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2017年310日放送 午後1000分~NHK-FM

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『熊本えーさっさマラソン!』

原案:小栗有以、倉野尾成美、太田奈緒、谷川聖

脚本:北阪昌人

★参考:かりん、ユウジ

出演

小栗有以、倉野尾成美、太田奈緒、谷川聖、山寺宏一

あらすじ

熊本出身の倉野尾が企画したマラソン大会「熊本えーさっさマラソン」。“えーさっさ”とは熊本弁で、長い間、という意味。参加者のみんなに、長い長い道のりを、楽しんで走ってほしいという願いが込められている。優勝賞金でニューヨークへ行くことを夢見る小栗。完走できないとバカにした男子を見返そうと意気込む太田。そして、マラソン女王の地位奪還を誓う谷川らが、それぞれの思いを胸に疾走するのだが…。

人物相関図

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物語が読める ♪


倉野尾:私は、熊本が、大好き。熊本をもっと知ってほしくて、マラソン大会を企画した。景色が素晴らしい大観峰を走ってもらう。大会の名前は、「えーさっさ」。熊本弁で、長い間、という意味。昔、おばあちゃんに言われたことがある。

おばあちゃん:成美、いいかい、どんなことでもな、いちにんまえになろう思うたら、えーさっさ、時間がかかるもんばい。長い長い長い時間をかけるから、ええ味が出せる。そうじゃ、高い山を登るために、長い山道を登るごたる。始めてすぐに、でけん、でけんと諦めてはいかんばい。ええなあ。大事なのは、えーさっさ。時間をかけたものほど、いとおしい。

倉野尾:だから、マラソン大会の名前は、「熊本えーさっさマラソン」。みんな、長い長い道のりを、楽しんで走ってほしい。

小栗:苦しい、でも、私、小栗有以はこの大会で優勝してみせる! 優勝賞金で、ニューヨークに行く!むこうで、ダンスを習い、いつかブロードウェイで踊るんだ!

太田:ああ、足が痛い・・・でも、私はぜったい、止まらない。だって、弱い自分に負けてばかりいたから。もういやだ、弱い自分は、もういやだ!ぜったい、完走できないといったクラスの男子を見返してやる!

谷川:うううう、坂道が、きつい。でも、私は、前に進む。でも、絶対、優勝する。マラソン女王の地位を取り返す!


ナレーション:さて、熊本えーさっさマラソン、いったい誰が優勝するのか?


アナウンサー:どうも! どうも! ええ、ここ熊本は、すっきりと晴れ渡っています!空気が気持ちいいです。ぽかぽかあったかいのは、熊本のひとが、みんな優しいからでしょうか? あ、申し遅れました。わたくし、この「熊本えーさっさマラソン」の実況をお伝えする、アナウンサーの、宇和図理男(うわ・ずりお)です。今日もなんだか、声がうわずっております! ええ、わたくしの隣にいますのは、この大会を企画した、倉野尾成美さんです。

倉野尾:どうも、よろしくお願いします。

アナウンサー:倉野尾さんは、今や、知らないひとはいないほどの有名人! 一輪車に乗りながらけん玉をやり続ける映像が、動画サイトで全世界中のひとに広まり、一躍、時のひととなりました。それで稼いだお金を、この大会に全て投資したわけですねえ。

倉野尾:私にとって、熊本は、家族のように大切なあったかい場所なんです。その熊本を元気にするためなら、なんだってやります!

アナウンサー:すごいすごいすごい! 宇和図理男のすごい三連発でましたぁ! うわずりますぅ! えらい!あんたは、えらい!

倉野尾:この大会は、誰が一位とかが大事なんじゃなく、長い距離を走り切ることが大切なんです。じゃあ、私も走ってきます!

アナウンサー:いってらっしゃい!がんばって! では、ここで、注目選手の様子を見ていきましょう。まずは、ああ、すごい勢いで最初から飛ばしているのは、ゼッケン1226番の小栗ですねえ。

小栗:私、小栗有以は、小さい頃からダンスをやってきた。夢は世界だ!マラソンは得意。ぜったい優勝する! その賞金で、ニューヨーーーク!

アナウンサー:そして、おおっと、ゼッケン1205番の太田もいい走りをしています。

太田:クラスの男子、寺山君は言った。

(回想)
寺山君:太田ってよう、なんかよう、意気地がねえじゃん、あれだよなあ、マラソンなんか、ぜってえ、走れなくない?

