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2018年47日放送 午後900分~NHK-FM

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番外編『ペンギン、大好き!』

原案:小池美波、米谷奈々未、織田奈那

脚本:北阪昌人

★参考:のぶねぇ、さっちゃん

出演

小池美波、米谷奈々未、織田奈那、山寺宏一

あらすじ

ここは欅坂の坂の上にある水族館。今、この水族館では人気者だったペンギンのタローが、突然、芸をしなくなるという問題を抱えていた。ある日、ペンギンが大好きな小池美波が新しく飼育員として働くことに。早速、一晩タローのそばで様子を見ることにした小池。すると、タローが話しかけてきて…。果たして、新人飼育員・小池美波は、この水族館の救世主になれるのか?!

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、欅坂という坂の上にある、水族館。館長が、新しく入ることになった飼育員を連れて歩いています。


館長:小池さん、我が水族館へようこそ。

小池:よろしくお願いします!

館長:ウチはねえ、そんなに大きな水族館じゃあないんだが、生態展示も早くから導入したし、エンターテイメントを重視してきたんで、それなりにお客さんは、増えていたんだが・・・。まあ、近くにでっかい水族館ができたことと、あとはねえ、人気ものだったペンギンのタローが、突然、全く芸をしなくなったんだ。そこで、ペンギン飼育を希望する、キミに期待してるわけなんだよ。

小池:はい。

館長:あ、あそこでペンギンたちに餌をやっているのが、オダナナだ。怖いことがあると、「やだぁ~」とか、おネエ言葉になるのが、特徴だ。

織田:はーい、みんな、お食事だよ!

館長:で、あっちで、プールを掃除してるのが、ヨネさんだ。ものすごい潔癖症で、仲間との回し飲みはできない、鍋をみんなでつつくのも、嫌なんだそうだ。それでよく、飼育員がつとまると思うだろう?でも、優秀なんだ、ははははは。

米谷:もっと、綺麗に、もっと、清潔に、ゴシゴシ!

小池:あの、タローには会えますか?

館長:ん? ああ、もちろん。あの扉の中だよ。

小池:そこに、マゼランペンギンのタローがいた。

館長:ったくもう、やる気がなくなってしまって・・・。どうしたもんかねえ・・・。

小池:タローに、やっと会えた。私は、自分の進路が決まらず悩み、落ち込んでいるときに、彼のパフォーマンスに、いっぱいいっぱい、助けられた。

小池:タロー・・・。

小池:そう呼んでみても、彼は檻の中で、微動だにせず、直立不動。どうしちゃったの? ねえ、タロー?


ナレーション:新人飼育員・小池美波は、果たして、この水族館の救世主になれるのでしょうか?


小池:小池美波です! どうぞ、よろしくお願いします!

オダナナ:はいはい、そんなに元気よくなくていいから。

小池:はい?

オダナナ:どうせ、この水族館、つぶれちゃうし。

小池:ええ? そ、そうなんですか?

ヨネさん:って、オダナナ、いきなりそんなこと言わなくても、

オダナナ:隠したってしょうがないでしょ。事実なんだから。

小池:じ、事実・・・。

オダナナ:可哀想にねえ、いきなり来て職を失うなんて・・・。

小池:ま、マジ? どういうこと?

ヨネさん:ほら、坂の下に、大きな水族館、できたじゃない。

小池:腹黒水族館ですか?

オダナナ:そう、最初はさあ、ウチにも「よろしくお願いします!」とか挨拶しにきて、ウチの館長、ひとが良すぎるから、オットセイやペンギン、魚のいくつかを、譲ったりしたんだよ。

(回想)
館長:水族館が増えてくれれば、相乗効果でお客さんも増えるさあ、あはははははは。

オダナナ:増えねえっつーの。坂の下のほうが、行きやすいし。しかもさあ、オープンしてみてびっくりだったのは、向こうは規模もすごいし、施設も最新! いやあ、かなわない、かなわない。

ヨネさん:しかもねえ・・・ペンギンのタローがねえ・・・

オダナナ:小池ちゃん、ペンギン、好きなんでしょ?

小池:はい!

オダナナ:じゃあさ、ちょっとタローに聞いてよ、あんた、どうしちゃったの? ってさあ。まあ、聞けるわけないけど。

小池:そのつもりです。

オダナナ:え?

小池:今日の夜、タローの傍で過ごします。

ヨネさん:え? ほんとに?

