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2016年122日放送 午後1000分~NHK-FM

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『ごぼうくんの恋のレッスン!』

原案:武藤十夢、田野優花、茂木忍

脚本:北阪昌人

★参考:マフラー、詩織

出演

武藤十夢、田野優花、茂木忍、山寺宏一

あらすじ

秋葉原のAKB高校に通う茂木忍は、飼っているペット、うさぎのごぼうくんをいつものようにひざの上にのせて、憧れの先輩・武藤が声をかけてくれたことを、嬉しそうに話していた。土曜のクリスマス・イブに、武藤先輩と一緒にイルミネーションを見に行きたいと妄想をする茂木。すると、ごぼうくんがいきなりしゃべりだし、茂木に対して恋のレッスンを始める。いったいどんな恋のレッスンをするのでしょうか?

人物相関図

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ナレーション:ここは、秋葉原のAKB高校に通う、茂木忍の家。彼女は自分の部屋で、飼っているペット、うさぎのごぼうくんをひざの上にのせて、今日も話しかけています。


茂木:ねえ、ねえ!ごぼうくん、今日ね、あのね、声、かけられたんだよ! 誰にって?そりゃもちろん、あのひと、あこがれの武藤先輩!! テンションあがるよね! 今日ね、放課後、体育館をのぞいたら・・・。先輩がひとりで黙々とバスケットのシュートの練習をしていたんだよね。

武藤:は! それ!

茂木:カッコよかったなあ・・・。スリーポイントシュートをガンガン入れてて、でね、ボールがね、私の足元のほうに転がってきて・・・。それを先輩にパスしたら・・・。

武藤:サンキュー! あ、キミ、一年の茂木忍だろ?

茂木:って話しかけてくれて!

武藤:知ってるよ。

茂木:はああ、憧れの武藤先輩が私のこと知ってた! 天にものぼる気持ちでいたら、

武藤:この前の文化祭で、変顔コンテストで優勝してたよな。笑ったぜ。久しぶりに大声で笑った。はははははっ。

茂木:サイアク~! 見られた、先輩に変顔見られた!

武藤:はははははは、

茂木:笑われた~。ていうか、そもそも私なんか眼中にないよね。武藤先輩は、イケメンだし、頭いいし、スポーツ万能だし、ライバル多いし・・・。今年はクリスマスイブが土曜日だから、一緒にイルミネーションを観にいけたらいいなあって、勝手に妄想してたけど、はあ・・・無理だよね、そんなこと・・・。ありえないよね、ごぼうくん。

ごぼうくん:アホか、おめえ。

茂木:え?

ごぼうくん:アホかって言ってんだよ、

茂木:ご、ごぼうくん?

ごぼうくん:無理かどうか、ぶつかってみねえとわかんねえだろ、このすっとこどっこい。

茂木:ご、ご、ごぼうくんが、しゃ、しゃ、しゃべっったぁ!!

ごぼうくん:って、痛っ!放り投げるなよ、このドアホ! うわ、耳ぶつけて、こんなにでかくなっちゃったって、元からだよ~ん。って何いわすんやわれ!

茂木:ごぼうくん・・・。なんか、おやじくさい。


ナレーション:さて、いきなり人間の言葉をしゃべりだしたごぼうくん。いったいどんな恋のレッスンをするのでしょうか?


ナレーション:ここは、茂木忍の部屋。彼女は、うさぎのごぼうくんに説教をされています。


ごぼうくん:っていうか、おまえは全然ダメ、なってない。はい、ここに正座しなさい、正座!

茂木:はい。

ごぼうくん:毎晩毎晩、愚痴ばっかり聴かされるオレの身にもなってくれよ、なあ。

茂木:はい、すみません。

ごぼうくん:いいか、忍はな、やる前から諦める、悪い癖がある。

茂木:そんな・・・そんなことないよ。

ごぼうくん:そんなことないよって、口をとがらせてる場合か、アホ。我がうさぎ界に伝わる格言にこういうのがある。いいか、よく聞いておけよ、『ニンジンのおいしさはかじらなきゃわかんねえ』。それ、復唱してみろ!

茂木:え?

ごぼうくん:ほれ!

茂木:ニンジンのおいしさは、かじらなきゃわかんねえ。

ごぼうくん:もう、テンション低すぎなんですけどぉ~。

茂木:ニンジンのおいしさは、かじらなきゃわかんねえ!

ごぼうくん:なんかやけくそだな。ま、いっか。

つまりだ、やらねえ前から諦める、そいつがいっちばんアホくさいってことだ。だってよう、諦めたら、そこで終わりだぜ。

茂木:だって最初から無理だってわかってるし、傷つくだけでしょ?

ごぼうくん:アッホ! アッホ! アッホ!

