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2017年113日放送 午後1000分~NHK-FM

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『私を鬼退治に連れてって!』

原案:小栗有以、吉川七瀬、髙橋彩音、清水麻璃亜、小田えりな

脚本:北阪昌人

★参考:ハートロック、コウジ

出演

小栗有以、吉川七瀬、髙橋彩音、清水麻璃亜、小田えりな、山寺宏一

あらすじ

むかーし、むかし、東京という街に、桃から生まれた桃太郎がいました。桃太郎は自分を育ててくれたおじいさんとおばあさんに恩返しをするために、鬼ヶ島へ鬼退治に向かうことを決意。ひとりでは心細いので、関東の各県をまわって仲間を集めました。群馬県の草原でイヌが、千葉の森でサルが、そして、埼玉の山奥でキジが、桃太郎の誘いの応じて仲間に加わります。こうして桃太郎は、イヌ、サル、キジを連れて鬼ヶ島に向かい…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:むかーし、むかしの、お話。東京、という街に、桃から生まれた桃太郎がいました。


桃太郎:よ~し、鬼が島に行って、鬼退治をしよう。金銀財宝を、鬼から奪って、ボクを育ててくれた、おじいさんやおばあさんに恩返しをするんだ!でも、ボク、ひとりでは心細いなあ・・・。よし、関東の各県をまわって、仲間を見つけよう!


ナレーション:桃太郎が意気揚々と歩き出したとき、群馬県の草原では・・・。イヌがはぁはぁいいながら、走っていました。


イヌ:ワンワン、はぁはぁ、あ、どうも、イヌです。なんていうか、ボクは、コンプレックスのかたまりなんです。だって、ボクは、キジのように空を飛ぶこともできませんし、サルのように機敏に動いて木にのぼることもできません。できることと言えば、地べたを懸命に走ることだけ。ワンワン、ぶっちゃけ、ボクがこの世に生まれた理由ってなんなんだろう。


ナレーション:そこへ、桃太郎がやってきました。


桃太郎:どうも、群馬のイヌさん、こんにちは。今から、鬼ヶ島に鬼退治に行くんだけど、一緒に来てくれないかい?

イヌ:ワンワン、いやあ、行きたいのは、やまやまなんですが、あいにく、ボクは、たいしてお役に立つか自信がなく・・・。

桃太郎:大事なのは、やる気があるかってことじゃないのかい? 海を越え、鬼ヶ島に行きたいか、行きたくないか、どっち?

イヌ:それはその、行きたい・・・かな。ワンワン。

桃太郎:OK!ボクが自分で焼いたクレープをあげるよ。

イヌ:ありがとうございます!ワンワン!


ナレーション:千葉県の森では、木々を渡るサルが、ひとりごとを言っていました。


サル:ムッキッキー、おいらサルだぜ、文句あっか? おいらは辛いもんが大好きで、すっかり発言も辛口になっちまったぜ。ムッキッキー! ひとが嫌がることをすぐにいっちまうから、まわりに誰もいなくなっちまった。ムッキッキー!


ナレーション:そこへ桃太郎がやってきました。


桃太郎:やあ、千葉のサルくん、こんにちは!

サル:なにカッコつけてんだよ、ムッキッキー! 桃から生まれた桃太郎ってそのまんまじゃねえか!ひねれよ、もっとひねってみろよ!

桃太郎:なんだか辛口だなあ、サルくん。どうだい? ボクと一緒に鬼ヶ島に行ってみないかい?

サル:ふん! まっぴらごめんだぜ。あんたの家来になるなんて、おいらのプライドが許さねえってもんだぜ、ムッキッキー!

桃太郎:プライドって言葉の使い方、間違ってるよ。誰かに導かれ、自分が知らない世界を観る、これって素晴らしいことだと思わないかい?

サル:ふん! なんかくれんのか?

桃太郎:ボクが自分でやいたクレープをあげよう!