小池:ええ、やってみます。


ナレーション:その夜、特別に許可をもらった小池美波は、タローを屋外プールに放してやりました。


小池:私は、ペンギンが好き。立ってる姿に癒される、まるで空を飛ぶような泳ぎかたも好き。歩き方、目の表情、愛くるしい。

小池:タロー、ここにおいで。

小池:タローは、岩の上にのぼり、立ったまま、じっと動かなくなった。ペンギンは、立ったまま、眠ることができる。

小池:どれくらい、時間が経っただろう・・・。プールに揺れる月が、いつしか消えていた。

タロー:おい、あんた、おい、眠っちまったのか?

小池:え?

タロー:おい、夜中に呼び出しといて、自分で寝ちゃうかねえ。

小池:タ、タロー?

タロー:おいらの声、聴こえんのか?

小池:き、聴こえる。

タロー:そっか。やっぱなあ、いやあ、ぶっちゃけ、最初にあんたを見たとき、こいつならやってくれるかなあって思ったわけだよ。

小池:やってくれる?

タロー:なんでおいらが、芸をしなくなったか、そのわけ、知りたいんだろ?

小池:うん、知りたい。私ね、あなたの芸に、たくさん励まされたから。

タロー:覚えてるよ、最前列で泣いてたよなあ、覚えてるよ。

小池:ほんと?

タロー:ああ、

小池:どうして? ねえ、どうして芸をしなくなっちゃったの?

タロー:話してもいいが、聞いた以上は、おいらの願いを聞いてもらうぜ。いいか?

小池:・・・わかった。私にできることだったら、何でもする。

タロー:じゃあ、話す。いいか、笑うなよ。おいらが、芸をできなくなったのは、恋人と離れ離れになったからだ。

小池:え? 恋人?

タロー:おいらには、ハナちゃんっていう恋人がいたんだ。それなのによう、あの腹黒のやつ、ひきさいて、持っていっちまった。

小池:ええ? まさか、あの、坂の下の水族館?

タロー:ウチの館長、お人よしでさあ、あれ、欲しいって言われたら、しょうがないねえとかなんとかいってさあ・・・。でも、腹黒のやつ、わざとなんだ。おいらが、ハナちゃんがいないとなんもできねえこと知っててやったんだ。

小池:ハナちゃんがいないと、できないんだね、パフォーマンスが。

タロー:どういうわけか、まったくやる気がおきねえんだよ。いなくなってわかったんだ。おいら、自分の芸をいちばん見せたかったのはハナちゃんなんだ。ハナちゃんが喜んでくれるから、頑張ってたんだ。

小池:タロー、あんたやっぱり、いい子だね。

タロー:気安く触るなよ。

小池:ごめん。

タロー:なあ、あんた。ハナちゃんを連れ戻してくんないかな?

小池:え?

タロー:それがおいらの願いだ。悔しいじゃねえか、このまま、終わるんじゃ、悔しいじゃねえか。連れ戻すのが難しいなら、もう一度、会うだけでもいい。お願いだ、この通りだ。じゃあな。

小池:その言葉を最後に、タローは、水に飛び込んだ。その夜はもう、話しかけてはこなかった。

オダナナ:っていうか、小池ちゃん、大丈夫?

小池:はい?

ヨネさん:タローが、ハナちゃんを連れ戻してくれって言った、

小池:はい。

オダナナ:そんな話、信じられると思う?

小池:でも、聞いたんだからしょうがないです。なんとかしないと。館長に話したんですが・・・。

(回想)
館長:え? そりゃあ、難しいなあ、ハナちゃんは、向こうで人気者になってるしなあ。しかし、タローとハナがつきあってたとはなあ・・・。腹黒館長が、それに気づいてたとしたら、いやあ、すごいなあ。

小池:って、感心してどーすんですか! どこまでお人よしなんですかっ!

オダナナ:でも、なんか頭にきたなあ、あの腹黒のやつ・・・。

ヨネさん:最初から、ウチをつぶす気で・・・。

小池:直接、腹黒館長に会いに行ったんですが、

(回想)
腹黒:へへへへへ、あんた、おかしいんじゃないの? 人気がでたからっていまさら返せって、そりゃないんじゃないの?

