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2017年1020日放送 午後1000分~NHK-FM

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『ロマンティックという病』

原案:田島芽瑠、矢吹奈子、田中美久

脚本:北阪昌人

★参考:タケノコ隊長、ひびやん

出演

田中美久、田島芽瑠、矢吹奈子、山寺宏一

あらすじ

転校してきたばかりで、なんとなく学校になじめないでいた田中美久は、ひとりぼっちの放課後、図書館へ行く。そこで手にとったツルゲーネフの「はつ恋」をきっかけに出会った男子、田島芽瑠男に田中は恋をしてしまう。すると、そこに現れたのは矢吹奈子。芽瑠男と親しげに話す様子を見て胸がきゅんとする田中。彼女は病にかかってしまった、その病名は「ロマンティック病」!果たして恋の行方は!?

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、福岡、博多にある、HKT中学。この学校には、大きな図書館があることで有名です。木々に囲まれた古風な木造の図書館に近づく女子生徒がいます。田中美久。彼女は、熊本の中学から転校してきたばかりでした。


田中:私の名前は田中美久。なんとなく学校になじめなかった。ひとりぼっちの放課後。素敵な図書館があったので、行ってみた。

田中:シーンとしずまった館内。古い本の匂いがした。

田中:ツルゲーネフの『はつ恋』という本を、とろうとしたときだった。

田中・田島:あ!

田中:ほぼ同時に本に手をのばした男子がいた。

田島:あ、すみません、どうぞ。

田中:いえ、どうぞ。

田島:いや、この本は、君を待っていたんじゃないかな。

田中:え?

田島:ボクは、もう十回くらい読んでいるんだ。どうぞ。いいよね、ツルゲーネフは。ロマンティックは、好きかい?

田中:ロマンティック・・・。

田島:ロマンティック・・・。

田中:彼が私を見つめた瞬間、私は・・・恋に落ちた。

矢吹:あ、いたいた! 芽瑠男!

田島:おいおい、奈子、何度言ったらわかるんだ、図書館では、静かにしろよ。

矢吹:は~い。

田中:誰、この子、もしかして・・・彼のカノジョ? 胸が、きゅんとした。


ナレーション:田中美久は、病にかかってしまいました。その病名は、ロマンティック病!


田中:私は、放課後には、必ず学校の図書館に行った。愛しの、あの男子に会うために・・・。

田島:やあ、君、また会ったね。ボクの名前は田島芽瑠男。

田中:私は、田中美久です。

田島:好きなの?

田中:え? そ、それは・・・。

田島:本、

田中:あ、ああ、ええ、好きです本。

田島:ボクも、好きなんだよ。本を読んでいる時間がイチバン楽しいよ。

田中:私も、

田島:気が合うね、ボクたち。

田中:え? あ、あの、

矢吹:芽瑠男! 見つけた!!

田島:って奈子、

田中:もういいところで、なんでいつも現れるの? この女子、なにもの?

矢吹:あんた、誰?

田中:え? あ、あの、転校生の田中美久です。

矢吹:田中? ああ、B組?

田中:はい。

矢吹:そっか。よろしくね、あたしは矢吹奈子。

田中:よろしくお願いします。

矢吹:あんた、好きなの?

田中:はい、読書が趣味で。

矢吹:本じゃなくて、芽瑠男のこと。

田中:え?

田島:おいおい、奈子、何いってんだよ。そんなわけねえだろ。まだ会ったばかりだぜ。

矢吹:会ったばかりでも、女子はある病にかかると、恋に落ちるの。

田島:ある病?

矢吹:・・・ロマンティック病。

田島:ええ? あ、君、美久ちゃん、どこにいくの?

田中:・・・失礼します!

田中:私は、顔が真っ赤になったのを見られたくなくて、走った。

天神の父:おいおい、そこのおじょうちゃん!

田中:天神の商店街で、白いひげのおじいさんに声をかけられた。

天神の父:そんなに走っては、転んで怪我をするぞ。何をあわてておる、天神の父に、なんでも話してごらんなさい。

田中:天神の父?

天神の父:占いをやって、三百年になるかのう、あはははははは。

田中:占い? 三百円?

天神の父:いや、三百円じゃない、三百年じゃあ、まあよい、おじょうちゃん、どうやら、恋の病にかかっておるな?

