OnAir

2016年923日放送 午後1000分~NHK-FM

放送一覧

『金の鬼、銀の鬼』

原案:須田亜香里、日高優月、江籠裕奈、竹内彩姫

脚本:北阪昌人

★参考:ユキヒロ、レモン

出演

須田亜香里、日高優月、江籠裕奈、竹内彩姫、山寺宏一

あらすじ

むかーし、むかし、あるところに、全身金色の鬼と、全身銀色の鬼がいました。二人は、とっても仲良し。銀の鬼には、夢がありました。できたら山を下りて、人間の子供と遊びたい、友達になりたい、そう思っていたのです。金の鬼は、「人間にかかわるとろくなことはねえ。石投げられたり、ひどい言葉かけられたり、さんざんな目に合う」と諭しますが、銀の鬼が心から人間と友達になりたいと思っていることを知っていたので、ある作戦を考えました。その作戦とは…。


人物相関図

  • ストーリー&キーワード募集
  • メンバーへの質問募集
  • 感想を送る

物語が読める ♪


ナレーション:むかーし、むかし、あるところに、全身金色の鬼と、全身銀色の鬼がいました。二人は、とっても仲良しです。


金の鬼:ああ、銀ちゃん、二人でバドミントンでもするべ?

銀の鬼:おお、金ちゃん、やるべやるべ。


ナレーション:銀の鬼には、夢がありました。


銀の鬼:ああ、金ちゃんと遊ぶのは楽しい。でもなあ、でもよう、ああ、一度でいいから村の子どもたちと遊びてえなあ。


ナレーション:山を下りて、人間の子どもと遊びたい、友達になりたい、銀の鬼はそう思っていたのです。


ナレーション:ある日の夕暮れ、木の陰から、村の子どもたちを見つめる銀の鬼を、金の鬼が見つけました。


金の鬼:なに、してんだ? 銀ちゃん、

銀の鬼:あ、金ちゃん、いや、実はさ、

金の鬼:ああ、

銀の鬼:おら、村の子どもたちと遊びてえだ。

金の鬼:なにを言ってんだ、バカタレがっ! じいちゃんもばあちゃんも言ってたべ? 人間にかかわるとろくなことはねえ。石投げられたり、ひどい言葉かけられたり、さんざんな目に合うってなあ。いちばん怖いのは、2月3日だべ、な? 豆ぶつけられて痛かったべ?

銀の鬼:ああ、痛かったぁ。

金の鬼:悪いことはいわねえ、おいらと遊ぶのがいちばんだ。

銀の鬼:ああ、そうだべなあ・・・。


ナレーション:でも、金の鬼は、知っていました。銀の鬼が、心から人間と友達になりたいと思っていることを。


金の鬼:銀ちゃん、どうしても人間と友達になりてえか?

銀の鬼:・・・ああ、なりてえ。


ナレーション:そこで、金の鬼は、ある作戦を考えました。


金の鬼:いいか、オレが、村の子どもたちを襲う、でだ、おまえが、オレをやっつける。すると、子どもたちは、おまえのことが好きになる。な? これでいいべ?

銀の鬼:そんなにうまくいくかな?

金の鬼:いくって。あ、でもなあ、本気でやらなきゃダメだ。嘘でやってると、すぐばれる。な? 大丈夫だ、おいらが台本、書いてやっから。


ナレーション:そうして、村の子ども、えごちゃんとたけちゃんが遊ぶ広場に、金の鬼がやってきました。


金の鬼:がおおおおお、鬼だぞ~。

えご:うわああ、金の鬼だぁ!

たけ:怖いよう、怖いよう、

えご:逃げよう、たけちゃん、

金の鬼:そうはさせねえぞう、がおおおお、がおおおお、

たけ:うわ~ん、怖いよう、

えご:ああ、返して、私のお人形、返して、

金の鬼:ぐははははは、これはおいらのもんだ、

たけ:ああ、私の人形も、

金の鬼:これも、おいらのもんだ、ぐははははは、


ナレーション:とそこへ、銀の鬼がやってきました。


銀の鬼:おいおい、そこの金色の鬼さん、やめなさい。

金の鬼:おいおい、銀ちゃん、もっと感情をこめて、

銀の鬼:おいおい、もっと感情をこめて、

金の鬼:そうじゃない、

銀の鬼:そうじゃない、

えご:また鬼さんが現れた、うぇん、怖いよう、

たけ:怖いよう、助けて、

金の鬼:ほら、銀ちゃん、早くいけ!