小池:初めから、知ってたんじゃないですか? タローは、ハナちゃんがいなくっちゃ何もできないってこと。

腹黒:へへへへへ、さあねえ、そんなことはわからんねえ、へっへへ、たとえそうでも、この世は、勝ったもんが偉いのさ。へへへへっへ

小池:取戻します。

オダナナ:は?

ヨネさん:取り戻すって、

小池:今日の夜、私は、ハナちゃんを連れだしに行きます。

オダナナ:ちょ、ちょっと待ってよ、小池ちゃん、

ヨネさん:そうだよ、そんなことしたら、

小池:たったひとめだけでも会わせてあげたいんです。

オダナナ:まあ、一瞬、連れ出して、バレずに戻せたら、まあ、あれかもしんないけど、でもなあ、

ヨネさん:危険だよ、やっぱり・・・。

小池:いいんです、私ひとりでやりますから。

オダナナ:聞いちゃった以上、ひとりで行かせるわけには、いかないよ。

小池:オダナナさん!

ヨネさん:そうだねぇ。

小池:米(こめ)さん!

ヨネさん:あ、ヨネ、さん、

小池:ありがとうございます! ヨネさん!


ナレーション:深夜の腹黒水族館は、異様な威圧感を持って迫ってきました。黒いコスチュームに身を包んだ、小池、オダナナ、ヨネさんがやってきました。小池の背中には、大きなリュックサック。


小池:ドキドキしますね。

オダナナ:なんか、手がふるえてきた~、やだ~、なんかやだ~どうしよう、こわくなってきたんですけどぉ~

ヨネさん:のどが渇きますねえ。

小池:あ、この水、飲みます?

ヨネさん:あ、大丈夫。回し飲みは、あれだから。

小池:私たちが、壁を乗り越えようとした、その瞬間!

小池:門が・・・開いた。中から出てきたのは・・・。

館長:ごくろうさま、諸君。

三人:館長!

小池:館長は大きなリュックを背負っていて・・・。

館長:キミたちが話しているのを、聞いてしまったんだ。キミたちを犯罪者にするわけにはいかない。全部、私がまねいたことだから・・・タローが、そんなにさみしい思いをしていたなんて・・・。ハナ、一緒に帰ろうな。

小池:みんなで、坂の上の水族館に戻った。タローとハナをプールで対面させる。

小池:始めは、少し戸惑っているようだったけれど、徐々に、近づき、お互いの尾っぽを優しく、重ねた。

小池:喜んでるね。

オダナナ:聴こえる? 声、

小池:いえ、全く。

ヨネさん:なんか、楽しそうだね。あ、あれ、ねえ、タローがなんかこっち来いって呼んでるみたい・・・。

オダナナ:きっと小池ちゃんだよ、さあ、行ってきて、

小池:はい。

小池:タローに近づくと・・・。

タロー:ありがとな、約束守ってくれて。

小池:いえ、ハナちゃんを連れだしたのは、館長です。

タロー:それはハナちゃんに聞いたよ、でも、あんたらも、行ってくれたんだってなあ。

小池:まあ、それは、

タロー:ハナちゃんに怒られたよ、館長や飼育員のみなさんに迷惑かけちゃダメだってなあ。

小池:そうなんだ。

タロー:おいら、明日から、頑張るよ。いつかきっと、ハナちゃんと一緒になれる日を夢みて。

小池:私も、ハナちゃんを戻せるように、頑張ってみる!

タロー:ありがとな。

小池:タローとハナちゃんは、プールを泳いだ。二人だけのデート。クルクルまわったり、はねたり、飛んだり、楽しそうだった・・・。

館長:可哀想だが・・・そろそろ、返しにいくか・・・。


ナレーション:こうして、タローの芸は、復活しました。お客さんは、長蛇の列。一方、腹黒水族館ですが・・・。資金繰りを失敗したようで、あえなく、撤退・・・。晴れて、ハナちゃんが、戻ってきたのです!


小池:よかったね! タロー!

小池:あれ以来、ペンギンの声は聴こえない。でも、なるべく心の声を聴こうと、私はペンギンたちに寄り添っている。

オダナナ:こら、タロー、いつまでもいちゃいちゃしてんなよ!

ヨネさん:小池さん、あなたが来てくれて、よかった。

小池:こちらこそ、ヨネさんとオダナナさんのおかげです。

ヨネさん:ペンギンって、可愛いね。

小池:ええ、私、大好きなんです、ペンギン。

収録後のワンショット

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