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2018年55日放送 午後900分~NHK-FM

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『遅かった告白』

原案:植村梓、村瀬紗英、加藤夕夏

脚本:北阪昌人

★参考:一番星、サラー

出演

植村梓、村瀬紗英、加藤夕夏、山寺宏一

あらすじ

NMB高校に通う幼なじみの植村梓と、加藤宇香男(うかお)。二人のクラスに、植村の初恋の相手、村瀬紗英太郎が転校生としてやってくる。休み時間、村瀬からも初恋の相手だったと告げられ、運命を感じる植村。一方、そんな植村に片思いをしている加藤は、植村の父が営むラーメン屋に弟子入りする。翌日、加藤がラーメンを作る光景を見て、植村は、とある誤解に気付く…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、大阪なんばにある、NMB高校。3年A組のクラスでは、幼なじみの植村梓と、加藤宇香男(うかお)が、話しています。


梓:宇香男、大学、どうすんの?

宇香男:え? オレは、その~、いろいろ考えてるっていうか・・・。それより、梓はどうすんの? やっぱ、進学せんと、実家のラーメン屋さん、継ぐの?

梓:まあねえ、ウチはお父ちゃんが、うるさいからなあ。梓には、ムコもろてもらって、このラーメン屋は、ぜったい、つぶさへんって。

宇香男:ふ~ん。おっちゃんが作るラーメン、オレは好きやで。でも、オレが好きなんは、ラーメンだけやなく、その~、あの、

梓:あ、先生来た!

担任:はい、みんな! 大型連休でだら~ってなった体と頭を、引き締めるでぇ~。小テストも、ビシバシやるさかい、あんたら、覚悟しいや! さて、今日は、まずは、転校生の紹介をします。

梓:教室に入ってきたのは、めっちゃ、イケメンの男子。え? えええ? あの目ヂカラ! あれは、

村瀬:どうも、転校生の村瀬紗英太郎です。実は、この街には、幼い頃、住んでいたんです。いわば、出戻り、ですね、あはははは、どうぞ、よろしく!

梓:村瀬紗英太郎くん・・・私の初恋のひと・・・。


ナレーション:植村梓の恋の行方は、春風だけが知っている!


ナレーション:一時間目が終わった休み時間。


村瀬:梓さん、

梓:え?

村瀬:お久しぶりぶり。

梓:ええ?

村瀬:知ってるよね、ボクのこと。

梓:え? あ、ああ、どうだったかなあ・・・。

村瀬:ええ? ショックだな。ボクの初恋の相手、なんだけど、キミが。

梓:え?

梓:えええ? マジ、マジで? ってことは、両想いだったってことやん。

梓:ご、ご、ごめんなさい、あたし、記憶力が、よくなくて。

村瀬:そっか。そうなんだね。まあしょうがないか、十年近く前のことだから。でも、梓さん、綺麗に、なったね。

梓:そんな・・・。

梓:やだ、あたし、顔が・・・赤くなってる・・・。

村瀬:また、会えて、うれしいよ、いや、もしかしたら、こういうのを、運命、っていうのかもしれないね。ボクたち、今から、始まるのかな。はははっは、

梓:始まる・・・運命・・・。ヤバイ・・・なんか、あたしに・・・やっと、春が、来た?


ナレーション:ここはなんばの裏路地にある、ラーメン屋さん「うえむら」。


梓:ただいま。

お父さん:おう、遅かったやないか! 梓、店、手伝え!

梓:って、お客さん、いてへんし。

お父さん:準備ってもんがあるんや、準備が。なあ、宇香男、

宇香男:はい。

梓:って、なんであんたがおるん?

宇香男:いやあ・・・ここのラーメン好きで、どうやったらこんな味出せるんやろうって思て、そしたら、弟子入りするんが、いっちゃんええなあって思て。

梓:クラスでイチバンの秀才くんが何いうてんねん。ダシとる暇あったら、勉強しいや。

宇香男:オレは・・・。

お父さん:あほんだら!ええ加減、気づいてやれよ、宇香男はなあ、

宇香男:ああああああ、準備しよ!準備!! 一生懸命、準備しよ!!

