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2017年630日放送 午後1000分~NHK-FM

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『私の願い事~写真物語』

原案:田名部生来、竹内美宥、山邊歩夢、西川怜

脚本:北阪昌人

★参考:ちひろ、ミックス

出演

竹内美宥、田名部生来、西川怜、山邊歩夢、山寺宏一

あらすじ

新進気鋭の写真家、竹内美宥。日本の様々な種類の雨を撮る写真家として名を馳(は)せたのだが、そのあとが続かず、どんなテーマで写真を撮ればいいのか、その答えを探す旅を続けていた。ある日、竹内は山を登っている最中、湖で水遊びをする姉妹とその母親に出会う。親子3人の写真を撮り、喜ぶ姿を見た竹内に、雨の写真を撮るきっかけとなった父との思い出がよみがえり…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、願い事がかなうことで有名なAKB神社。長い石段を登っているのは、竹内美宥です。


竹内:ふ~。この階段、きついなあ。願い事は、簡単にかなわないってことかあ。

竹内:どうか、いい写真が撮れますように!


ナレーション:この神社の神様は、モノマネが大好き。願い事のあとにモノマネをすると、御利益があるらしいと言われています。


竹内:モ、モノマネか~。やったことないけど・・・。


ナレーション:竹内美宥。今や、彼女の名前を知らないひとはいません。雨の写真で注目を集めた新進気鋭の写真家です。


竹内:日本には、何十種類もの雨が降る。大雨、小雨(こさめ)、霧雨、夕立、キツネの嫁入り、私は、日本の雨ばかりを写真に撮り続け、たくさんの賞をもらった。でも・・・。


ナレーション:雨の写真家として名を馳せたのですが、そのあとが続きません。彼女は、次のテーマを探していたのです。果たして彼女は、新しい被写体を見つけることができるのでしょうか?


竹内:前みたいに、ワクワクしてシャッターを押したい!


ナレーション:雨の写真家、竹内美宥は、ある山を登っていました。次にどんなテーマで写真をとればいいのか、その答えを探す旅を続けていたのです。


竹内:会うひとみんなに、「ああ、雨の写真のひと」ですよね」と言われる。もちろん、それはうれしいけれど、だんだん苦しくなる。私は次のステージにあがりたい。


ナレーション:細い山道を抜けると、綺麗な湖が見えてきました。


怜:ママ! お姉ちゃんと泳いでもいい?

ママ:いいけど、気をつけるのよ、あゆちゃん、れいちゃんを見てあげてね。

歩夢:は~い。


ナレーション:湖では、お母さんに連れられた、小学生の姉妹が、水遊びをしていました。


ママ:こんにちは、

竹内:こんにちは。

ママ:いいお天気ですね。

竹内:ええ、そうですね。

ママ:山登りですか?

竹内:ああ、まあ。

ママ:私たちは、あそこに見える、山小屋で暮らしているんですよ。今日は暑いので、子どもたちが湖に来たいって、

竹内:そうですか、気持ちよさそうですね。

ママ:ええ、ほんと。あら、立派なカメラをお持ちなんですね。

竹内:え? あ、まあ。

ママ:あ、あの、お願いしてもいいかしら。

竹内:はい?

ママ:今日、実は記念日なんです。ここに来てちょうど一年の。なので、このスマホで、三人の写真、撮ってもらってもいいですか?

竹内:ええ、いいですよ。

ママ:あゆちゃんにれいちゃん、こっちに来て! このお姉さんが写真とってくださるって。

怜・歩夢:は~い!

竹内:お母さんと二人の娘さんの写真を、撮った。

竹内:じゃあ、いきますよ。一たす一は?

ママ・怜・歩夢:にーー!

竹内:こんな感じでいいですかね?

ママ:うわ、お姉さん、写真、上手! ね?

怜:上手!

歩夢:上手だね!

竹内:ふと、懐かしい思い出がよみがえってきた。そうだ、私が、雨の写真を撮るきっかけになったのは・・・。

父:美宥、この雨の写真、すっごくいいなあ、いやあ、なんかいいなあ、お父さん、好きだよ、美宥の写真。あったかくて、優しくて。

竹内:中学生のとき、修学旅行で撮った写真を、お父さんが褒めてくれたんだ。うれしかった。いくら勉強ができても褒めてくれないのに・・・。なんだか初めて褒めてもらったような気がした。

ママ:お姉さん、よかったら、一緒におむすび、食べませんか?

竹内:え? いいんですか?

ママ:たくさん、作りすぎちゃったから。

歩夢:ママはね、フードアナリストなんだよ。

怜:フードアナリスト!

竹内:そうなんだ。

ママ:どうぞ。

竹内:いただきます。うわ、おいしい!

ママ:よかった。

竹内:心地よい風が、私のかたわらを吹き抜けていった。突然、気がついた。私は何を焦っていたんだろう。私は、誰かに喜んでほしくて、写真家になったんだ。それなのに・・・。ひとによく思われようとばかりしている自分がそこにいた。

ママ:お姉さんの写真、見せてもらっていいですか?

竹内:はい。どうぞ。

竹内:私は、一眼レフを、お母さんに渡した。彼女は、笑ったり、驚いたり、感心したりして、一枚一枚、丁寧に見てくれた。

ママ:ありがとうございます。とってもいい写真。

竹内:いえ、お礼を言うのは、こちらのセリフです。あの、お願いがあるんですが、

ママ:なに?

竹内:私のカメラでも、撮っていいですか? 三人の写真。

ママ:ええ、もちろん。

竹内:みんなが、記念日を持っている。毎日が、一生に一度の、記念日。そう、私は、人に喜んでもらえる写真を撮りたい。記念日をお祝いするつもりで、シャッターを押したい。

ママ:お姉さんに出会って、いい記念日になりました。

竹内:私のほうこそ、ありがとうございました!

竹内:湖を立ち去るとき、お母さんと姉妹は、いつまでもいつまでも手を振ってくれた。私は、再び、山頂を目指した。

収録後のワンショット

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