茂木:その言い方、なんかイラっとくる。

ごぼうくん:人生はなあ、多少傷つくくらいでちょうどいいんだ。それになあ、傷つくことで優しさを覚えるんだ。ああ、我がうさぎ界には、こんな言葉がある。『さみしいから、目がどんどん赤くなる。でも、目が赤いうさぎほど、人生を知っている』く~、いい言葉だぜ、まったく。

茂木:でも、どうすればいいの? 武藤先輩に、なんて言えば。

ごぼうくん:思ったまま、伝えればいい。

茂木:そんなの恥ずかしい!もうバカ!

ごぼうくん:って耳元でいうな、耳元で。キーンってなったぞ、キーンって。いいから、明日、オレを連れていけ、忍の学校に。

茂木:ええ?

ごぼうくん:オレがアドバイスしてやっから。な?

茂木:うん、わかった。


ナレーション:さて、翌日の放課後。


茂木忍は、ごぼうくんを入れたリュックを背負い、体育館にいきました。

武藤:それ!! えい!!


ナレーション:そこには、ひとり黙々と練習する武藤の姿がありました。


ごぼうくん:ほれ、話しかけろ。

茂木:え?だって、練習の邪魔になるし、

ごぼうくん:いいから、

茂木:・・・あの、先輩、

ごぼうくん:って声ちっちゃ!

茂木:あ、あの!!先輩!!

武藤:ん? あ、ああ、変顔の茂木忍か。

茂木:ダメ、やっぱ無理、また変顔って言われたし。

ごぼうくん:いいから、ここで帰ったら一生、後悔すっぞ!

武藤:どうした? なんか俺に用か?

茂木:え? あ、ええっと、

ごぼうくん:先輩に話があって、

茂木:せ、先輩に、話があって、

武藤:俺に? 今じゃなきゃダメ? 見てのとおり練習中なんだけど。

茂木:ああ、今じゃなくていいです。

ごぼうくん:アホ! このドアホ!

茂木:アホアホ言わないでよ、バカ!

武藤:ん?

茂木:いえ、あの、少しでいいので、時間を、その、ください。

武藤:ああ、いいよ。

茂木:わあああ、武藤先輩が近づいてくる、どうしよう・・・。

武藤:なんだ、近くで見ると、可愛い顔してるじゃんか、茂木。

茂木:え? あ、ああ、

武藤:3年なのに今頃練習なんて変だろ? 俺さ、この体育館が好きでさ、いろんな思い出があって、だから忘れないように、とことん体に覚えさせようって思ってさ。

茂木:忘れないように?

武藤:来週、俺、アメリカに行くんだ。

茂木:えええ?

武藤:留学するんだ。バスケをさ、極めたいって思ってさ。無理に決まってる、そんな身長で世界に通用するわけないってみんな言うけど・・・ふふ、ここんとこ、ちょっと弱気になってて、やっぱ、無理かなって思うときもあって、

茂木:アホ!

武藤:え?

茂木:行く前から無理とか、言わないでください。

武藤:茂木?

茂木:こ、こんなことわざ、知ってますか? 『に、にんじんのおいしさは、かじってみなきゃ、わかんない』はい、復唱して。

武藤:え?

茂木:いいから、

武藤:ああ、『にんじんは、かじってみなきゃ、わかんない』どこの言葉だ?

茂木:うさぎです。

武藤:・・・はははは、こいつはいいや、サイコーだ。

茂木:先輩、がんばってください。応援しています。失礼します!

武藤:あ、茂木、

茂木:はい!

武藤:ありがとうな。忘れないよ、おまえのこと。

茂木:先輩・・・。


ナレーション:学校からの帰り道は、夕焼けで世界が真っ赤に染まっていました。


ごぼうくん:泣いてるのか?

茂木:(泣いてる)泣いてないよ。

ごぼうくん:よく、がんばったよ、えらかったな、忍。

茂木:ごぼうくん・・・。

ごぼうくん:見直したぜ。

茂木:ありがとう、ごぼうくん。

ごぼうくん:どうだ? にんじんをかじった気持ちは?

茂木:にがくて・・・あまかった。

ごぼうくん:そうかい、そりゃ、よかった。

忘れるなよ、これからも。とにかくぶつかってみるんだ。

茂木:うん、わかった。

ねえ、ごぼうくん、もっとい~っぱい、格言教えて、ね?

ごぼうくん:・・・・・・。

茂木:あれ?ごぼうくん?


ナレーション:それ以来、ごぼうくんがしゃべることはなくなりました。でも、茂木には、ピンチになると、いつも聴こえるような気がしました。あのごぼうくんの声が。


ごぼうくん:アホか、忍! 負けるな! おまえはやればできる子だ! 前に進め!どんなときも、前へ!!

収録後のワンショット

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