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2018年39日放送 午後1000分~NHK-FM

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『瀬戸内にやってきた転校生』

原案:瀧野由美子、薮下楓、岩田陽菜、土路生優里

脚本:北阪昌人

★参考:ドッピエッタ、真っ赤なコートのちょび

出演

薮下楓、瀧野由美子、岩田陽菜、土路生優里、山寺宏一

あらすじ

瀬戸内にあるSTU中学に大阪から転校してきた薮下楓は、クラスメイトの瀧野由美子、岩田陽菜、土路生優里と仲良くなる。ある日、担任から卒業生を送る会の話をされる。STU中学では二年生が三年生を送る際、それぞれの班が屋台を出してもてなす伝統行事があり、瀧野達の班は広島風お好み焼きを出すことに決めていた。だが、関西出身の薮下には、譲れないことがあるようで…。

人物相関図

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ナレーション:ここは、瀬戸内海にぽっかり浮かぶ、小さな島。風は優しく吹き抜け、真っ青な海は穏やかで、陽の光をキラキラと跳ね返しています。海沿いにあるSTU中学に、ひとりの転校生がやってきました。


担任:はい、みんな、いいか、ええ、今日からこのクラスの仲間になる、藪下だ。大阪からやってきた。

藪下:みなさん、藪下楓です。よろしくお願いします。

担任:藪下、瀬戸内は、いいぞ。自然も豊かで、食べるもんも美味しいし、あとなあ、歴史的な史跡も多いんだ。瀬戸内海は、昔から我が国の政治、経済、文化が発展するためになくてはならない大動脈だったんだ。大陸から、瀬戸内海を通って、都にいろんなもんが、運ばれたんだな、うん。ようこそ! 瀬戸内へ! ええっと、藪下の席は・・・おお、学級委員の瀧野の隣だ。

瀧野:よろしくね、私、瀧野由美子。

藪下:よろしく!

瀧野:あ、こっちは、岩田、

岩田:岩田陽菜です。ひなって呼んでね。

瀧野:後ろが、土路生、

土路生:土に、道路の路に、生まれるって書きます、土路生優里です。

藪下:よろしく。あ、私、広島の牡蠣も大好きやし、もみじの形したおまんじゅうも、めっちゃ好き!

瀧野:そう、よかった! 私たち三人は、吹奏楽部なんだけど、よかったら、藪下さんも、どう?

藪下:吹奏楽部かあ・・・前の学校ではバスケやってたんやけど。

岩田:ゆみりんのサックス聴いたら、びっくりするよ。

藪下:すごいん?

土路生:もう、プロ並み。

瀧野:そんなことないって。

担任:はい、はい、そこ、部活の勧誘は休み時間にやってくれよな。

三人:は~い。

四人:(笑う)


ナレーション:一見、なごやかに溶け込んだように見える転校生でしたが・・・。このあと、とんでもない事態が・・・。転校生は、瀬戸内になじむことができるでしょうか?


担任:はい、いよいよ卒業生を送る会が近づいてきました! それぞれの班は、何の出店をするか、よく話し合ってください!

藪下:出店?

瀧野:そう、私たち二年生が三年生を送るんだけど、それぞれの班が屋台を出して、もてなすんだよね。

岩田:学校が始まって以来、続いている伝統行事なんだよ。

土路生:卒業生に瀬戸内の良さを忘れないでもらうためにね。

藪下:屋台って、たとえば、焼きそばとか、リンゴ飴とか?

瀧野:そうそう。私たちの班は、もう決めてるんだけど。

岩田:広島のお好み焼き。

藪下:え?

土路生:よくさあ、広島風お好み焼きっていうひとおるけど、あれは違うよね、お好み焼きっていえば、やっぱ、広島じゃろ。

瀧野:そうそう。


ナレーション:そのとき、藪下楓の目が、キラリと光りました。


藪下:ちょっと待って。

三人:え? どうしたの? 藪下さん。

藪下:お好み焼きと言えば、大阪でしょ。

三人:ええ?

藪下:そりゃ広島さんも美味しいんと思いますけど、まあ、なんていいますか、大阪のお好み焼きにはかなわへんちゃいますの?

