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2017年127日放送 午後1000分~NHK-FM

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番外編『クリスマスの再会』

原案:小林由依、志田愛佳、渡邉理佐

脚本:北阪昌人

★参考:ガブリエル、ゴリラ

出演

小林由依、志田愛佳、渡邉理佐、山寺宏一

あらすじ

同じ大学に通うの渡邉理沙男と、東京・欅坂近くにある公園でデートをしていた小林由依。付き合って半年。初めてのクリスマスを目前に控え、クリスマス・プレゼントについて楽しくおしゃべりをする二人。しかし、そこに由依の幼なじみである志田が現れる。同じ高校に通い、共にジャズ研究会に所属していた志田は、ピアニストとして勝負するため、高校卒業を機にニューヨークへ渡っていた…。

人物相関図

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ナレーション:ここは、東京・欅坂近くにある、公園。今、ひとくみのカップルが、ベンチに腰掛けています。小林由依と、渡邉理佐男。


由依:もうすぐ、クリスマスだね。

理佐男:由依、なんかほしいもん、あるか?バイトで金貯めてるから、なんでもほしいもん、いいなよ。

由依:じゃあね、グランドピアノ。

理佐男:OK!!!って、無理だろ。

由依:うそうそ。えっとね、一緒に、映画行って御飯食べるだけでいい。理佐男くんと一緒にいられるだけで、うれしいから。

理佐男:そっか。由依は、可愛いこと言ってくれちゃうよな。じゃ、そろそろ行こうか。

由依:うん

理佐男:サックス、持とうか?

由依:ううん。大丈夫。

理佐男:まだ、やってたんだね。

由依:うん、なんかね、たまに吹きたくなるんだよね。

理佐男:イブは、どこにめし食いにいくかなあ。何食いたい?

由依:そうだなあ、


ナレーション:とそのとき、由依の目の前に、イケメン男子が、近づいてきました。


志田:由依、久しぶり。

由依:って志田君!!??

志田:よう。

由依:ようって、いつ戻ったの?

志田:先月。

由依:あ、理佐男くん、このひと、私の、その幼なじみの、志田くん、あ、このひとは、

志田:彼氏?

理佐男:そうです。はじめまして。

志田:どうも。じゃあ、またな、由依。あ、

由依:なに?

志田:まだ続けてたんだな、サックス。

由依:これは、別に。

志田:由依、

由依:なに?

志田:後悔、してないか?

由依:いきなり私の前に戻ってきた、志田くん。私は彼と二人でたくさんの季節を過ごした。彼の口癖はいつだって、こうだった。『後悔、してないか?』


ナレーション:ここは、休日の東京・原宿。たくさんの若者が行きかう中を、小林由依が歩いています。


由依:私の名前は、小林由依。どこにでもいる大学4年生。就職も決まった。そんなに大きな会社ではないけれど、満足している。就職してから役立つように、英語でも習うつもりだ。音楽は好きだけど、私には才能ないし・・・。同じ大学の理佐男くんとつきあって、半年になる。今年は初めてのクリスマス。今日は彼にクリスマスプレゼントを買いにきた。ああ、ほんとはワクワクしていいはずなのに・・・。でも、私の心はザワザワしていた。まさか、志田君と会うなんて・・・。

志田:よう!由依、またあったな。

由依:志田くん・・・。

由依:目の前に、志田くんが立っていた。

志田:偶然だな。これから彼氏とデートか?

由依:そんなんじゃないけど。

志田:高校を卒業して以来だから、4年ぶりくらいかな。

由依:忘れたけど。

志田:なんか怒ってる?

由依:別に。

志田:オレのこと、怒ってる?

由依:いきなり勝手に行っちゃうし、ニューヨークに。

志田:ああ、またすぐに戻るんだけど、あっちに。

由依:え? そうなの?

志田:ああ、やっとさ、なんとかピアノで食ってくことができるようになったんだ。

由依:すごいね。

由依:志田くんと私は同じ高校のジャズ研究会で、彼はピアノ、私はアルトサックスを吹いていた。

志田:由依はさ、本気でやんなかったんだよ、サックス。

由依:志田くんと違って才能ないし。

志田:本気で言ってるのか?

由依:え?

志田:オレ、おまえのサックス、めっちゃ好きだった。

由依:うそ。

志田:ほんと。胸にぐさってきた。おまえさ、才能とか言ってんじゃねえよ。

由依:え?

志田:ニューヨーク行ってよくわかったんだ。才能なんて言葉を使っていいのは、さんざん努力して、それなりに仕事しているひとが、100を101にするときだけかなって。

由依:私には・・・きっと努力する才能がなかったんだね。

志田:残念だよ、おまえが音楽やめちまってよ。それで後悔してないか?

由依:・・・してないよ。

志田:彼氏、優しそうなやつだな。

由依:優しいよ。


ナレーション:そのとき、向こうから、理佐男が歩いてきました。


理佐男:よ、よう。

由依:理佐男くん、

理佐男:いや、由依にクリスマスプレゼント買おうと思ってさ。

由依:私も・・・。あ、志田くんとは偶然会って。

理佐男:そっか。

由依:ほんとだよ。

理佐男:ああ、

志田:ほんとに偶然会ったんだ。

理佐男:わかったよ。

志田:由依のこと、よろしく。

理佐男:おまえに頼まれなくても、わかってるさ。

志田:そっか。あ、オレさ、明日には、またニューヨークなんだ。

由依:クリスマスイブなのに?

志田:ああ、

由依:そう。

理佐男:あのさ、つもる話もあるだろうからさ、二人でお茶でもしたら? オレ、由依にプレゼント買ってるし。

由依:理佐男くん・・・。

志田:ありがとう。

理佐男:いいって。じゃあな。

志田:いいやつだな。

由依:うん、いいやつ。

志田:ほんとはさ、ちょっとくじけそうになって、それで日本に戻ってきたんだ。でも、由依の顔みたら、気合いはいったぜ。昔、言ってくれたもんな。志田くんのピアノの音色、好きだよって。

由依:言ったよ。がんばって! 私、ずっとずっと、応援してるから。

志田:二人でいろんな季節過ごしたな。小さい頃から。向こうにいるとさ、よく思い出すんだ、由依と歩いた桜並木や、海、紅葉したイチョウ並木に、雪道・・・。で、いつも自分に問いかける。

由依:おまえは後悔していないか?

志田:そうだ。

由依:ねえ志田くん、志田くんが教えてくれた言葉でね、私が一番好きなのはね、

志田:なに?

由依:生きるとは、変わること。

志田:そんなこと、オレ、言ったか?

由依:言った。

志田:そっか。

由依:会えてよかったよ。

志田:ああ、オレも。じゃあな。

由依:志田くんの背中が、ひとごみに消えていく。私は、小さな声でつぶやいた。

由依:あなたのこと、好きだったよ。

収録後のワンショット

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