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2016年122日放送 午後1000分~NHK-FM

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『ハイテンションマスター・トム!』

原案:武藤十夢、田野優花、茂木忍

脚本:北阪昌人

★参考:サットン、水道水

出演

武藤十夢、田野優花、茂木忍、山寺宏一

あらすじ

どんなひとも必ずハイテンションにしてしまうという伝説のハイテンションマスター・トム。依頼を受けて彼女が訪れたのは、東京・秋葉原にあるハンバーガーショップ。開店以来、全国でも売り上げナンバーワンを誇る人気店であったが、アルバイトの女性たちのテンションが低さが原因で、このところ業績が落ち込んでいた。そこには、人間のテンションを吸い取って、生きている妖怪・ローテンションの影が! ハイテンションマスター・トムの闘いが始まる!!

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、東京・秋葉原にある、ハンバーガーショップ。店長室に、ひとりの女性がやってきました。


店長:はい、どうぞ。

トム:失礼します。

店長:キミは? も、もしかして・・・。

トム:トムと申します。

店長:キミが、あれか、どんなひとも必ずハイテンションにしてしまうという伝説のハイテンションマスター・トム!

トム:用件をおうかがいしましょうか。

店長:しかし、なんだね、キミはあの、テンションが低いんだね、想像と違ったなあ。

トム:私はうわべだけのハイテンションが嫌いです。そんなものは、世の中の役には立たない。本当のハイテンションとは、まわりのひとたちを幸せにするんです。

店長:ああ、そう、そりゃあ失礼。

トム:で、用件は?

店長:あ、ああ、すまない、ああ、わがハンバーガーショップは、開店以来全国でも売り上げナンバーワンを誇っておったのだが、このところ、アルバイトの女性たちのテンションが低すぎて、まったく売れなくなってきたんだよ。新しい子が来ても、あっという間にテンションが落ちてしまうんだ。この間もなあ、茂木という明るい女の子が面接を受けにきて・・・


(回想)
茂木:はいはーい! 茂木忍で~す! 私はハンバーガーがめっちゃ大好きなんで、この仕事ができて、めっちゃうれしいで~す!!


店長:明るくて可愛くて即採用!となったんだが・・・。


(回想)
茂木:いらっしゃいませ。なににします?


店長:働き始めて、あっという間にテンションがだだ下がり。お客さん、どん引き。

トム:それは、ローテンションの仕業ですね。

店長:え? ろ、ローテンション?

トム:このところ、あちこちに現れている妖怪ですよ。人間のテンションを吸い取って、生きているんです。この妖怪に合うと、誰もがローテンションになってしまう。

店長:まさか・・・ウチの店にも? なんとかしてもらえないだろうか?!

トム:ご安心ください。私の辞書に、不可能の文字はありません。

店長:頼みます、トムさん!

トム:そのとき、私の耳に、ハッキリ聴こえた。妖怪・ローテンションの声が・・・。

優花:ははっははは、テンション、テンション、ローテンション。ハイテンションさん、らっしゃ~い。あなたのテンション、食べちゃうぞ~。


ナレーション:こうして、ハイテンションマスター・トムの闘いが始まりました!


ナレーション:ここは東京・秋葉原。ひと気のないハンバーガーショップで店員の茂木が、お客さんの注文を受けています。


お客:ああ、腹へったぁ! ああ、ハンバーガー食べたいなあ!

茂木:いらっしゃいませ。

お客:テンション低っ! ああ、えっとね、何にしよっかなあ、てりやきバーガーがいいかな、
茂木:ご一緒に、ポテトはいかがですか?

お客:はい? 声が小っちゃくて、あの、聴こえないっすけど。

茂木:ご一緒に、ポテトはいかがですか?

お客:なんか暗いなあ、この店、

茂木:ご一緒に、お飲み物はいかがですか?

お客:なんか怖いなあ、この店、なんか感じ悪いから、他の店にしようかな・・・。

茂木:ああ、お客様、それがよろしいかと思いますよ。

お客:へ、変な店だな、他、行こう!

茂木:またのご来店、お待ちしております。


ナレーション:そんなアルバイト店員茂木のそばに寄ってきたのは・・・。


優花:素晴らしい接客だったよ、茂木ちゃん。

茂木:ありがとうございます、優花さん。


ナレーション:同じアルバイト店員の優花でした。


優花:サイコーのテンションだったよ。あのくらいテンション低いと、みんな逃げ出すから、仕事が楽でいいよねえ。

茂木:はい。優花さんの言うとおりです。

優花:私に言わせれば、みんなテンション高すぎるのよ、世の中はね、嫌なことばっかり、やたらテンション高いやつって、なんかウザいよね。

茂木:はい。優花さんの言うとおりです。でも、あのお客さん、お腹すかせていたのに、可愛そう・・・。ハンバーガー食べてほしかったなあ。

優花:あれれ? 茂木ちゃん、ちょっとテンション、あがってきてるかな?

