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2017年210日放送 午後1000分~NHK-FM

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番外編『夢に向かって走れ!』

原案:小池美波、佐藤詩織、長濱ねる

脚本:北阪昌人

★参考:ちー、くるみ

出演

小池美波、佐藤詩織、長濱ねる、山寺宏一

あらすじ

画家になることを夢見る佐藤詩織は、その一歩を踏み出すため、『欅坂展』への入選を目指して懸命に作品を制作していた。しかし、その作品を見た友達の長濱ねるから、本当に自分が描きたかった作品なのかと指摘され、激怒してしまう。ねるに冷たくあたってしまったことを悔やむ詩織。
そんな時、幼い頃、自分の絵をほめてくれた祖父と同じように話しかけるハトが現れ…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、東京・欅坂の、とあるカフェ。向かい合って話しているのは、画家を目指す佐藤詩織とその友達の長濱ねる。


ねる:詩織、元気だしてね。

詩織:ありがとう、ねる。

ねる:『欅坂展』って、そんなにすごいの?

詩織:まあね、絵の世界で食べていこうと思ったら、まず、欅坂展に入選することが、大前提だから。

ねる:そうなんだね。でもさ、詩織なら、ゼッタイ大丈夫だよ。

詩織:ゼッタイなんてどうして言えるの?

ねる:え? それは・・・。

詩織:ゼッタイなんてこの世にはないって、よくおじいちゃんが言ってた。だから努力しなきゃいかん、毎日毎日、コツコツと頑張れっておじいちゃん言ってた!

ねる:ごめん・・・。

詩織:あ、ごめん。せっかく、ねるは励ましてくれてるのに、私、ダメだね・・・。

ねる:ダメじゃないよ。見せてくれた欅坂展に出す絵、とってもうまかった。けど・・・。

詩織:けど?

ねる:いや、なんていうか、その正直に言うとね、狙いすぎっていうか、あれ、ほんとに詩織が画きたかった絵なのかなあって、ちょっと思った。

詩織:ねるに何がわかるの! 絵のことなんか知らないくせに、勝手なこと言わないで!!


ナレーション:詩織はカフェを飛び出しました。


詩織:あああ、私、サイアク!


ナレーション:詩織は、ひとりとぼとぼと、坂道を歩いていました。


詩織:ねるに、ひどいこと言っちゃったなあ・・・。でも、正直、今度の作品は、入選すると思ってた。2017年の目標は、欅坂展に入選して、画家になるための一歩を踏み出すことだったのに・・・。

詩織:私は落ち込むと、空の上のおじいちゃんに話しかける。

詩織:おじいちゃん、詩織は、まだまだダメです・・・。

ハト:ダメじゃないよ。

詩織:え?

ハト:詩織は、ダメじゃないよ。

詩織:えええ?ハ、ハトが、しゃべった!

詩織:私のそばにやってきた白いハトが、いきなりしゃべり始めた。

ハト:詩織、毎日毎日、コツコツ頑張れ!

詩織:今の言い方、おじいちゃんにそっくりなんですけどぉ!

詩織:私のそばにやってきた真っ白なハトは、言った。

ハト:いやあ、詩織は、よくがんばっているよ、あはははは。わしの自慢の孫じゃあ。

詩織:おじいちゃん・・・。

詩織:私がアトリエにいくと、肩にとまって、ついてきた。

ハト:ねるちゃんに、あやまりなさい、詩織。

詩織:そうだよね。

ハト:あんなふうに言ってくれるのが、ほんとうの友達ってもんだ。いいか、詩織、ダメなときにちゃんとダメって言ってくれる友達を大切にするんじゃぞ。

詩織:そうだね、おじいちゃん。

詩織:私は、すぐ、ねるに電話をした。

詩織:もしもし、ねる?

ねる:詩織、今日はなんかごめん。落ち込んでるときに、言うことじゃなかった。

詩織:そんなことない。私、なんだか入選しやすいテーマで狙って画いていたんだと思う。ねるの言うとおり、私、ほんとうに画きたいもの、画いてなかった。

ねる:ねえ、これだけは信じて。私ね、詩織が、ゼッタイ、入選するって信じてるの。ゼッタイがないとしても。

詩織:ありがとう、ねる。すっごくうれしいよ。

ハト:いい友達じゃないか。

詩織:だね。

ハト:で? 何を題材に画きたいんじゃ?

詩織:それはね・・・。内緒。


ナレーション:詩織は、アトリエを抜け出し、幼い頃、過ごしたあたりを歩きました。もちろん、白いハトも一緒です。


詩織:この神社で、初詣、したね!

ハト:ははは、おまえは、あの石段でつまづいて、おでこをぶつけて泣いておったのう、昨日のように覚えておるぞ~。

詩織:ああ、バレエを練習したスタジオだ!

ハト:全国大会で優勝したときに履いていたトウシューズは、わしが買ってやったんじゃぞ。

詩織:そうだったね。

ハト:いやあ、いいなあ、思い出というやつは。でもなあ、詩織。

詩織:なに? おじいちゃん。

ハト:後ろを振り返ってばかりでもいかん。前に進むんじゃあ。夢に向かって走れ!

詩織:はい!


ナレーション:そうして、詩織は、画きました。おじいちゃんと一緒に過ごした場所、時間を思い出すように、一生懸命画きました。


ねる:すごいよ! 詩織、この絵、すごいよ!!

詩織:ありがとう、ねる。ねるのおかげだよ。

ねる:これを入選させない審査員、私が許さない。

詩織:ありがとう!


ナレーション:そうして、審査発表のときがやってきました。


詩織:やった! 入選した・・・。私・・・やった!


ナレーション:欅坂展の最年少入選者に、取材が殺到しました。


レポーター:ええ、こちら、「欅坂展」入選祝賀パーティーの会場です。最年少で入選を果たした、佐藤詩織さんにお話を伺います。おめでとうございます!

詩織:どうも、ありがとうございます!

レポーター:いやあ、今回の作品、なんていうんでしょう、一枚の絵に春夏秋冬すべてが表現されているように感じるんですが、絵のタイトル『二人のセゾン』、この意味について教えていただけますか?

詩織:これは・・・私の大好きなおじいちゃんと過ごした四つの季節を描いたものです。おじいちゃんと二人のシーズン、なんです。

レポーター:なるほどぉ、そういうことだったんですね。では、ここに描かれている、ハトは?

詩織:不意に、会場内に、白いハトがやってきた。私には、すぐわかった。

詩織:おじいちゃん!

レポーター:おおっと、まるでこの絵に描かれたハトが、飛び出してきたみたいですねえ。

詩織:白いハトは、大きく二度、私の上を回ったあと、飛んでいった。そうだね、おじいちゃん、これからだよね。私、頑張るね。

ハト:毎日毎日、コツコツ、がんばれよ!

収録後のワンショット

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