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2018年39日放送 午後1000分~NHK-FM

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『明日へのシュート』

原案:瀧野由美子、薮下楓、岩田陽菜、土路生優里

脚本:北阪昌人

★参考:ビーボ、こっぺぱん

出演

瀧野由美子、薮下楓、岩田陽菜、土路生優里、山寺宏一

あらすじ

STU女学院バスケットボール部は、先日の練習試合でコテンパンに負けてしまい、主要メンバーの薮下、岩田、土路生の三人は自信を失っていた。全国大会も近づいており、キャプテンの瀧野由美子もコーチに弱音を吐いていた。どうしたらいいのか、わからなくなった瀧野は海にせりだした桟橋(さんばし)を歩いていると、偶然、釣りをしているおじいちゃんに出会う。会話の中で、ヒントを得た瀧野は、ある夜、メンバーを体育館に集めて…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、瀬戸内にある、海沿いのSTU女学院。体育館では、バスケットボールの練習が行われていました。


瀧野:ほら、ふう! どうして、そこでシュートを打たないの?

藪下:だって、ゆみりん、私、ミスするのが怖くて・・・。

瀧野:ミスしたっていいの、大事なのは、シュートを打つこと。ひなちゃんは、もっと相手をブロックしなきゃ、

岩田:だって、ぶつかったら、痛いし。

瀧野:とろちゃんは、足が速いんだから、もっと動いて!

土路生:だって、疲れるし、

瀧野:もう、なんなのみんな?! だって、だって、って! そんなに嫌なら、やめちゃえばいいよ! バスケ部!


ナレーション:キャプテンの瀧野由美子がなぜイライラしているのか・・・もうすぐ、全国大会が開催されるからでした。


瀧野:瀬戸内の凄さを、全国に見せつけるんじゃなかったの? みんな、どうしちゃったの??


ナレーション:実は、先日の練習試合で、格下の相手にコテンパンに負けてしまい、主要メンバーの三人が、みんな自信をなくしていたのです。


瀧野:コーチ、正直、私は、みんなをひっぱっていく自信がありません。

コーチ:おいおい、瀧野、おまえまでそんなこというなよ。キャプテンっていうのはなあ、どんなに辛くても、弱音をはかず、みんなをひとつにまとめなきゃ、いけないもんだ。

瀧野:できません。

コーチ:いや、できる。

瀧野:だって・・・。

瀧野:あ、私も、使ってしまった・・・だって・・・。

コーチ:三週間後にある一回戦。相手は、強豪・秋葉原学園だ。でもな、私は勝てると思っている。みんながそれぞれ120%の力を出せば、勝てる。大切なのは、気持ちだ。気持ちで負けたら、勝てる試合にも、負ける。


ナレーション:果たして、STU女学院バスケ部は、明日へのシュートを打つことができるのでしょうか?


ナレーション:どうしていいか、わからなくなったキャプテン瀧野由美子は、海にせり出した桟橋(さんばし)を歩きました。すると、そこに・・・。


瀧野:おじいちゃん・・・。


ナレーション:瀧野のおじいちゃんが、釣りをしていました。


おじいちゃん:おお、由美子か、

瀧野:なんか、釣れた?

おじいちゃん:ん? まだじゃよ。・・・どうした、元気がないのう。

瀧野:ねえ、釣りって楽しい?

おじいちゃん:ああ、楽しいよ。

瀧野:魚をつかまえるなら、私は海に飛び込んでつかまえたい。

おじいちゃん:ははははは、由美子は、いい子じゃなあ。

瀧野:じっと待つなんて・・・私にはできない。

おじいちゃん:魚には、魚の事情ってもんが、あるんじゃ。

瀧野:魚の事情?

おじいちゃん:元気のいいもの、悪いもの、自信のあるもの、ないもの。

瀧野:魚にも、自信があるとかないとか、あるの?

おじいちゃん:あるさあ、うまく泳げないなあって、落ち込んでるやつもいる。自信をもって泳いでくれんと、釣り針にはひっかかってくれん。

瀧野:みんな自信をなくしていたら、どうするの?