サル:ムッキッキー!まあ、ついてってやるぜ。


ナレーション:埼玉県の山奥では、木の上にとまったキジが、空を見ながら、たそがれていました。


キジ:はあ・・・。あ、どうも、鳥のキジです。キーキー。あのねえ、あたしはねえ、自分はこれでいいのかっていつも思っているわけなの。ふらふら毎日、飛んでいて、ほんとうはねえ、ヘビみたいになりたかった。大地を這うように、生きる。地道に、生きたかったの。


ナレーション:そこへ、桃太郎がやってきました。


桃太郎:ちっす!埼玉のキジさん、どうだい? ボクと一緒に、鬼ヶ島にいかないかい?

キジ:キーキー、いやねえ、そりゃあたしだって行きたいさあ。でもねえ、あたしがなんか役に立つのかねえ。

桃太郎:この世に役に立たない生き物はいないんだ、おじいちゃんにそう教わったけど。さあ、ボクが自分でやいたクレープをあげるから、一緒に行こうよ。

キジ:そんなに言うなら、いこうかねえ。


ナレーション:こうして、桃太郎は、イヌ、サル、キジを連れて、鬼ヶ島に向かいました。船の上で、みんなが話をしています。


サル:おい、イヌ、おまえ、何できんだよ、なんか特技でもあんのか?

イヌ:はあ、あの、料理は得意ですが、

サル:はあ? ムッキッキー! 料理? そんなんで鬼に勝てると思ってんのか?

イヌ:はあ、ですよねえ、自信ないですぅ。

サル:鬼はめっちゃ怖いって噂だぜ。

キジ:みなさ~ん! キキー、向こうに島が見えてきましたよ!

一同:鬼ヶ島だぁ!!


ナレーション:さて、一行が鬼ヶ島に着くと・・・。なんと、岸壁に鬼が、いました。


鬼:ああ、どうも、鬼です。

桃太郎:ああ、どうも、桃太郎とゆかいな仲間たちです。

鬼:どうもどうも、お噂はきいてました。そろそろいらっしゃる頃かと思ってました。

桃太郎:まさか出迎えてもらえるなんて。

鬼:狭い島ですが、ゆっくりしていってください。いやあ、私はねえ、もともと、私、神奈川県で地味に働いていたんですよ。あるとき、書道に目覚めまして。毎日毎日、筆で字を書いていたら、まわりから、こう言われたんです。「おまえは、書道の鬼だ!」 あっという間に、鬼ヶ島行きですよぉ。もうたまりませんよ。ひとつのことに一生懸命になるやつのことを、なんでみんな笑ったり、するんでしょうねえ。

桃太郎:鬼さんは、いいひと、なんだね。

鬼:いや、それほどでも、

桃太郎:村人から奪った金銀財宝は、どこにあるんだい?

鬼:ああ、それですか、それはですね、あそこに見える山のてっぺんに住んでいる、鬼の親分が、全部、持ってます。ああ、ダメですよ、あの親分をやっつけようなんて思っちゃ、今まで、誰一人、勝てたやつはいませんから。怖いんです、強いんです。

桃太郎:一緒に闘えば、勝てるかも。

鬼:一緒にって、まさか、私も?

桃太郎:このクレープ、あげるからさ。一緒に行こうよ。

鬼:ええ? いや、無理です、私は、だって、親分、ほんとおっかないですから。

桃太郎:みんなで行けば、大丈夫だって。

サル:ムキッキー、なんだか頼りねえ連中ばっかだな。

鬼:ああ、サルさん、こんにちは、鬼です。

サル:ふん! 鬼だったらもっと堂々としてろよ!

鬼:ダメなんですよねえ、私、いばるやつが大嫌いで。

イヌ:ああ、ワンワン、それはボクも同じです。あ、イヌです。

鬼:どうも、よろしくお願いします。鬼です。

キジ:キキー、キジです。あなた、なかなかいいひと、じゃなかったいい鬼ねえ、ちょっとイケメンだし。

鬼:いえ、恐縮です、キジさん。

サル:ふん! みんな傷口なめあってんじゃねえっつーの! おい、桃ちゃん、いくなら早くいこうぜ。

桃太郎:そうだな、どんなおっかない鬼の親分でも、ボクたちにはかなわないさ。

サル:って、めっちゃふるえてんじゃん。だいじょうぶか?

