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2017年616日放送 午後1000分~NHK-FM

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『私の願い事~ラストボール』

原案:田名部生来、竹内美宥、山邊歩夢、西川怜

脚本:北阪昌人

★参考:スキーワ、タカシ

出演

田名部生来、竹内美宥、山邊歩夢、西川怜、山寺宏一

あらすじ

AKB学園女子野球部補欠の田名部生来は、願い事が叶うことで有名なAKB神社で「卒業前の最後の試合、一回でいいから打席にたちたい」という願いを託す。そして、夏の全国大会決勝戦。初出場にもかかわらず勝ち残ったAKB学園の相手は、強豪アキバ高校。結局、先発メンバーに入れなかった田名部は試合を見ながら野球部での日々を思い出していた。エース西川怜、ライバル竹内美宥もまた闘志をたぎらせる。それぞれの熱い夏、果たして田名部の願いは叶うのか…!

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、願い事がかなうことで有名なAKB神社。長い石段を登っているのは、田名部生来です。


田名部:ふ~。この階段、きついなあ。願い事は、簡単にかなわないってことかなあ。

田名部:どうか、卒業前の最後の試合、一回でいいから、打席に立てますように・・・。


ナレーション:この神社の神様は、モノマネが大好き。願い事のあとにモノマネをすると、御利益があると言われています。


田名部:そ、そっか、モノマネか・・・。(何かモノマネを)


ナレーション:田名部生来は、AKB学園の女子野球部に所属しています。秋葉原球場での夏の全国大会。卒業前の最後の試合です。補欠の彼女は、試合に出ることができるのでしょうか?


田名部:一回でいい、私は試合に出たい!!


ナレーション:さて、ここは、女子高校野球の聖地、秋葉原球場です。満員のスタンドから、熱い声援が飛んでいます。夏の全国大会は、いよいよ決勝戦を迎えようとしていました。


アナウンサー:全国、女子高校野球ファンのみなさん、こんにちは!夏の全国女子高等学校野球選手権大会、いよいよ決勝戦が始まります! ええ、実況中継に、今日は素敵なゲストをお呼びしております。昨年の優勝投手、山邊歩夢さんです。山邊さん、よろしくお願いいたします。

山邊:よろしくお願いします。

アナウンサー:山邊選手と言えば、立ちブリッジ投法、本当にすごかったですね。ええ、この秋葉原球場の雰囲気というのは、やはり相当なプレッシャーを感じるものなんでしょうか?

山邊:はい、そうですね。私は実はひとまえに出るのが苦手なんですが、最後は自分を信じるしかないと思います。

アナウンサー:なるほど、自分を信じる。いい言葉ですね。決勝戦に出場する選手たちにも、ぜひ、自分を信じて頑張ってほしいものです! 決勝戦は、強豪、アキバ高校と、今回初出場にもかかわらず、ここまで勝ち残ってきた、ダークホース、AKB学園の戦いです。

山邊:アキバ高校のエース、竹内美侑をどう攻略するかが、鍵になると思います。

アナウンサー:なるほど~。さあ、まもなく試合が始まります!

田名部:私、田名部生来は・・・やっぱり先発メンバーには、入らなかった・・・。ああ、試合に出たい。一回でいい、試合に出たい。

西川:たなみん、お守り、ありがとうね。これ、AKB神社でわざわざ買ってきてくれたんだね。

田名部:れいちゃん、肩、大丈夫?

西川:大丈夫。これがラストゲームだから。最後まで投げ抜くよ。

田名部:わがチームのエース、西川怜。彼女の武器は高速三つ編み投法。まるで三つ編みを編んでいるように、変幻自在にボールが変化する。

西川:ぜったい、勝つ。竹内には、負けない!

竹内:私、竹内美宥は、負けるわけにはいかなかった。二年生でアキバ高校のエースをまかされた。好きな言葉は「ありがとう、人一倍努力しろ!」これまで誰よりも練習してきた。負けない。私は、負けない。

アナウンサー:さあ、いよいよプレーボールです!

SE サイレンの音がなり

田名部:ベンチで試合を見ながら、私は、野球部での日々を思い出していた。雨の日も風の日も、私は練習を休まなかった。誰よりも、大きな声を出し、誰よりも、白いボールを追いかけ続けた。私は、好きだった。野球が、大好きだった。

監督:西川、いいぞ、ナイスピッチングだ。

西川:監督、私、優勝したいです。

監督:うん、できる、今の調子なら優勝できるぞ。

西川:はい!

田名部:れいちゃん、ストレートもいいし、カーブもキレがはんぱない。いいよ、その調子。

西川:ありがとう、たなみん。

田名部:気をつけるのは、竹内だけだね。タイミングが合ってきてる。ストレートに的をしぼってる気がするんだよね。初球に気をつけて。カーブから入ったほうがいいと思う。

西川:わかった。

アナウンサー:さて、試合は、両投手の好投で0対0のまま、9回まで来ましたが、山邊さん、いかがですか?