梓:ああ、バカらし。部屋で着替えてくるわ。

梓:あたしは・・・今日の村瀬くんの目ヂカラを、思い出していた。

(回想)
村瀬:また、会えて、うれしいよ、いや、もしかしたら、こういうのを、運命、っていうのかもしれないね。ボクたち、今から、始まるのかな。はははっは、

梓:運命・・・ええ言葉やなあ・・・。


ナレーション:次の日、さっそく、村瀬紗英太郎の攻撃が始まりました。


梓:え? つきあう?

村瀬:ダメかな、ボクじゃ。

梓:あ、あの、

村瀬:ボクはねえ、こう見えて、ギターにピアノ、タンバリンが得意なんだ。ボクの母はねえ、ガーーーーーーールズバンドをやってたんだよ、実際の話。

梓:ガーーーーーーーールズ、バンド。

村瀬:梓さん、キミならボクの母とも、うまくやっていけるんじゃないかな。

梓:でも、つきあうって、どういうことなん?

村瀬:あははっははは、いやあ、マイッタなあ、まあ、最初は、学校の行き帰りを、一緒に過ごそうよ。ね?

梓:ああ、あかん、この目ヂカラ、あかん。

梓:あ、そういえば、

村瀬:なに?

梓:昔、ちっちゃいころ、ウチのお店に来てくれて、子どもながらに、ラーメンつくるふり、してくれたよね?

村瀬:ん? そうだったかな? う~ん、まあ、そんなこともあったかもね、はははっ。それがなにか?

梓:ううん。なんでもないの。

梓:やっぱり・・・このひと、あたしの・・・。


ナレーション:そんな様子を、柱の陰から見ているのは・・・宇香男・・・。


宇香男:梓・・・。

村瀬:まあ、明日までに返事をくれればいいからさ。じゃあ、よろしくグッバイまた明日。

梓:って、村瀬くん、まだ二時間目だけど、

村瀬:ボク、モデルの仕事もしていてねえ、今日は、ジュクハラ、ああ、ごめん、原宿で撮影がねえ、あはははっは、

梓:原宿で、撮影? って、東京?


ナレーション:その日、梓が、家に帰ると、


梓:ただいま~

宇香男:へい、らっしゃい! って、梓か、

梓:あたしで、悪かったわね。

宇香男:いや、そういう意味やないけど、

梓:・・・なんでここにいるん?

宇香男:え?

梓:家で勉強したらええんちゃうの?

宇香男:いや、オレは・・・。

梓:あ、お父ちゃんは?

宇香男:買い出し。

梓:そう。

宇香男:あ、梓、

梓:なに?

宇香男:あんな・・・。

梓:なに?

宇香男:オレが作ったラーメン、食べてくれへんか?

梓:え? つくれんのん?

宇香男:見様見真似やけどな。

梓:ええよ、人体実験したる。

宇香男:そこまで、冒険ちゃうわ。


ナレーション:そうして、宇香男は、一杯のラーメンを、梓のために作り始めました。梓は、何かを思い出すように、その光景をじっと見つめています。


宇香男:おまちどうさま。

梓:うわ、あたしの好きなネギがぎょうさんのってる。しかも、辛そう。いっただきます! ん? ん??

宇香男:どう?

梓:・・・か、辛い! っていうか、めっちゃ、辛いんですけど!!

宇香男:好きやろ、辛いの。

梓:好きやけど・・・。あのさ、

宇香男:なに?

梓:ひとつ、質問やねんけど、

宇香男:なに?

梓:・・・あたしがめっちゃちっちゃいとき、今みたいに、ラーメン、つくるふり、してくれた?

宇香男:ああ、したよ。覚えてる。そんときも、梓んために、作った。ふりやけどな。

梓:やっぱり・・・。

梓:あたし・・・誤解してた。やっぱり、村瀬くんやなかったんやなあ。

村瀬:え? 断る? このボクの申し出を、断る?

梓:たぶん、合わへんと思う、あたし、おしゃれでも、カッコよくもないし。

村瀬:そんなことないよ、キミは、バラより美しいよ!

梓:村瀬くんには、もっとふさわしいひとが、いるよ。それじゃ!


ナレーション::そうして、今日も、ラーメン「うえむら」では・・・。


宇香男:へい、らっしゃい! って、梓か、

梓:あたしで悪かったわね。

梓:宇香男くんのつくってくれたラーメンは、あたしの舌にぴったり合っていた・・・。あたし、誤解してた。運命の相手は、ずっと、近くにいてくれた。宇香男くん、ありがとう。

収録後のワンショット

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