田中:え? わかるんですか?

天神の父:三百年、生きておるとなあ、なんでもお見通しじゃあ。

田中:実は、会うたびに胸がきゅんとなる男子がいるんですが、でも、そのひとには彼女がいて・・・。

天神の父:うむ。若いうちは、とにかく気持ちをぶつけてみればいい。その好きな男子に、自分のいちばん好きなものをあげてみなさい。心をこめたプレゼントをあげること、それが気持ちを伝えるいちばんの近道じゃあ。

田中:自分のいちばん、好きなもの・・・、考えてみます。おじいさん、ありがとう!

天神の父:いいかい、おじょうちゃん、この世でもっとも素敵なことは、ひとを好きになるということなんじゃあ、そのこと、覚えておくがいい、あはははははは。

田中:次の日、図書館で、私は、田島芽瑠男君に・・・。

田中:あの! これ!!

田島:え? なに? この袋・・・。

田中:私の・・・気持ちです!

田中:恥ずかしくて、走り去った。渡せた、私、自分の気持ちを渡せた・・・。私がいちばん、好きなもの・・・。

田島:なんだ、この袋・・・あ、なんか入ってる・・・え? えええ? えええええ? ば、ば、馬刺し??

田中:それから、図書館で彼を見かけても・・・。

矢吹:芽瑠男! また本、読んでるの?

田島:っていうか、奈子もたまには、読めよ。いいぞ、読書は。

矢吹:やだ、なんかめんどくさいだもん。

田島:本はいつだって新しい世界を見せてくれるぜ。

矢吹:眠くなっちゃうの。

田島:ったくもう、もったいないなあ、この楽しみを知らないなんて。

矢吹:でもさあ、芽瑠男は、本好きだけど、字、汚いよね。

田島:うっせいよ! ほっといてくれよ。

矢吹:はははは、

田島:はははは、

田中:いつも楽しそうにしている、芽瑠男君と、矢吹さん・・・。やっぱり、私の入る隙間(すみま)は、ないのかな・・・。そう思ったとき、天神の父が言ったひとことが、よみがえった。

(回想)
天神の父:いいかい、おじょうちゃん、この世でもっとも素敵なことは、ひとを好きになるということなんじゃあ、そのこと、覚えておくがいい、あはははははは。

田中:そうだ、少なくとも、自分の気持ちだけは伝えよう、そう、思った。


ナレーション:放課後、夕暮れ迫る図書館の前で、美久が待っていると、芽瑠男と、矢吹奈子が、出てきました。


田中:芽瑠男君、

田島:やあ、美久ちゃん、あ、そうそう、この間の馬刺し、めっちゃうまかったよ。もらったときはマジビビったけど、いやあ、美味しかったぜ。

田中:あ、あの、その、今日は、話があって、

田島:話?

矢吹:あ、わかった! 愛の告白? あははは

田中:まあ、そうなんですけど、

田島:え?

田中:あ、わかっています、芽瑠男君には、奈子さんっていう素敵なカノジョさんがいて、だから私の出るまくなんてないってこと、わかっています、でも・・・。

田島:ぷっ・・・ふふ・・・あははははははは、

田中:えええ? わ、笑うなんて・・・ひどいです。

田島:あ、いや、ごめん、そういう意味で笑ったんじゃなく、

矢吹:はやがてん! はやとちり!

田中:ええ?

田島:ボクと奈子はね、兄と妹、二卵性の双子、なんだよ。

田中:えええええ?

矢吹:兄妹(きょうだい)なの、わたしたち! 訳あって、苗字が違うけどね。

田中:そ、そうなんですね・・・。

矢吹:今から、ウチに遊びにおいでよ、美久ちゃん。

田中:え?

田島:そうだな、ウチに遊びにおいで。

田中:いいんですか? 私、行っても、いいんですか?

矢吹:ここだけの話、芽瑠男もね、美久ちゃんのこと・・・。

田島:奈子、余計なこというんじゃねえよ!

矢吹:は~い!

田中:天神の父さん、ありがとうございました! 思い切って、話そうとしてなかったら、私、この恋、あきらめていました。

矢吹:芽瑠男も、美久ちゃんも、ロマンティック病なんだねえ!

収録後のワンショット

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