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2018年55日放送 午後900分~NHK-FM

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『こんな桃太郎はいやだ!』

原案:植村梓、村瀬紗英、加藤夕夏

脚本:北阪昌人

★参考:馬太郎、コミコ

出演

植村梓、村瀬紗英、加藤夕夏、山寺宏一

あらすじ

鬼ヶ島へ鬼退治に出かけた桃太郎。森の中を歩いていると、犬の植村が家来にしてくれ、とやってくる。コミュニケーション能力の高さを買い、桃太郎は犬を仲間に加える。さらに森の中を進み、情報発信を得意とするネコの村瀬、ダンスが得意なオオカミの加藤を仲間にする。こうして、桃太郎、犬、ネコ、オオカミの一行は鬼ヶ島を目指すが…。果たして鬼退治は一体どうなる?!

人物相関図

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ナレーション:あなたがもし、桃太郎だとします。さあ、これから鬼ヶ島へ鬼退治に出かけます。森の中を歩いていると、


ナレーション:家来にしてくれと、こんな動物がやってきたら、どう、しますか?


植村:ワンワン! 植村だ、ワンワン!

桃太郎:おお、犬さんか、キミは、どんな役に立ってくれるのかな?

植村:ワン! ええ、桃太郎さん、ええ、自分でいうのもなんですか、かなり、コミュニケーション能力は高い方だと思うんだワン!

桃太郎:コミュニケーション能力? それって、どんな役に立つんだい?

植村:はい。ええ、たとえば、まあ、桃ちゃんがですね、「今まで奪った宝物を返さんかい!」って言うたとき、

桃太郎:関西弁?

植村:鬼が「いやや。そんなん、いやに決まってるやないか!」ってだだこねたとします。

桃太郎:ありうるねえ、それは。

植村:まあ、そこからが、ボクの出番です。コミュニケーション能力です。

桃太郎:なるほど。

植村:ワン。

(イメージ)
植村:はい、まいど、鬼さん

鬼:は? ふざけたことぬかすな!

植村:まあ、怒らんと怒らんと。血圧、あがりまっせ。

鬼:なんでオレたちがせっせと集めた宝もんを、いきなり現れたなんや知らん奴に渡さなあかんのや!

植村:そこや、そこ。これを資産運用と考えてみましょ。

鬼:資産運用?

植村:これから、桃太郎っていう株は、めっちゃうなぎのぼり。ゼッタイ、買いです。だまーーって宝もんを渡しておいたら、桃太郎さん、ああ、たまには鬼に配当でもやるかぁ、てなもんで、今後は、安定した老後が過ごせますよ。

鬼:安定した老後かあ・・・そりゃええなあ。ぶっちゃけ、不安やったんや、鬼いうても、なんの社会保証もないもんでなあ。

植村:ほな、ということで、ここに、ハンコ、ついてもらえます。ああ、拇印(ぼいん)でかまいません。はい、これで、契約、成立、と。

鬼:おおきに、なんや、犬さんのおかげで、将来の不安が消えたわ。

植村:てな具合です。

桃太郎:すごいな、犬さん。

植村:ワン!

桃太郎:じゃあ、きびだんご。

植村:きびだんご? いや、あのですねえ、ネギたっぷりのからーーーいラーメンがええんですが・・・

桃太郎:えええ?

植村:ラーメンで、頼んます。


ナレーション:桃太郎と犬が、さらに森の中を進むと、やってきたのは、


村瀬:にゃあ~

桃太郎:って、猫?

村瀬:ネコ目で、すっぴんでもメイクしてると思われる、村瀬ネコです。

桃太郎:あのねえ、桃太郎に猫、出てこないんだけど、

村瀬:にゃあ、まあ、かたいこと言わんと。あたしを連れていくにゃあ、

桃太郎:キミを家来にしたら、どんないいことあるの?

村瀬:それはなあ、WEBマガジン「モモタロウ」を立ち上げまっせ、あたしが編集長やったるニャ。

桃太郎:WEBマガジン?

村瀬:これからはなあ、桃太郎さん、情報発信の時代やから、

桃太郎:情報発信?

村瀬:桃太郎さんを、逢いにいける英雄にするのんが、私の役目だニャ。

桃太郎:逢いにいける英雄。

村瀬:桃太郎の日々の暮らしからインスタ映えするものをピックアップ! パジャマ姿の桃太郎からすっぴんまで、赤裸々に見せちゃいます。好感度、あがりまっせ。

桃太郎:なんかわかんないけど、採用! はい、きびだんご!

村瀬:いやあ、きびだんごより、サバの味噌煮が好きニャもんで、

桃太郎:渋っ!

村瀬:ほら私って、おばあちゃん子だったじゃニャいですか。

桃太郎:知らないし。


ナレーション:桃太郎と犬、猫がさらに森を進んでいると、


加藤:うお~ん、八重歯が可愛い加藤オオカミですよ。

桃太郎:って、自分で可愛いって言っちゃってるし。

加藤:桃太郎さん、私を鬼退治に連れていってください。

桃太郎:めっちゃ弱そうなオオカミだけど、大丈夫? 何が得意なんだ?

