・・・

店長:前田彩佳さん。

前田:え? 私が!? ・・・2位? そんな・・・。

店長:そして、一位は・・・

店長:矢作萌夏さん!

五人:えええ?

店長:えええって、矢作さんまで驚いてどーすんですか。ねえ、矢作さん!

矢作:矢作? あ、ああ、私だ。はい。

前田:店長、納得いきません! なんで私より、この緑色が上なんですか?

矢作:はい、私もそう思います。

前田:私は、接客の態度、笑顔、テーブルの上の片づけ、レジ打ち、全部、完璧にこなしました。

矢作:そうです。前田さんは、完璧にこなしました!

店長:前田さんは確かに、頭がいい。そつなく、なんでもこなす。でもねえ・・・矢作さんの人気はねえ、すごいんですよ。彼女めあてにやってくるお客さんが、たっくさんいるんです。

前田:それは緑色の髪の毛が珍しいから。

店長:それだけでしょうか・・・。まあ、残りの二日間。しっかり頑張ってくれたまえ! はははははは、


ナレーション:研修日最後の午後に事件は、起こりました。・・・。


おっかない客:おい! 店長を出せよ、店長を!

前田:ええと、店長はあいにく今、出ておりまして・・・。

おっかない客:あんた、バイト?

前田:あ、はい。

おっかない客:このカフェは、なにかい? 客に、冷えたブレンドを出すのか?

前田:いえ、そのようなことは、あの、でも、もしあれでしたらいれなおしますが・・・。

おっかない客:もしあれでしたらって、どーーいうことだっ! なめんなよ!

鈴木:やばいよ、あのお客様、マジやばいよ!

田口:どーする? 店長に連絡する?

庄司:店長、さっき、ちょっとサウナに行くって言ってたから、連絡つかないよ。

鈴木:どーしよう!

矢作:お客様!

鈴木・田口・庄司:ええ? 矢作ちゃん?

おっかない客:なんだ? 緑色の頭して・・・。

矢作:前田さんは、間違っていません。

前田:ちょっと、あんたは引っ込んでてよ、これは私の問題だから。

矢作:でも、

おっかない客:こっちの可愛いお嬢ちゃんの言うとおりだよ、緑星人は、ひっこんでな。

矢作:緑星人ではありません! M48星雲から来ました。

おっかない客:わっけわかんねえ。いいか、オレを怒らすと、シャレじゃすまねえぞ。おい、おまえ!

前田:あ、あ、あああ、


ナレーション:そのとき、あまりの恐怖と緊張で、前田彩佳は、倒れてしまいました。


矢作:前田さん!

おっかない客:お、オレは、なにもやってねえぞ、やってねえからな。やってねえからな!


ナレーション:おっかない客は、あたふたと店から出ていってしまいました。


四人:前田さん!

四人:前田さん、大丈夫?

鈴木:あれ、矢作ちゃん、なんで、コーヒー持ってきてんの?

矢作:こんなときこそ、ブレンドが必要かなあって。

田口:ブレンド?

庄司:なんで?

矢作:だって・・・優しさ、いたわる気持ち、うやまう心。

前田:ううん・・・。

矢作:前田さん!

前田:矢作、ちゃん、なんで?

矢作:え?

前田:なんであんたは、私に、優しくするの?

矢作:そんなの、簡単なことだよ。だって、前田さんは、私の、ブレンドだから。

前田:ブ、ブレンド?

矢作:どんなにしつこく聞いても、あなたは、嫌がらず、教えてくれた。どんなに私が失敗しても、笑ったりしなかった。どんなに私が変なことを言っても、笑わなかった。

前田:それは・・・。

矢作:ねえ、前田さん。今、何がほしいか、言って。

前田:私は、

矢作:何が、ほしい?

前田:ブレンド・・・ください。私は、ブレンドが、ほしい。

矢作:はい。どうぞ。いつでも、あなたの近くに、あるよ。

前田:・・・ありがとう・・・。


ナレーション:そんな5人の様子を見ていたのは、店長でした。


店長:キミたち、全員、合格です。来週から、正式なカフェ店員として働いてもらうよ。

五人:やったぁ! ありがとうございます!

矢作:私の、地球人を知る旅は、今、始まったばかりだ。

収録後のワンショット

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