OnAir

2017年825日放送 午後1000分~NHK-FM

放送一覧

『女城主サヤカ!』

原案:山本彩、矢倉楓子、吉田朱里

脚本:北阪昌人

★参考:コウノトリ、ヒデ

出演

山本彩、矢倉楓子、吉田朱里、山寺宏一

あらすじ

難攻不落として名をはせた難波城は今、敵に囲まれ絶体絶命のピンチを迎えていた。女城主サヤカは民を助けるために首を差し出す覚悟をしているが、老中の朱里はそれを必死で止める。そのとき、天守閣に白い着物を着たおばあさんが現れた。彼女はかつての女城主フウコ、サヤカの先祖である。首を差し出すと言ってきかないサヤカにフウコは、難波の民に残った食材を城に集めさせるように提案する。サヤカの決断は…。

人物相関図

  • ストーリー&キーワード募集
  • メンバーへの質問募集
  • 感想を送る

物語が読める ♪


ナレーション:ここは、難攻不落として名を馳せた難波にある難波城。しかし、今、絶体絶命のピンチを迎えています。まわりを敵に囲まれ、もはや、逃げ場はありません。この城をしきるのは、女城主、サヤカ!


サヤカ:無念だが、もはや、これまでだな。

朱里:いけません! サヤカ様、まさか、まさか、変なお考えをなさっているのではありませぬか?

サヤカ:朱里殿!

朱里:はっ!

サヤカ:私の首を差し出すことで民が助かるのであれば、私は本望だ。

朱里:いけません! サヤカ様がいない難波の街など、想像がつきません。

サヤカ:たわけ!

朱里:はっ!

サヤカ:私はなあ、この難波の街がめっちゃめっちゃ好きなんじゃ。今、ここでけじめをつけず、だらだらと戦いを延ばせば、民が傷つく。難波の街が悲鳴をあげる。それは・・・たまらんのだ。

朱里:サヤカ様!!

サヤカ:女城主サヤカ、ここは決断のとき。

楓子:ちょいと待ちなはれ~。


ナレーション:とそのとき、天守閣に、白い着物を着た、ひとりのおばあさんが、現れました。


楓子:まだ結論出すのは、はやいで~。

サヤカ:お、おばあさま!!

朱里:お、おばあさま? え? ひ、ひええええ~! ご先祖の霊だ! 幽霊だ! おばけだ!

サヤカ:かつての女城主フウコ!

楓子:あんなあ、サヤカよ、はやまったらあかん。もう一度、考えてみぃ。やれることやって、そんでもあかんかったら命を差し出せばええんじゃあ。

サヤカ:はい! おばあさま!

楓子:あんたの難波愛、見せてもらうで。


ナレーション:果たして、難波城は、どうなってしまうのでしょうか?


ナレーション:さて、ここは、敵陣に四方を囲まれ陥落寸前の難波城。天守閣には、女城主サヤカと老中・朱里、そして、突然現れた先祖の霊、かつての女城主フウコがいました。


フウコ:サヤカ、よう難波を守ってきたなあ・・・。

サヤカ:おばあさま、でも、今や民を守れぬ、ぶざまな姿。

フウコ:愛があれば、なんとかなる。

サヤカ:しかし、敵に囲まれ、もはや、選択の余地はない。

朱里:いけません、サヤカ様は民の希望、民の光です! サヤカ様がいなくなっては!

サヤカ:朱里殿、難波がなくなれば、民も行き場を失う。

朱里:ですが!

サヤカ:私の命とひきかえに、難波をこのままにしてもらうことをお願いする。敵陣の山寺の守も、そこまで鬼ではあるまい。

フウコ:まあまあ、ものごとを焦って決めてしまうんは、間違いのもと。

サヤカ:もう遅い。

フウコ:え?

サヤカ:さっき白旗をかかげた。

フウコ:なんとな、それはまことか。

サヤカ:はい。もうすぐ、敵陣から遣いの者が来るでしょう。難波の民を、難波の街を、今のままにしてほしいと約束をとりつけたのち、私は、自ら命を、

朱里:いけません!! それはいけません! もし、サヤカ様がどうしてもと、おっしゃるのなら、この朱里も、一緒に!

サヤカ:たわけ! 聞き分けの悪いやつだな。いいか、よく聞け。おまえには、これからもこの難波を守っていく使命がある。

朱里:ならば、サヤカ様も!

サヤカ:くどい!

フウカ:ときに、おまえたち、

サヤカ:なんですか、おばあさま。

フウカ:今、食料で残っておるものは、なんじゃ?

サヤカ:それは・・・。

朱里:残念ながら、米は底をつき、あるのは小麦粉ばかり。

フウコ:ほかには?