太田:あったまきた。確かに私はいつも弱気で、いつも気持ちが折れやすい。でも、そんな自分に、決着をつける!

アナウンサー:そしてそして、おおっと、出ました! みなさん、この華麗な走り、御覧ください! そうです、あの伝説のランナー、谷川聖です。綺麗なフォームはあの頃のままです。大きな怪我をして、一度、姿を消しましたが、この大会で復活です。

谷川:一度は、足を傷めて、諦めた。でも、走ることは生きることだということに気づいた。負けない、ここまでくるのに、どれだけリハビリ、頑張ったか、誰も知らない。

アナウンサー:そしてそして、おおっと、倉野尾さん、いやあ、私も走りますと言っていたのでてっきり普通に走るのかと思ったら・・・一輪車に乗っていますね。みんなを応援しています!

倉野尾:さあ、みんな、敵は外にいるんじゃないの、自分の中にいるのよ! 自分に負けないで、自分の弱さをしっかり見つめてください。私は、一輪車に乗りながら、けん玉、します! それ! えい! やあ!

小栗:ちょっと、気が散るからやめて!

太田:そうよ、向こうにいって!

谷川:こっちは人生、かけているんだから!

アナウンサー:おおっと、先頭集団から、倉野尾さんへ、まさかのダメだし? あはははははは、ってすみません、大笑いしちゃいました。

倉野尾:わかります。勝負だから、必死になるの、わかります。でも、みなさん、どうせなら、もっと楽しんでください。そんなつらそうな顔しないで!

小栗:つらいからこそ、つかんだものが尊いんじゃない?

太田:そうよ、きついから、弱い自分に勝ったことになる。

谷川:復活するって、並大抵のことじゃダメなの。

倉野尾:そうですね、それもわかります。でも、でも、マラソンも、人生のように、長い。えーさっさ。最初からつらそうに、飛ばさないでください。

アナウンサー:おおっと、倉野尾さん、先頭集団から、離れていきます。やはり、あれですねえ、隣に一輪車でけん玉するひとがいたら、やだもんねえ、あはははははは、と思ったら、ええ?

谷川:痛っ!

太田:ああああ!

小栗:うわあああああ!

アナウンサー:あああああ、まさかのクラッシュ! 谷川が倒れ、そこに太田がぶつかり、小栗の足にひっかかり、三人が路上に倒れました。

小栗:痛ったい・・・。何すんのよ!

太田:ちょっと何やってるのよ!

谷川:先にぶつかってきたのは、そっちでしょ?

小栗:ちょっと、いいがかりはよしてよ、

太田:私はぶつかってないし。

谷川:転んじゃって、ああ、どうすんのよ!もう終わりじゃない!

小栗:それはこっちのセリフよ!

太田:完走できないと、またバカにされるんだから!

倉野尾:ちょっと、大丈夫ですか?みなさん!

一同:大丈夫じゃないわよ!

倉野尾:ああ、よかった、元気そうで。

小栗:誰かさんのせいで、優勝ができなくなった。

倉野尾:みなさん、立ち上がって、見てください。雄大な阿蘇の景色を。

太田:え?

倉野尾:ね、風が気持ちいいでしょ?

谷川:ええ?

倉野尾:倒れたら、立ちあがればいい。転んだら、起き上がって、また走り出せばいい。人生で大事なのは、いちばん最初にゴールすることじゃない。風景や風の香りを楽しんで走ること。さあ、走りましょう、この長い人生を!

アナウンサー:おおっと、一輪車の倉野尾さんに先導されて、小栗、太田、谷川が再び、走りはじめました。うううん、さきほどまでの必死な走り方ではありません。なんだか・・・え?笑っています。笑顔です・・・。

小栗:ダンスでブロードウェイ、夢は諦めない。でも、今は、ただ走るのが楽しい。

谷川:何を焦っていたんだろう。リハビリは始まったばかりだ。ゆっくりいけばいい、人生は長いから。

太田:私は・・・え? 沿道にいるのは、寺山君?

寺山君:おおい!太田、カッコいいぜ、ごめんな、バカにして。オレさ、オレ、ほんとうは、おまえのこと・・・。ゴールで待ってるぜ!

太田:寺山君の・・・バカ。

倉野尾:うれしかった。みんなが長い道のりを楽しんで走っている。これでいい、これでいいんだよね、おばあちゃん!

おばあちゃん:人生は、えーさっさ、えーさっさ。焦って走ってもなんもいいことはない。

倉野尾:熊本えーさっさマラソン、ばんざい!!

収録後のワンショット

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