おじいちゃん:うん? そうじゃなあ、ひたすら、待つかなあ・・・。

瀧野:私には、できない。ただ、待つなんて・・・。

瀧野:でも、魚の事情、という言葉は心に残った。

藪下:えい!

瀧野:ふうは、ふだんはめっちゃポジティブなのに、突然、ネガティブになる。ほんとうは、ものすごく攻めるタイプなのに、

藪下:あああ、ダメだ・・・やっぱり・・・。

瀧野:諦めてしまう・・・。

岩田:ああ、やっぱり、ダメだ、怖い、ぶつかるの、怖い。

瀧野:ひなちゃんは、ほんとはものすごく努力のひと。レギュラーに選ばれるまで、くじけなかった。でも、気持ちが入らないと、ねばりがない。

岩田:ああ、やっぱ、ダメか・・・。

瀧野:とろちゃんの運動神経は、ハンパない。

土路生:おりゃああああ、あ、ああ、あああ!

土路生:とろぶ、ころぶ。

瀧野:とろちゃんは、厳しい練習に耐えてきた。絶対やれるはず。


ナレーション:ある夜、キャプテン瀧野は、みんなを体育館に集めました。


瀧野:こんな時間に呼び出して、ごめんね。

藪下:今から、何をするん?

岩田:夜の練習?

土路生:秘密の特訓?

瀧野:そうね、ある意味、秘密の特訓かも。

三人:え?

瀧野:今から、電気を消す。

藪下:え? そんなことしたら、何も見えない。

瀧野:暗闇の中で、練習してみよう。

岩田:ボールがどこにあるか、わかんないよ。

瀧野:音でわかる。

土路生:ころぶよ、

瀧野:そうね、危ないかもしれない。でも、やってみたい。暗闇の中で、何を感じ、何が見えるか。試してみたい。


ナレーション:こうして、暗闇の中の練習が始まりました。あたりは漆黒の闇に包まれ、何も見えません。


瀧野:聴こえる? 私のドリブルの音。とってみて、私から。とったら、誰でもいい、シュートして。

瀧野:さあ、どうしたの? とってみて!

岩田:えい!

藪下:こっちかな?

土路生:もらった!


ナレーション:ボールの音に耳をすまし、集中する。暗闇は、彼女たちをひとつにまとめていきました。


藪下:パス!! パス!

岩田:シュート!

藪下:やった!!

土路生:ああ、痛っ! 転んじゃった・・・。

瀧野:大丈夫?

瀧野:おじいちゃんと話していて、想像した。海の底の魚の気持ち。真っ暗かな、光は少し、届くかな。どんなことを考えているんだろう・・・暗い中だと、みんなの事を仲間って思えるかな・・・。


ナレーション:暗闇の練習は、思わぬ効果を引き寄せました。結束力が高まり、感覚が鋭くなったのです。


コーチ:おい、すごいぞ、瀧野、どうしたんだ。みんな、動きが速くなった。その調子だ!

瀧野:少しずつ、みんな自信を取り戻していった。

藪下:ゆみりん、ごめん、私、甘えてたよ。もっともっと、攻める!

岩田:ゆみりん、私、ほんとうは、負けるの大っきらい! だから、がんばる!

土路生:ゆみりん、私ね、思い切り、走るよ! パスして、いちばんいいポジションで、ふうにつなぐから。

瀧野:結果は、どうだっていい。負けたって、仕方ない。ただ、悔いのない戦い方をすること。たった一回の試合に、全力でぶつかること。瀬戸内の強さは、海の強さ。大きくて、広い。全てを包み込んで、恵みをもたらす。

コーチ:いいぞ、みんな、瀬戸内の凄さを、これからもっともっと、全国に見せつけてやれ!!


ナレーション:こうして、瀧野キャプテン率いるSTU女学院バスケ部は、東京に、乗り込んだのでした・・・。その背中には、決意と覚悟がみなぎっていました。


瀧野:みんな! いくよ!

三人:おう!

瀧野:瀬戸内~、ファイト!

四人:おう!!!!

収録後のワンショット

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