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2017年922日放送 午後1000分~NHK-FM

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『いざ、出陣!』

原案:荻野由佳、西潟茉莉奈、本間日陽

脚本:北阪昌人

★参考:タクサ、このみん

出演

荻野由佳、西潟茉莉奈、本間日陽、山寺宏一

あらすじ

悪い名主による重い年貢に苦しめられていた農民たち。村の長(おさ)をつとめる太郎兵衛は、村を代表して、名主に直訴しに行く。太郎兵衛の3人の娘、潟姉、おぎゆか、ひなたんは、日に日に減っていく食料を少しずつ分け合いながら、けなげに父親の帰りを待つ。しかし、いつまでも帰らない父親の身を案じ、3人は意を決し、山を越え、名主の屋敷を目指す。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ときは、農民が、年貢をおさめていた時代。その米どころには、悪い名主(みょうしゅ)がいました。


名主:グワハハハハハハハ、年貢持って来い! 年貢を納めねえやつぁ、この村にいられなくしてやる! グワハハハハハハ、


ナレーション:村の長(おさ)をつとめる、太郎兵衛の家には、三人の娘がいました。しっかりものの、お姉さん、潟(がた)ねえ。


潟姉:あたしゃ心配だよ、父ちゃんが無理するんじゃないかってねえ。疲れた父ちゃんには、いつもしてあげるのさ、ゴリラのモノマネ。ウホホホ


ナレーション:次女は、いつも前向きで、負けず嫌いのおぎゆか。


おぎゆか:おーい! なんでもなーい! なんでもなーい! 何があってもへこたれなーい! おら、父ちゃんと一緒に、米さ、つくるだ。


ナレーション:そして三女は、八重歯が可愛い、ひなたん。


ひなたん:ねえねえ、ひなた、お腹すいたよう、ねえ、メロンパン食べたいぃ~。


ナレーション:村をしきる、父親の太郎兵衛は、あるとき、こう言って、家を出ました。


太郎兵衛:わしらの仕事は、自然が相手。天候不順が続いたら、それなりに年貢を減らしてくれるのが、情というものだ。なのに、名主様は、減らすどころか、年貢を増やしてくる。これでは、村の衆も、生きてはいけぬ。父ちゃんは、名主様に、直訴してくる。潟ねえ、妹たちを頼んだぞ。

潟姉:はい! 父ちゃん、お気をつけて!


ナレーション:しかし・・・。


ひなたん:ねえねえ、お姉ちゃん、父ちゃん、全然、帰ってこないねえ。

おぎゆか:そのうち、帰ってくるよ、名主様とて、同じ人間、おらたちの願い、きっとわかってくれるだ。

潟姉:だと、いいんだけど・・・嫌な予感、するんだよね。


ナレーション:父親、太郎兵衛の帰りを待ちながら、三姉妹は、けなげに生きていました。


潟姉:さあ、おぎゆかに、ひなたん、ご飯よ。

ひなたん:ええ? これだけしかないの?

おぎゆか:あれ? 潟姉の分は?

潟姉:あたし? ああ、あたしはね、ちょっと具合がよくないから、食べたくないの、

ひなたん:そうなの?

潟姉:そう、まったくお腹なんかすいてないから、あたしのぶんをお食べなさい。

おぎゆか:いま、お腹なった。

潟姉:違う違う、なってないよ。さあ、お食べ。


ナレーション:潟姉は、幼い妹たちのために、自分が我慢して、少しでもたくさん食べさせてあげようと思っていたのです。


ひなたん:ああ、お腹がすいた! お腹がすいた!


ナレーション:それでもわがままばかりをいう、ひなたんに、おぎゆかは言いました。


おぎゆか:ひなたん、潟姉はねえ、ほんとは、お腹すいているのに、自分の分をおらたちにくれてんだよ。そんなわがまま、いうもんじゃねえ。

ひなたん:だって、お腹がすいてしかたがないんだもん。


ナレーション:三姉妹はどんどん減っていく食料を、少しずつ、分け合いながら暮らしました。しかし、やがて、あるとき・・・。


潟姉:あああ、

おぎゆか・ひなたん:潟姉!


ナレーション:ついに、潟姉が倒れてしまいました。


おぎゆか:おらたちのために、食べないでいたから・・・。

ひなたん:えーん、ごめんなさい、潟姉、ごめんなさい。ひなたのせいで・・・。

潟姉:泣かないで、ひなたん。誰のせいでもないんだよ。あたしは、父ちゃんから頼まれたんだ、おまえたち二人を守るようにってねえ。

おぎゆか:ねえねえ、みんなで、想像しよう。

潟姉・ひなたん:想像?

おひゆか:そう、いま、何が食べたい?

ひなたん:ひなたはねえ、お腹いっぱい、ご飯が食べたい!