桃太郎:ああ、ぜんぜん、まったく、問題、ないさぁ、ははは。


ナレーション:こうして、桃太郎、イヌ、サル、キジ、鬼は、山の上の鬼の親分のところに向かいました。はたして、鬼の親分に勝てるのでしょうか?


サル:おいおい、待てよ! この崖を登るのかよぉ!? ったくもう、クレープだけじゃ、わりにあわねえよ! ああ、落花生が、食いてえ!


ナレーション:さて、桃太郎、イヌ、サル、キジ、鬼は、山の上の鬼の親分のところに向かいましたが・・・。


サル:っていうか、すげえ崖なんですけどぉ、ムッキッキー!

イヌ:はぁはぁ、やっぱり、こんなところに来たのが、間違いだったのかな、ワンワン、

桃太郎:はぁはぁ、ああ、お腹すいたなあ、

鬼:だからやめようっていったじゃないですか、

サル:しっかしこういうとき、いいよなあ、キジは、

キジ:すみませんねえ、あたしだけ、

一同:キジは、いいよなぁ~!

キジ:キキー! そうなんですよ、いつもあたしのこと、そんなふうにみんないうんです。空、飛べていいね!って。でも、あたいは思います。別に飛びたくて飛んでるわけじゃない。正直、飛びたくないときだってある。でもねえ、大地を歩いていても敵に狙われるし、速く歩けない・・・。まわりからみたらうらやましく思うことでも、本人は、必死!ってこと、あるのよ。みんなわかって。ん?ああ、みなさ~ん! もうちょっとですよ! 頂上ですよぉ! ファイト!


ナレーション:桃太郎たちは、ようやく、山のてっぺんにたどり着きました。さらに歩くと、向こうに大きな赤い門が見えます。


鬼:ああ、ああ、おそろしい、あの門の先に、鬼の親分のお屋敷があるんだよ。ねえ、引き返すなら、今のうちだよ。

桃太郎:引き返す? そんなことありえないよ! ボクは闘うよ!

サル:ムッキッキー!って言いながら、桃ちゃん、めっちゃふるえてるぜ。

桃太郎:こ、これは武者ぶるいってやつさ。

イヌ:しかし、あのですねえ、さっきから言ってるとおり、ボクはたいしてお役に立てないと思いますよ、ワンワン。

サル:うるっせえよ、イヌ。ここまできて言い訳とか言ってんじゃねえ。やるっきゃ、ねえだろ。人生にはなあ、ぜったい闘わなきゃなんねえときがあんだよ!

キジ:なんか、サルさん、カッコいい。

サル:へへ、やっと気づいたのかい。だいたいなあ、『桃太郎』って話は、おいらが主人公のはずだったんだ。

桃太郎:それはないだろう、だって、題名が『桃太郎』なんだから、

サル:それはあれだろ、おめえが勝手に、

桃太郎:だってボクは、

鬼:あの、

サル:おれは、ただみんなを

鬼:あの!!

桃太郎・サル なに?

鬼:あの、気がついたら、いますよ。

桃太郎・サル いる?いるってなにが?

鬼の親分:ぬわあああはははははっははは! わしに逆らうやつは、どいつだぁ!!

一同:ひええええええ!! 鬼の親分だぁ!!

桃太郎:で、で、でかい!

イヌ:すっごい鉄の棒を持ってますよ、ワンワン、

サル:なんか、めっちゃ怒ってるね、顔が真っ赤だ、ムキッキー!

キジ:二本の角が、なんか不気味、キキー!

鬼:今日はまた、いちだんと機嫌が悪いみたいですよ、やれやれ。

鬼の親分:わたしに何の用じゃあ!

鬼:あ、どうも、鬼です。えっとですね、その、このひとたちがあの、観光でこの島に来まして、それでちょっとご挨拶を。

鬼の親分:観光?