茂木:え? 優花さん・・・。

優花:また吸い取ってあげるね。


ナレーション:優花は、茂木の首筋に吸い付き、


優花:ちゅーーーー。

茂木:ああああ、

優花:どう?

茂木:はい、どうでもいいです、他のひとのことなんか・・・。

優花:そう、それでいいの。いいテンションよ、もぎちゃん。


ナレーション:そんな茂木と優花のやりとりを物陰から見ていたのは!


トム:ははははっはは、悪事は見させてもらったよ!


優花:むむ、なに? このやけに高いテンションの声は?

トム:出たな! 妖怪ローテンション!!

優花:な、なにをいうの? 私はただのアルバイト。

トム:今、首筋からテンションを吸い取るのをしっかり見たよ。それにあなたは、真っ黒な霧におおわれている。

優花:おまえ、なにもの?

トム:テンション、テンション、ハイテンション! この世は楽しい!この世はハッピー! もしもあなたがそう感じられないのなら、あなたのテンションが落ちているから。あなたのテンションあげてみせます! ハイテンションマスター・トム!!参上!!!

優花:ふふふ、いいテンションしてるじゃないの、美味しそう。吸い取ってあげるわよ、

トム:させるか!

優花:ほ~らいらっしゃい、ほら、こっちこっち。

トム:な、なんだ、この妖気は・・・。からだが、勝手に引き寄せられる。

優花:そう、いい子ねえ。あのねえ、教えてあげる、この世には、いいことなんてないの、頑張ったって、無駄なのよ、

トム:そんなことはない!努力はやがてむくわれる、頑張ったぶんだけ、ひとは強く優しくなれる、私はそう、信じている・・・。

優花:バカな子ねえ、そんなことはないのよ、さあ、もっとこっちに、

トム:くそ! からだが、言うことをきかない!

優花:さあ、首筋を出しなさい、

トム:させるか!

優花:ひ~っひっひっひ。

トム:負けない! テンションは、渡さない!!

優花:楽になりなさい、いいわよ、ローテンション。

トム:ああ、ああ、

優花:つかまえたよ。ふふふ、じゃあ、遠慮なくいただきます。


ナレーション:いよいよ優花がトムをとらえ、首筋にかみつこうと思ったそのとき。トムは、こう言いました。


トム:ありがとうね、優花。

優花:え?

トム:考えてみれば、テンションの低さが世の中を暗くすることを教えてくれたおかげで、私は、自分のテンションを大切にすることができたんだね。ありがとう。

優花:な、なにをいう・・・その言葉・・・やめてくれ。

トム:ありがとう!優花!あなたのおかげだよ。

優花:やめろ!

トム:ありがとう!

優花:やめろ~~!!

トム:ありがとう!!

優花:やめろ!!!! ああああ、テンションがあがる、なんだか感謝されると、テンションが、ああ、テンションが、ハイテンションに! あああああ!


ナレーション:妖怪・ローテンション優花の体をおおっていた真っ黒な霧がどんどん晴れていきました。


優花:私は今まで、ひとに「ありがとう!」って言われたことがなかった。だから、どんどん卑屈になり、ますますテンションが落ちていき・・・。誰かに「ありがとう」って言ってもらえる努力をしなかっただけなんだね。

茂木:ああ、ああ、なんだか私、気分が良くなってきた! あ、お客さまだ! いらっしゃいませ!!


ナレーション:アルバイト店員の茂木をおおっていた黒い霧も消えてなくなり、ハンバーガーショップは、すっかり明るく、キラキラと輝き始めました。


店長:いやあ、見違えるようだよ、トムさん。

トム:よかった・・・。あんな低いテンションには会ったことがなかった。

店長:おや、どちらへ?

トム:またどこかで私を呼ぶ声がするのです。またどこかで逢いましょう!!

トム:テンション、テンション、ハイテンション! この世は楽しい!この世はハッピー! もしもあなたがそう感じられないのなら、あなたのテンションが落ちているから。あなたのテンションあげてみせます! ハイテンションマスター・トム!!参上!!!

収録後のワンショット

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