瀧野:藪下さん、もちろん、関西のお好み焼きは、素晴らしいと思います。でも、やっぱり、お好み焼きの元祖は、広島なんだよねえ、きっと。

藪下:それはちゃうと思う。

瀧野:いいえ、違いません。

藪下:あんたも頑固やな。私の目、見て。どう? 真剣にいうてんねん。

瀧野:片目だけ寄り目になってますよ。お好み焼きは、広島!

藪下:いいえ、お好み焼きは、大阪!

瀧野:やるの?

藪下:やるんか?

岩田:って二人とも、喧嘩しないでよ。

土路生:そうだよ、仲間で争ってもしょうがないって。

瀧野:いいえ、これは決着をつけないと、気がすまない。

藪下:こっちのセリフや。

岩田:とろちゃん、どうしよう、この二人。

土路生:ひなちゃん、こうなったら、対決しかないかも。

岩田:対決?


ナレーション:こうして、放課後の調理室を借り切って、広島VS大阪のお好み焼き対決が行われることになりました。


瀧野:いい? 私、瀧野がつくる広島のお好み焼きと、

藪下:私、藪下がつくる大阪のお好み焼き、

瀧野:最後に四人で食べてみて、どっちが美味しいかを投票する。

藪下:公平に、判断してな。

岩田:わかった。

土路生:はい、わかりました。


ナレーション:二つ並んだホットプレートに、それぞれのお好み焼きが、作られていきました。


藪下:負けへんからね。

瀧野:こっちだって。

藪下:豚肉に海老、山芋で、ふっくら仕上げて・・・。

瀧野:牡蠣を入れちゃう、中華麺を加えて・・・。


ナレーション:二人の調理は白熱し、自慢のひと皿が完成しました。


瀧野:できた!

藪下:私もできた!

瀧野:さあ、これから、実食だね。

藪下:やるだけやったから、悔いはない。

瀧野:私も。

岩田:あああ、いい匂い。

土路生:どっちとも、美味しそう。


ナレーション:それぞれのお好み焼がお皿に盛られたときでした。


四人:え? なに? どうしたの? 真っ暗!


ナレーション:調理室の電気が消え、あたりは暗闇に包まれました。


岩田:どうしよう・・・。

瀧野:食べよう。

土路生:え? このまま?

瀧野:そう、このまま。

藪下:・・・わかった。そうしよう。


ナレーション:四人は、手探りで、暗闇の中、お好み焼きを食べました。


岩田:美味しい・・・。

土路生:ほんと、でも、どっちがどっちだかわかんないね。

岩田:ほんと・・・。

藪下:美味しい・・・ほんまに。牡蠣が入ってたから、これは、瀧野さんのお好み焼きだね。

瀧野:こっちの海老入りのお好み焼き、すごく美味しい。

藪下:海老がね、新鮮で、瀬戸内の・・・海老。なんやもう、競いあったのが、バカバカしくなってきた。

瀧野:そうだね。

藪下:いったい、何にこだわってたんやろ。

瀧野:ほんと。

藪下:美味しい、ほんまに、めっちゃ美味しい。

瀧野:暗闇って・・・ひとを素直にするね。

藪下:そうやね。美味しいもんは美味しい、それだけのこと。大阪も広島も、ない。

担任:よく、気がついたな、瀧野に藪下。

瀧野:その声は、先生!

担任:すまん、電気を消してみた。瀬戸内はなあ、たくさんの文化や風習を受け入れてきた歴史がある。おもてなしの文化が生きているんだ。ときに競い合うのもいいが、私は学んでほしいんだ。分かち合う、認め合う、寄り添う、ということを。

岩田:ああ、電気がついた! あれ? 先生は?

土路生:・・・いないね。

瀧野:藪下さん、これからも、よろしくね。

藪下:こちらこそ。それでどないしよ、私たちの出店。

瀧野:せっかくだから、今から、私たちで考えようよ、世界にひとつだけの、瀬戸内のお好み焼きを!

藪下:そうやね!

岩田:じゃあ、私はふぐ刺し入れたい!

土路生:私は、尾道ラーメンをミックスしたい。

瀧野:いや、それはいくらなんでも・・・。

四人:(笑う)


ナレーション:四人の笑い声は、夜空に優しく響きました。

収録後のワンショット

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