山邊:そうですね。9回表、アキバ高校の攻撃は、4番の竹内さんからですが、この対決は重要ですねえ。

アナウンサー:なるほど・・・。

竹内:(マウンドに向かって)正々堂々と、ストレートで勝負してみなよ!

アナウンサー:おおっと、なにやら、竹内がピッチャーの西川を挑発していますね。

田名部:れいちゃん、ダメ、そんな挑発にのっちゃダメ。初球はカーブで、いい?初球は、

SE カキーン!

アナウンサー:竹内、初球のストレートを振り抜いた! 打球はぐんぐん伸びる! 伸びる! 伸びる! レフトスタンドにはいった!! ホームラン!エース竹内美宥、自らのバットで0対0の均衡をやぶりました!

西川:ああ、打たれた・・・。

竹内:よし・・・もう勝てる。今の私なら1点あれば、勝てる!

田名部:れいちゃん・・・。

田名部:残りの打者を抑えたれいちゃんは、がっくり肩を落として、ベンチに戻ってきた。

西川:たなみんに言われてたのに・・・。私、挑発にのってしまった。

田名部:ううん、れいちゃん。よかったんだよ。

西川:え?

田名部:あそこでカーブを投げてたら、きっと後悔したと思う。

西川:たなみん、

田名部:人生にはゼッタイ逃げちゃダメってときがあるんだよ。れいちゃんは逃げなかった。真っ向からぶつかった。それでよかったんだよ。

西川:ありがとう・・・たなみん、ありがとう。

監督:おい、田名部!

田名部:はい。

監督:素振り、しておけ。

田名部:え?

監督:9回裏、おまえを代打で出す。

田名部:ええ?ほんとですか?

監督:田名部、おまえが誰よりもグラウンドに立ち続けたのをオレは知っている。おまえは一度も練習を休まなかった。「努力は裏切らない」。そうだな?

田名部:はい!そうだと思います!

アナウンサー:アキバ高校対AKB学園の決勝戦。いよいよ大詰めです。1対0で迎えた9回裏、ツーアウト。フォアボールで、一塁に同点のランナーを置いています。

山邊:次のバッターは、代打のようですね。

アナウンサー:代打は、田名部、田名部生来。手元の資料には、あまりデータはありませんが・・・。

山邊:知っています。

アナウンサー:はい?

山邊:田名部さん・・・知っています。去年、AKB学園との練習試合のとき、ベンチで大きな声を出していた彼女を、私は覚えています。

アナウンサー:そうですか・・・。さて、その田名部、最後のバッターとなってしまうんでしょうか。

監督:田名部、思い切り、振ってこい! 三振したっていい、後悔のない打席にしてこい!

田名部:はい!行ってきます!

西川:たなみん、がんばって!

田名部:うん、まかせて。

竹内:田名部? 知らない。彼女とは、対戦したことがない。でも、関係ない。私は私を信じる。竹内美宥は、負けない。

田名部:ああ、神様、ありがとう。打席に立てる。最後の最後に、打席に立てる。

竹内:私のストレートには手が出ないに決まってる。

アナウンサー:さあ、バッターボックスには代打の3年生、田名部。竹内、注目の第一球、投げました!

SE ズバン

アナウンサー:ストライク! 速い! 竹内、疲れ知らずです。ここでも、120キロのストレート!

田名部:速い・・・。なんて速いんだろう。ついていけるか・・・。ダメ、迷っちゃダメ、私は私がやってきたことを、全てぶつければいい。そう、私は、負けない。

山邊:竹内さんはストレートに自信を持っています。おそらくもう一球、くるでしょう。

竹内:最後は、全部、ストレートでいく。私のストレートは、打たれるはずがない!

アナウンサー:さあ、セットポジションから第二球、投げました。

田名部:野球に出会えたことに、ありがとう! 一緒に闘ったチームメイトに、ありがとう! 田名部生来は、幸せでしたっ!!

田名部:えい!!

SE カキーーーン!

アナウンサー:おおっと、打った、大きい! 大きい!

田名部:私の打った球が、レフト方向に高々と上がった。しっかりとした手ごたえが、あった。ああ、これで、卒業できる、私はやっと、卒業できる!

アナウンサー:入った!! 逆転サヨナラホームラン!! AKB学園、初優勝!! 田名部生来、やりました!!

山邊:すばらしいホームランでした。こんな綺麗な放物線を見たことがありません。

西川:たなみん!すごい!たなみん!!

竹内:負けた・・・でも、後悔はない。私は最高のストレートを投げた。また一から練習だ。

田名部:私ひとりの力で打てたんじゃない。たくさんの声援、私を支えてくれたひとたちがいたから、私は、打てた。ありがとう。私は世界に感謝する。ありがとう・・・。

収録後のワンショット

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