加藤:私は・・・ダンスなら負けません。

桃太郎:ダンス?

加藤:オオカミダンスです。

桃太郎:あのね、オレたちは鬼退治に行くんだよ。ダンスって、

加藤:私のダンスは、みんなを巻き込みます、それくらい、すごいんです。まあ、見ていてください。いくぞ! へい!

加藤:イェーイ!フー!

桃太郎:す、すごい! なんだろう、こっちまで体が動いてしまう。

加藤:わかってくれました? これで鬼と踊っているうちに、桃太郎さんは、こそこそ宝物を盗んでください。

桃太郎:こそこそって、なんか泥棒するみたいに言うな。

加藤:なんなら自慢の遠吠えをしているすきに、こそこそ盗んでもらってもいいですけど、

桃太郎:だから、こそこそって、言うな! まあ、いいだろう。おまえも家来にしてやる。はい、きびだんご、

加藤:ああ、きびだんごは、ちょっと、あれなんで。私は、焼肉で。極上カルビでいいんで、よろしくです。


ナレーション:こうして、桃太郎と、犬、猫、オオカミは、鬼ヶ島を目指したのですが・・・。さて、どうなるのでしょう・・・。


ナレーション:ここは、激しい波が打ち寄せる浜辺。海の向こうには、緑色の鬼が島が見えます。いかだをつくるため、丸太を探している桃太郎。犬、猫、オオカミの三匹は、手伝うふりをして、茂みの中でサボっています。


犬:ワンワン、なあ、どないする? ほんまに行く? 鬼ヶ島。

猫:にゃあ、それやねん、あたしも考えててん。なんやめっちゃ怖いなあって。

オオカミ:ウオ~ン、まあなあ、なんていうても、鬼やからなあ。でもなあ、先にご褒美もろてるからなあ。

猫:そやなあ、先に御馳走になってるしなあ。

犬:でも、鬼はやっぱ、鬼やで、怖いと思わへん?

猫:怖い、あかん、やっぱ、あかん、やめよ、

オオカミ:でも、ここまで来てやめるいうのんもなあ、桃太郎さんに悪いっていうか、

猫:そやなあ、悪いなあ、

犬・オオカミ:って、猫! あんたどっちやねん!

猫:にゃあ。

犬:ないてごまかすな!

オオカミ:ねえ、見てよ、桃太郎さん、一生懸命、いかだ作ってる。

桃太郎:よいしょっと。えっと、この丸太をこうして・・・あと、ここを縛って・・・

犬:ワンワン、ボクね、昔、おじいちゃんがやっぱり、桃太郎さんと鬼が島に行ったっていう話を聴いたことがあるねん。

猫:へぇ、そうにゃんだ。

オオカミ:で? やっぱ、鬼は怖かったって?

犬:最初はね、めっちゃ怖かったって。でも、話せば鬼には鬼の事情があったみたいで。

猫:鬼の事情?

犬:金銀財宝も、もともとは鬼のもんやったそうなんや。それをただ取り返しただけやのに、いきなり桃太郎がやってきてまた奪われたって。

オオカミ:誤解してたのかもなあ、鬼のこと。

猫:あ、今回も誤解みたいだにゃあ。

犬:どういうこと?

猫:いや、いちおうね、鬼さんに、メールしといたんやけど。

犬・オオカミ:メール?

猫:いきなり奇襲かけんのはどうやろ思て、いちおうね、そしたら、返信が来て、

犬・オオカミ:返信?

(イメージ)
鬼:こんにちは、猫さん、メール拝受いたしました。律儀に事前にお知らせいただきまして、感謝しております。現在、鬼ヶ島は、リゾートになっておりまして、皆様方のお越しを、鬼一同、心よく、お待ちしています。温泉にゆっくりつかっていただき、マリンスポーツも是非、お楽しみください。それでは、お気をつけて、お越しください。鬼より

猫:ね、めっちゃいい感じ、じゃニャい?

犬:オオカミ、

オオカミ:はい、

犬:どう思う?

オオカミ:匂いますね。

犬:だよな、ボクもなんだか罠の匂いがする。

猫:考えすぎやって、ああ、哀しいなあ、ひとのことが信じられへん可哀想な犬とオオカミやニャあ、

犬:ひとやなくて、鬼やけどなあ。

オオカミ:猫、このこと、桃太郎さんは?

猫:知らへん。

桃太郎:おーい! みんないかだが出来たぞー!


ナレーション::桃太郎、犬、猫、オオカミたちは、桃太郎が作ったいかだに乗って鬼が島に到着しました。


鬼:やあ、どうもどうも、遠いところから、わざわざ、どうもどうも、我が、鬼ヶ島リゾートへ、ようこそ!