鬼:ねえ、みなさん。

イヌ:まあ、それは、ワンワン、

キジ:そうですねえ、それはその、

サル:なんていうか、素敵な、島ですね。

桃太郎:観光なんかじゃない!

一行:桃太郎!

桃太郎:おまえをやっつけに来たんだ! みんなから奪った金銀財宝をよこせ!! この、この、桃太郎が、相手だぁ・・・。

サル:めっちゃテンション、下がってますよ、桃ちゃん。

桃太郎:この桃太郎が、相手だぁ!!

鬼の親分:ぬああああはははっはははは、このわしに闘いを申し込むとは、たいした度胸だ! ほめてやる。だが・・・それまでだ。ほれ、この鉄の棒で、おまえらを崖の下に突き落としてやる。それ~!!!

一同:わあああああああ!

イヌ:わあああああ、落ちるぅ!! ワンワン~

鬼:ああ、イヌさんが、下に!

桃太郎:えええ?

キジ:私に、まかせてくださいな!


ナレーション:キジは、さっと飛び立って、落ちていくイヌをクチバシでつかみ、背中に乗せました。


イヌ:ああ、助かりました。ありがとうございます、キジさん。

キジ:いいんだよ、あたしだって役に立ってうれしい。

イヌ:役に立つ、か・・・。ボクも誰かの役に立ちたい!ワンワン。

キジ:大丈夫、イヌさんにはイヌさんにしか、できないことがありますよ。


ナレーション:鬼の親分に立ち向かう、桃太郎、サル、イヌ、キジ、そして鬼。彼らは気づいていました。ひとりでは倒せない相手でも、力を合わせれば、なんとかなるかもしれない。


桃太郎:みんな、力を合わせよう!! 合図を出したら、イヌは、足にかみつくんだ。

イヌ:ワンワン!

桃太郎:サルは、足からひょいと親分の体をのぼって、目かくししてくれ!

サル:ムキッキー!

桃太郎:キジは、空の上から石を落としてくれ!

キジ:キキー!

桃太郎:鬼さんは、ボクと一緒に正面から闘おう!

鬼:がってんだ!

鬼の親分:もう容赦はせんぞ~!!おりゃあああああ!

鬼・桃太郎:わああああああ!

桃太郎:さあ、いまだ!!

一同:それ!!

鬼の親分:ん? な、なんだ? なんだ?うわあ、うわあ、

桃太郎:いくぞ、そりゃあああああああ!!


ナレーション:サルに目をおおわれた鬼の親分がバランスをくずしたとき、イヌが足にかみつき、キジが石を落とし、桃太郎と鬼が、攻撃をしかけました。


鬼の親分:ううわああああああ!


ナレーション:倒れた鬼の親分に、一行はとびかかりました!


鬼の親分:ごめんなさい、ゆるしてください・・・。もうしませんから、かんにんしてください。奪ったものは、お返ししますんで、ほんとすみません。


ナレーション:反省した鬼の親分は、素直に謝って、お宝を返すと約束しました。


桃太郎:みんな、よく頑張ったな。ボクは、わかったよ。自分のダメなところばかり見て、ウジウジ悩んでいるより、自分のいいところを使えばいいんだって。みんなで力を合わせれば、どんな相手にも立ち向かっていける!

サル:なんかカッコつけてんじゃねえよ、桃ちゃん。このおいらがいなくちゃ、ダメだったろ?

桃太郎:ああ、ありがとう、サル、そして、イヌ、キジ、そして、鬼さん。

イヌ:それにしても、これだけの金銀財宝、どうやって運びます?

鬼:そうですねえ、

キジ:海も渡らなくちゃ、いけないしねえ。

鬼の親分:ああ、あのですね、僭越ですが、それでしたら、我々、「鬼の宅配便」をご利用ください。もちろん、格安にしますんで。

桃太郎:そうだな、お願いするか。

サル:親分、お願い、タダにしてよ~!

一同:はははははははは。

収録後のワンショット

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