銀の鬼:あ、ああ、なんも怖くね、鬼はなあ、怖くねえから。

金の鬼:そうだ、その調子だ。

えご:え? 鬼さんは、怖いんじゃないの?

たけ:怖くない鬼さんもいるの?

金の鬼:こっちの鬼さんは、怖いぞ、がああああああ、ほれ、おいらを叩け。

銀の鬼:え?

金の鬼:え? じゃねえよ、おいらを叩け!

えご:あの鬼さんをやっつけてよ、

たけ:そうだよ、いい鬼さん、金の鬼さんをやっつけてよ。

金の鬼:さあ、銀ちゃん、おいらを叩け!

銀の鬼:こうか?

金の鬼:もっと強く!

銀の鬼:こうか?

金の鬼:もっともっと強く!

銀の鬼:じゃあ、こうか?

金の鬼:痛っ!

銀の鬼:ごめん、

金の鬼:うえぇぇん! 痛いよう痛いよう、もう逃げよう、ああ、いるんだなあ、いい鬼っているんだなあ・・・。

えご:うわい、すごいやすごいや、いい鬼さんっているんだ。

たけ:ねえねえ、銀の鬼さん、一緒に遊ぼうよ!


ナレーション:こうして、銀の鬼は、えごちゃん、たけちゃんと一緒に楽しく遊びました。それを木陰から見ている、金の鬼は・・・。


金の鬼:よかったなあ、銀ちゃん、夢がかなってよかったなあ。


ナレーション:銀の鬼は、毎日村の子どもたちと楽しく遊ぶうちに、いつしか、金の鬼のことを忘れるようになりました。


金の鬼:銀ちゃん・・・ああ、おいら、銀ちゃんと遊びてえなあ。


ナレーション:金の鬼に会わない日々が続いたある日、ふと、金の鬼のことを思い出した銀の鬼は、山に戻ってみました。すると・・・。


金の鬼:ああ、ああ、銀ちゃんかい。


ナレーション:すっかりやせほそり、葉っぱの布団で寝ている金の鬼の姿がありました。


銀の鬼:金ちゃん!!

金の鬼:ああ、うれしいべ。銀ちゃんに会えて、うれしいべ。

銀の鬼:ごめんなあ、金ちゃん、オレ、忘れてしまっていた、全部、金ちゃんのおかげなのに、忘れていた・・・。

金の鬼:いいってことよ、自分の幸せを考えるのが、なにより大事なんだよ、人生は。

銀の鬼:金ちゃん!!


ナレーション:それから銀の鬼は、一生懸命、金の鬼を介抱しました。食事を食べさせ、一緒に遊び・・・。やがて金の鬼が元気になると・・・。


えご:銀ちゃん、

たけ:銀ちゃん、

銀の鬼:おお、えごちゃんに、たけちゃんじゃないか? こんな山の中まで来てくれたんか?

えご:ともだちだよね、私たち。

銀の鬼:ああ、そうだ。

たけ:銀ちゃんが心配で。

銀の鬼:そうかそうか、ありがとうなあ。


ナレーション:そこで、銀の鬼は、えごちゃんとたけちゃんに全ては金の鬼のおかげだということを話しました。


えご:じゃあさ、金ちゃんも私たちのお友達になればいいんじゃない?

たけ:そうだよ、そうしよう。一緒に遊ぼうよ、金ちゃん!

金の鬼:ああ、そうしよう、ありがとうなあ・・・。


ナレーション:金の鬼の眼から涙がポタポタ落ちました。銀の鬼の眼からも、涙がポタポタ落ちました。


えご:なんで泣いてるの?

金の鬼:ん? おいらにもわからないよ、こんな涙は・・・初めてだ。


ナレーション:こうして金の鬼と銀の鬼は、村の子どもたちと末永く仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし。

収録後のワンショット

Page Top