潟姉:あたしはねえ、よ~く冷やしたトマトが食べたい・・・。

おぎゆか:おらはね、きゅうりの糟漬を、ボリボリ食べたい!


ナレーション:三人は、思い思いに、心の中に好きな食べ物を思い浮かべました。


おぎゆか:想像するって、いいね。つらいときには、心の中に、夢を描きなさいって父ちゃんが言ってた。

ひなたん:父ちゃん・・・。

潟姉:父ちゃんに、会いたいねえ・・・。


ナレーション:そこで、おぎゆかは、さっと顔をあげました。


おぎゆか:いくしかねえべ。

ひなたん:いく? いくってどこに?

おぎゆか:名主様のところ。

潟姉:だって、山ひとつ越えなきゃならないよ。

おぎゆか:ここで待っていても、しかたねえべ。おら、いく! きめた!

ひなたん:ひなたもいく!

潟姉:もちろん、あたしも、いくわ。

おぎゆか:潟姉、だいじょうぶ?

潟姉:だいじょうぶ。あたしはお姉さんなんだから。


ナレーション:こうして、三姉妹は、旅の身支度をしたのでした。


おぎゆか:幸せは、待っててもこない! こっちから、出かけてとりに行く! いざ、出陣!

潟姉・ひなたん:おう!!


ナレーション:三姉妹は、名主の屋敷を目指して、出発したのです。


ナレーション:ものすごい風の中、


ひなたん:うあああああ、

潟姉:吹き飛ばされそう・・・。

おぎゆか:一歩ずつでいいから、前に、進もう、


ナレーション:過酷な山道を越え


ひなたん:足が痛いよ、

おぎゆか:負けないで、ひなたん! とにかく前に進もう!

潟姉:さあ、あたしの手につかまって。


ナレーション:三姉妹は、諦めることなく、懸命に進み続けました。そして、屋敷までもう一息という森までたどり着いたとき、幼い男の子がゴリラに追いかけられているのを見つけました。


ゴリラ:ウオオオオオオ、ウホウホウホ!

ぽんた:わあああ、怖いよう、怖いよう。

ゴリラ:ウワワワ、オッホオッホ!

ぽんた:えーんえーん。

潟姉:ここはあたしにまかせて、

おぎゆか・ひなたん:潟姉!

潟姉:ウホウホ!!

ゴリラ:オッホオッホ!

潟姉:ウホホホホ!

おぎゆか:あ、ゴリラが逃げていく!

ゴリラ:ウホホホホ~

おぎゆか:逃げていった! すげえ、潟姉。めっちゃすげえ。

ぽんた:お姉さんたち、助かったよ。ありがとう。


ナレーション:男の子は、お礼を言って、去っていきました。そうして、3人はボロボロになりながら、ようやく名主の屋敷にたどり着いたのでした。


三姉妹:はぁはぁはぁ、

おぎゆか:名主様! 名主様!! どうか、この扉をおあけください! 太郎兵衛の娘で、ございます!

名主:グワハハハハハハ、そろいもそろって、よくきよったわい。

おぎゆか:父ちゃんは? 父ちゃんは、どこにいますか?

名主:グハハハハハッハ、あまりにもうるさいので、牢屋に入れてやったわ。

潟姉:ひどい。

名主:安心しろ、おまえたちも父ちゃんと一緒に閉じ込めてやるわい、グハハハハハハ、


ナレーション:と、そのとき


ぽんた:おっとう、このお姉さんたちだよ、ボクを助けてくれたのは。


ナレーション:突然現れたのは、先ほどゴリラに襲われていた、男の子でした。


名主:ぽんた! そ、それは、ほんとうか!

ぽんた:とっても、やさしいんだよ、お姉ちゃんたち。


ナレーション:男の子は、名主の大事な大事な、一人息子だったのです。


ぽんた:お姉ちゃんたちがいなかったら、ボク、ゴリラにやられていたよ。

名主:我が息子の恩人となれば・・・話は違う・・・。息子が世話になった。礼を言うぞ。


ナレーション:そこで、おぎゆかは、名主に近づき、言いました。


おぎゆか:名主さま、おら、思う。おらの村にも、親がいて子がいる。親が子を思う気持ちは、みんな一緒だ。そして願いも、同じ。家族一緒に、幸せに暮らしたい、それだけなんだ。頼む、もっとおらたち農民のことを、考えてください。


ナレーション:おぎゆかの言葉を聞いた名主の目から、涙がこぼれました。


名主:あああ、あああ、わしは、何か、勘違いしておったようじゃ・・・。すまん・・・。これからは心を入れ替えよう・・・。

おぎゆか:ありがとう、名主様。


ナレーション:こうして、三姉妹と父・太郎兵衛は、みんなで仲良く手をつなぎ、自分たちの家に、戻っていきました。


おぎゆか:とにかく前に進むこと、全てはそこから、はじまる!

収録後のワンショット

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