ナレーション::ハッピを着た愛想のいい鬼が、一行を出迎えました。


桃太郎:なんか、めっちゃ、感じいいんですけど。

犬:桃太郎さん、これ、罠かもしれまへんでぇ。

桃太郎:ワナ?

オオカミ:そうそう、気をつけましょ。

猫:そんなん、考えすぎやて。先に、ひとっ風呂、浴びてくるニャ。おおっと、猫なんで、熱いのは苦ニャんやけど、

鬼:猫さんには、ぬるーいお湯、ご用意してございますよ。へへへへ。

オオカミ:犬さん、

犬:なんや、オオカミさん、

オオカミ:匂いますね、

犬:ああ、匂う・・・今夜は、すき焼きやな。

オオカミ:って夕飯かーい! ちゃうでしょ、あの鬼の態度・・・。

犬:ああ、そっちかいな。

オオカミ:我々を油断させといて、きっと、

犬:きっと、なんや?

オオカミ:我々の命を・・・。

犬:まさか・・・。

オオカミ:あ、見てください、鬼のひとりが、浜辺のほうに行く!

犬:ワン! あとをつけよう!


ナレーション:夕闇迫る浜辺に、つながれたいかだ。そこに、鬼が忍び寄ります。


オオカミ:ああ、きっと、あれや、あのいかだを壊すんや。

犬:我々を逃げられんようにするって魂胆(こんたん)やな。

オオカミ:ああ、鬼が、いかだを!

犬:いくか!

オオカミ:いや、え?


ナレーション:鬼は、いかだのいたんだ場所を修理しはじめました。しかも、綺麗に、磨いたのです。


犬:なんや・・・誤解やった・・・。

オオカミ:鬼、めっちゃいいやつやん。


ナレーション:誤解だったことを認めた犬、オオカミは、桃太郎に報告をすると、鬼たちが用意した宴会の席に通されました。


鬼:ええ、恥ずかしながら、鬼ダンスをご披露いたします。鬼ヶ島48、略して、OGS48です! どうぞ!!

オオカミ:わああ、うまいね、うまいね、ダンス。ええなあ、めっちゃ、楽しいなあ、

犬:あれ?

オオカミ:ん?

犬:そういえば、猫の姿が・・・。

オオカミ:長風呂ちゃうのん?

犬:熱いの苦手やのに?

桃太郎:まさか!

鬼:は~はっはっは!


ナレーション:突然、音楽が止み、鬼の態度が一変したのです!


鬼:茶番は、ここまでやあ。あんたら、こっからは、地獄に行ってもらうで。

犬:ひえええ!

オオカミ:あああ、猫さん!

鬼:あはははははっは、人質(ひとじち)、いや、猫質(ねこじち)やあ!


ナレーション:舞台には、捕らわれた猫の姿がありました。


桃太郎:猫!!


ナレーション:叫ぶ、桃太郎! しかし、まわりを鬼に囲まれてしまい、さらに・・・。


桃太郎:なんだ・・・体がしびれて・・・。

犬:わぉ~ん・・・

オオカミ:動かない・・・。


ナレーション:飲み物に、しびれ薬を入れられていたのです。


鬼:オレのじいちゃんは、桃太郎、あんたのじいちゃんに、金銀財宝奪われて、さんざんな目にあわされたんや。じいちゃんの恨み、孫のあんたで、はらさせてもらうでぇ。

犬:誤解の誤解やった! ワンワン!

オオカミ:ウォーン、そのようやなあ。


ナレーション:絶体絶命の大ピンチ!! と、とのとき・・・・


猫:ちょっと待った!


ナレーション:縛られていた猫が、するりと縄をほどき、鬼の前に立ちはだかりました。


猫:鬼さん、復讐は、またさらなる復讐を呼ぶだけニャ。あかん、そんなんしたら、あかん。

鬼:ええ?

猫:ええリゾート、つくりはったやニャいか。これをけがすようニャこと、せんといて。

鬼:でも・・・恨みは、

猫:過去は過去、わたしらは、今を生きている。重い荷物をいつまでも背負っていくのは、しんどい話やで。

鬼:おまえ・・・ただの猫じゃないな。

猫:アハハハハッハハ、そうや、あたしはニャあ、なんべんも生まれ変わる、不死身の猫ニャんや。あんたらの人生は、あんがい、短い。そやから、争ってる暇があったら、仲良うする道を選んだほうが、笑顔が増える。

オオカミ:なんか、猫、カッコええやん。

犬:ボク、誤解してた。あいつ、あんがい、デキル猫やったんやあなあ。

鬼:桃太郎さん、

桃太郎:鬼さん・・・。


ナレーション:猫の言葉に心を動かされた鬼は、桃太郎と和解し、固い握手が結ばれました。そして・・・猫は、


猫:いや~、今のシーン、全部、動画であげんで、再生回数、め~っちゃすごいことになると思います。ええ、ユーチューバーの猫でした。

犬・オオカミ:えええ? それが目的??!!

収録後のワンショット

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