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2016年71日放送 午後1000分~NHK-FM

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『この夏の挑戦~マラソン編』

原案:高橋朱里、西野未姫、込山榛香、川本紗矢

脚本:北阪昌人

★参考:りこ、ビート

出演

高橋朱里、西野未姫、込山榛香、川本紗矢、山寺宏一

あらすじ

雨が降る中、秋葉原にあるAKB高校のグラウンドを、ひとりで必死に走る陸上部の西野未姫。ヘタレだった西野は、昨年の校内マラソン大会は途中棄権。今年はコーチから二十位以内に入ることを厳命されていた。しかし、雨の中での練習がたたり、風邪でダウン。治った後、再び練習に励むヘタレ西野だが、マラソン大会で上位二十位以内にはいることができるのか?

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、秋葉原にあるAKB高校のグラウンド。雨が降る中、必死にひとり走っているのは、陸上部の西野未姫。


西野:私、西野未姫は、ヘタレだった。いつもうまくいきっこない、ダメにきまっていると思い込んでいる。


西野:(走っている)はぁはぁはぁ、


西野:今度の校内マラソン大会でも、きっと恥をかくに決まってる。この間、陸上部全員が集められ、コーチがこんなふうに言った。


コーチ:おい、おまえら! 今度の校内マラソン大会、全員が、二十位以内に入るんだ、いいな? 走ることが専門の陸上部が、他のやつらに負けてどうすんだ! はい、そこの西野! いいか、おまえがいっちばん、心配だ。去年は確か、途中で棄権してたな? 今年は、絶対許さんからな! 女子部門で二十位以内、これはゆずれん!


西野:無理、ぜったい、無理。長距離は苦手だし。私は、ダメにきまってる、きっと、ダメに・・・。


込山:西野さん!

西野:え?込山くん?

込山:こんな雨の中、練習なんかしたら、風邪ひくぜ。


ナレーション:西野に傘をさしてあげたのは、同じクラスの込山ハルオ。込山は、バスケ部のエース。運動神経抜群で、勉強もいつもトップ。おまけにイケメンなので、学校中のアイドルでした。


込山:さあ、練習はそれくらいにして、傘に入りなよ。

西野:ありがとう、でも、私は、

込山:オレの傘には入りたくないっていうんなら別だぜ。

西野:そんなことない。私はただ、マラソン大会で、その、

込山:こっちにきなって。

西野:あっ!


ナレーション:そんな様子を校舎の影からじっとみている女子生徒がいました。同じ陸上部の高橋朱里です。


高橋:きーーー!なによ、ヘタレの西野! 我が王子、ハルオ様にくっついて! きーーー!許さないわよ!

川本:みきちゃん、帰ろう。

西野:さやや、


ナレーション:西野と込山に近づいてきたのは、西野の親友、川本紗矢。


川本:あ、こんにちは。

込山:こんにちは。キミは確か四組の川本だね。

川本:はい。

込山:よかった。このおバカさんを家に届けてくれ。

川本:え?

込山:すっごい熱だ。

西野:あっ・・・。

込山:ったくもう、こんなになるまで頑張って、ほんとにおバカさんだよ、キミは。


西野:そこで意識がなくなった。


川本:みきちゃん!


ナレーション:果たして、ヘタレ西野は、マラソン大会で上位二十位以内にはいることができるのか?


ナレーション:ここは、AKB高校のグラウンド。風邪が治った西野は、今日も走っていました。


コーチ:いいか!西野! もっと自信を持つんだ、おまえならできる!


西野:できるできるって言われるのが、かえってプレッシャーなんだよね。昔から期待されるのが苦手だった。


ナレーション:西野の隣を走るのは、高橋朱里。


高橋:とろとろ走らないでよ、邪魔よ、邪魔!

西野:ごめんなさい。

高橋:これだけは言っておくわ。ハルオ様に気に入られてるなんて思ったら大間違いだからね。ハルオ様はね、みんなに優しいの。だから王子なの。わかる? 特にねえ、彼、ヘタレには、同情しちゃうタイプなのよ、優しいから。はははは、お先に~。


西野:は~。ため息が出る。無理だよね、うん、絶対、無理。走れっこない。実は・・・雨の中を走ったのも、風をひけば、マラソン大会に出なくてもいいかなって思ったからだ。でも、あっという間によくなってしまった。


川本:みきちゃん! がんばって!