朱里:城の裏にあるキャベツ畑の、キャベツが・・・。

フウコ:上等じゃあ。難波の民に、残っている食材はなんでもええから、城に持ってくるように言うんやぁ。

サヤカ:なんでもいいって、

フウコ:飢えてる民に、せめて、最後くらいお腹いっぱい、なんぞ食べさせてやりたい、思わんか?

サヤカ:それは・・・そうですね、おばあさん。


ナレーション:女城主サヤカは、すぐに、おふれを出しました。


サヤカ:「なんでもいい、用意できる食材を全て、城に運んでほしい、そして家族そろって、城に来なさい」。

フウコ:ええか、サヤカ、食は文化や、食べるいうんは、生活や、日常や。日常を分かちあうということ、日々の苦楽を共に感じること、それこそが、上に立つものが心に留(と)めるべきものや。

サヤカ:おばあさま! わかりました!


ナレーション:サヤカは、城の竈(かまど)に巨大な鉄板を置きました。そこに、油を引き、玉子でといた小麦粉を敷き・・・。


サヤカ:皆の衆!! ご苦労だった! さぁ、好きなものを、この鉄板の上で焼くのだ! 遠慮はいらん! 好きなものを、好きなだけ、混ぜればいい! それこそが、難波の力、難波の作法!


ナレーション:難波の民は、あるものは、鶏肉を、あるものは、牛肉を、そしてあるものは、海老やイカを、鉄板の上に広げました!


朱里:お好みに、好きなものを、好きなだけ、焼く・・・。

サヤカ:私は、これを『お好み焼き』と命名する!

フウコ:ようやったで、サヤカ、ええなあ、ええ名前や、『お好み焼き』、これぞ、なんでも受け入れる懐の深い難波の心やぁ・・・。

サヤカ:おばあさま、泣いてるんですか?

フウコ:あほか、泣いてなんか、おるか、ああ、よかった、幽霊になって出てきてよかった。もう思い残すことはあらへん、サヤカ、

サヤカ:はい。

フウコ:この『お好み焼き』を、やがてやってくる敵にもふるまうんや。

サヤカ:え? 敵に?

フウコ:敵かて、飢えとるんは、おんなじや。みんなを呼んで、ここで車座になって、『お好み焼き』を食べたらええ。戦(いくさ)にも、休憩はありやで。

サヤカ:おばあさま・・・。難波って街は、全てを受け入れる。懐の深い、街!

フウコ:そうや。ほな、さいなら。

サヤカ:おばあさま!!

朱里:あああ、幽霊のフウカ様が、消えていく!


ナレーション:そうこうしているうちに、敵陣から、遣いがやってきました。


朱里:サヤカ様! 敵陣から来たのは、なんと、山寺の守です!

山寺の守:早々に白旗をかかげる、その真意は、難波の民を守る心づもりと見たが、いかがかな?

サヤカ:いかにも。わざわざ殿に参上いただき、恐縮しごくでございまする。

山寺の守:おもてを上げなされ。サヤカ殿の思い、しかと心得た。

サヤカ:山寺の守、

山寺の守:なんじゃ?

サヤカ:寛容なお心に乗じて、ひとつお頼み申し上げる。

山寺の守:申してみよ。

サヤカ:は! そなたの兵士たちと、『お好み焼き』を食(しょく)したく存じまする。

山寺の守:なに? 我が兵たちと、食事を?

サヤカ:最後の願いでございまする。

山寺の守:よかろう。お主のその真っ直ぐな瞳、信じるとしよう。


ナレーション:そうして、不思議な宴(うたげ)が始まりました。敵味方なく、持ちよった食材を、思い思いに鉄板で焼く。


山寺の守:こ、これが・・・お好み焼きか! 小麦粉と卵とキャベツに、全てが包まれていく・・・。

サヤカ:これが難波の心意気でございまする。

山寺の守:なんと! なんと素晴らしい!想像してみよ、この世に敵味方がないということを!! 争うことが、なんだか馬鹿馬鹿しく思えてきたぞ~。はっはっはっは!!

朱里:ふふふ。サヤカ様、みなが、笑っております。

サヤカ:ああ、笑っておるなあ。おばあさま、ありがとうございます! サヤカは、学びました。争いに勝つことが大事なのではない、争わないことが大事なのですね。

フウコ:ははははは、サヤカ、難波を頼んだぞ~。


ナレーション:こうして、難波城は、陥落するどころか、平和のシンボルとしていつまでも、難波の街に輝き続けました・・・。


サヤカ:『お好み焼き』は、難波の心だ! これぞ、難波愛!!

収録後のワンショット

Page Top