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2017年1117日放送 午後1000分~NHK-FM

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『キスまでの十五秒』

原案:松岡菜摘、森保まどか、松岡はな

脚本:北阪昌人

★参考:プンプン、スコール

出演

松岡菜摘、森保まどか、松岡はな、山寺宏一

あらすじ

博多にあるHKT高校に通うはなは、日曜日に憧れの松岡先輩とのデートの予定がある。海の近くの観覧車に乗ろうと誘われているが、その観覧車には「てっぺんでキスをしたカップルは、永遠に別れない」という伝説があると、クラスメイトのまどかに知らされ、戸惑うはな。そして、デート当日。松岡先輩と二人で観覧車へ向かう。いざ乗ろうとすると、係員から混雑のために相席をお願いされてしまう。そこに乗ってきたのは…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、福岡、博多にあるHKT高校。休み時間に話しているのは、同じクラスのはなと、まどかです。


まどか:ええ! デート??

はな:って、声が大きいよ、まどか。

まどか:今度の、日曜日?

はな:そう。

まどか:松岡先輩と?

はな:そう。

まどか:やったじゃん!

はな:まあねえ。その、でも、先輩、モテるから。私なんか、あれだけど・・・。

まどか:そっか・・・ついにはなも、あれかあ。

はな:あれって?

まどか:ついに、するんだね。

はな:なにを?

まどか:キス。

はな:ちょっと何いってんの?! しないしない。そんなんじゃないし。

まどか:そんなんじゃないって?

はな:いや、私はその、

まどか:あ、噂をしてたら、来たよ。

はな:え?

松岡:よう! はなちゃん!

はな:ま、松岡先輩。

松岡:今度の日曜なんだけどさ、海の近くの観覧車乗ろうぜ。

はな:い、いいですけど。

松岡:じゃあ、待ち合わせは、また連絡すっから。

はな:はい。

松岡:あ、はなちゃん。

はな:はい。

松岡:オレにまかせておけば、大丈夫だぜ。じゃあな。チャオ!

まどか:間違いないね。

はな:え! なにが?

まどか:海の近くの観覧車には、伝説があるって知ってるでしょ。

はな:伝説?

まどか:てっぺんでキスをしたカップルは、永遠に別れない。

はな:永遠に・・・別れない。

まどか:そうか・・・はなもするんだ、キス。

はな:だから、しないって、私はそんなんじゃ・・・。

はな:でももしそうなったら・・・私・・・。


ナレーション:海辺の公園にひときわ目立つ、観覧車。その入場口近くに向かって歩いているのは、はなと、まどかです。


まどか:っていうか、なんで私がデートにくっついて行かなきゃなんないわけ?

はな:ごめんね、まどか。だって、私、その・・・。

まどか:お願いだから、観覧車は、松岡先輩と二人きりで乗ってね。

はな:ええ! まどかも、一緒に。

まどか:ねえ、はな、憧れの松岡先輩と、初めてデートするんだよね。

はな:うん。

まどか:うれしいんでしょ?

はな:・・・うん。

まどか:だったらいいじゃない、二人きりで。

はな:でも、怖いっていうか・・・。

まどか:私の身にもなってよ、いちゃつく二人の間にいる、私。完全に、おじゃまでしょ?

はな:そんなことないって。声出さないでくれたらそれでいいから。

まどか:ってそれがそもそも無理!

はな:まどか・・・。

まどか:ダメ、そんなすがるような眼をしても、無理。私は、ここで、ドロンするからね。

はな:ドロン?

まどか:あとは、二人で!

はな:そんなぁ・・・。

まどか:あ、あのね、教えておくけど・・・。

はな:なに?

まどか:キスのときは、目を閉じてね。

はな:えええ?

まどか:タイミングは、相手にまかせて、いい?

はな:ええええええ??! 私、そんなんじゃ、

まどか:じゃあね。バイバイ。


ナレーション:去っていくまどかと入れ替わりで、やってきたのは、


松岡:よう! はなちゃん。

はな:こんにちは、松岡先輩、

松岡:じゃあ、乗るか、観覧車。

はな:・・・はい。

はな:観覧車の入り口まで、ゆっくり歩く。私は気持ちを落ち着かせるために、何秒かかるか、はかってみた。・・・十五秒。ああ、運命の扉が開く!

松岡:じゃあ、乗るよ、

はな:はい。


ナレーション:とそのとき、係員のバイトの若者が、言いました。


係員:あ、すみません、今、めっちゃ混んでるんで、相席お願いしま~す!

はな:ええ?!

係員:はい、そちらの1名様、どうぞ! はい!

担任:すみませんね、相席って、おおおお!! おまえは?

はな:サイアク!! 乗ってきたのは、私のクラスの担任、寺山先生。

担任:そしておまえは、三年B組の松岡だな。

松岡:どうも、

はな:どうも。

はな:私は、なんでよりによって、先生が相席! っていうか、相席ってどーいうこと! と思ったけど、でも、・・・不思議なんだけど、どこかでホッとしている自分もいた。

担任:いやあ、あれなんだよなあ、女房と娘とさあ、買い物に来たんだけど、「パパがいると買い物に集中できないから、どっかにいってくれば?」って、ひどいだろう! でさあ、正直、高いところ、得意じゃなんだけど、仕方なく、観覧車にでも乗るかなあって。実をいうとだなあ、俺と女房の初デートが、この観覧車だったんだぁ・・・ああ、思い出すなあ・・・初々(ういうい)しかったなあ、この観覧車で、初めての・・・。あ、おい! おまえら! ま、まさか、あれだろうな! そんなこと、考えていたんじゃないだろうなあ!

松岡:なんすか! そんなことって、

担任:そんなことってのは、あれだ、そんなことだ。

松岡:それじゃわかんないすよ。

担任:まだ早いぞ、まだ。

はな:あ、もうすぐ、いちばん上!

担任:おお、そうだな、おお、うわあ、やっぱ高いなあ~。


ナレーション:とそのとき、観覧車が突然、止まってしまいました。


担任:お! おお! なに! なに! おーい! あの、俺、高いところダメなんで、てっぺんで止まられちゃったりすると、かなり、マズイっていうか、あのですね、その、困るんだよ・・・

はな:観覧車が止まったのは、たったの十五秒だった。その間、松岡先輩は、私の手を握っていてくれた。

松岡:大丈夫だよ、安心して。僕がついてるから。

はな:はい。松岡先輩、ありがとうございます。

松岡:オレはね、はなだけのヒーローになりたいんだ。

はな:はい。

担任:おい、勘弁してくれよ~~、まったくもう~、ひえ~

担任:はああ、動いた、やっと、動いた。どんどん、地面に近づいていく。一安心だよ。まったく~。

はな:松岡先輩は、先生に見えないように、しっかり手を握り続けてくれた。

はな:再び、地上に降りたとき、私は、観覧車に乗る前の私とどこか違っていた。

まどか:おかえり、はな。

はな:まどか、待っていてくれたの?

まどか:まあね。で、どうだった?

はな:私ね、

まどか:なに?

はな:少しだけ、大人になった。

収録後のワンショット

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