西野:さややは、こんなダメな私をいつも応援してくれる。


ナレーション:練習のあと、一緒に学校から帰る、西野と川本の姿がありました。


西野:ねえ、なんで?

川本:え?

西野:なんでさややは、こんな私に優しいの?

川本:こんな私、とか言わないで。そんな言い方好きじゃない。

西野:ごめん。

川本:みきちゃんは、私にはない素晴らしいところ、いっぱいもってるよ。

西野:そうかな。

川本:手芸、得意じゃん。編んでくれた毛糸の小物入れ、大切に使ってるよ。

西野:ありがとう。

川本:それに、みきちゃんの弾くピアノも好き。てっきり合唱部に入ると思ったんだけど。


西野:そうだった・・・。私は弱い自分に勝ちたくて、自分がいちばん苦手なものに挑戦しようと思ったんだ。それで入った陸上部。なのに・・・私は逃げることばかり考えて・・・。


西野:さやや、

川本:なに?みきちゃん、

西野:ありがとう。私、がんばるよ。

込山:今、帰りかい?おバカさん。

西野:込山くん。

込山:今度のマラソン大会で、二十位以内に入らないとまずいんだろ?

西野:うん。

込山:順位なんてどうだっていいよ。

西野:え?

込山:問題は、自分が悔いなく走ったかどうかだ。スポーツってさ、誰かと闘うわけじゃないんだ、弱い自分と闘うものなんだ。少なくとも、オレはそう思うぜ。じゃあな、おバカさん。


ナレーション:そんな様子を電信柱の影で見ているのは、高橋朱里。


高橋:キーーーーー! 許せないわ。私のハルオ様となれなれしく。覚えてらっしゃい! マラソン大会では、実力の差、見せてあげるから! キーーーー!


ナレーション:いよいよ校内マラソン大会の日がやってきました。西野は序盤から一生懸命に飛ばしていきました。


西野:負けるもんか、私は、ぜったい、自分に負けない。


川本:一緒に走ろうね、みきちゃん。

西野:いいの、さやや、先にいって。私は私のぺースでいくから。

川本:わかった。がんばってね。

高橋:はいはい、じゃまだよ、じゃま、そこどいて。

西野:高橋さん、

高橋:いい?もし二十位以内に入れなかったら、ハルオ様と口きいちゃダメ、いい?わかった?

西野:いえ、わかりません。

高橋:なぬ?

西野:私は、誰にも指図されない。私の生き方は私が決める。

高橋:キーーー! よくもまあそんな口をきけたものね。


ナレーション:西野はがんばりました。苦しくても、逃げることを考えませんでした。ゴールは近い!二十位以内にはなんとかギリギリ入りそう! あと少し、という、そのとき、


高橋:あっ!


ナレーション:目の前で高橋朱里がつまづいて倒れたのです。


西野:だ、大丈夫?

高橋:痛ったい、

西野:立てる?

高橋:なにやってんのよ、さっさといきなさいよ、

西野:肩につかまって。

高橋:え?

西野:一緒に、行こう。

高橋:バカじゃないの? 私は、あんたにいじわるばっかり言ったんだよ。

西野:さあ、歩いてもいいから、一緒にゴールしよう。

高橋:ほっといてよ!

西野:ほっとけない。目の前で倒れたひとをほっとけない。

高橋:あんた・・・。

西野:さあ、行こう。


西野:高橋さんと、一緒に歩きながら、ゴールに向かった。


ナレーション:そうしている間に、西野は、どんどん抜かれていきました。


川本:みきちゃん!

西野:さやや、二十位以内、無理だった。

川本:ううん、立派だったよ。

込山:おバカさん、見事だったよ、感動したぜ。

西野:込山くん。

高橋:あんたはほんとに、バカだよ・・・。

西野:泣いてるの?

高橋:泣いてなんかいないよ。

西野:ゴール、できたね。

高橋:ありがとう、ほんとに、ありがとう、ごめんね。

コーチ:西野、

西野:コーチ、すみませんでした。

コーチ:あやまらなければならないようなことを、おまえはしたのか?

西野:・・・いいえ。

コーチ:じゃああやまるな。・・・よくやった。

西野:コーチ。


西野:グラウンドに落ちる夕陽が世界をオレンジ色に変えた。さややも、込山くんも、高橋さんも、みんな笑顔だった。明日はきっと、晴れになる! 明日はきっと、今よりもっと、強くなる!

収録後のワンショット

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