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2016年63日放送 午後1000分~NHK-FM

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『翼はいらない~南京玉すだれ編』

原案:小嶋真子、小笠原茉由、平田梨奈、大森美優

脚本:北阪昌人

★参考:ごま団子、さっくん

出演

小嶋真子、小笠原茉由、平田梨奈、大森美優、山寺宏一

あらすじ

自分の一生を賭けたいものに出会い、その思いを両親に伝える小笠原茉由。彼女の見つけた夢は「南京玉すだれで世界一になる」こと。謎の老人の演技に感動した茉由は、老人のもとを訪ね、弟子入りを懇願する。老人の言葉に茉由は…。

人物相関図

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物語が読める ♪


茉由:私、小笠原茉由は、今夜、自分の重大決心を両親に伝えようと思っていた。高校生活をこのまま続けることは、できない。だって、だって、自分の一生を賭けたいものに、出会ってしまったのだから。


茉由:お父さん!

父:茉由、いきなり話というのは、なんだ?

茉由:お母さん!

母:茉由、なんなの? いきなり真剣な顔して、あなたには似合わないわよ。

茉由:お兄ちゃん!

兄:なんだよ、茉由、あ、わかった。あれだろ? 学校の汗かき選手権で、一位とった?

茉由:違います! 私、自分の夢、やっとわかったの!

父:わかったぞ、茉由。父さんにはわかるぞ。あれだな、虫が嫌いなんで、虫よけスプレーの開発をしたいんだな?

茉由:違います!

母:母さんは、わかりましたよ、茉由は、ほら、リボンが好きだから、リボンの騎士になりたいんでしょ?

茉由:違います!

兄:あああ、あああ、わかった。物まねが得意だから、それで芸人になる?

茉由:「私、渡辺麻友は芸人になり~まゆゆ」って違いますから! もう、みんな全然わかってない!

父・母・兄:じゃ、なんなんだ? 茉由の夢は?

茉由:私、南京玉すだれで世界一になる!!

父・母・兄:ええええ??

茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ♪


茉由:私、小笠原茉由は、翌朝、担任の先生に告げた。自分の夢を!


担任:南京玉すだれ??

茉由:はい。

担任:小笠原、

茉由:はい。

担任:本気か?

茉由:はい!

担任:やめておけ。

茉由:どうしてですか?

担任:おまえが進もうとする道は、険しく、困難だからだ。

茉由:険しく、困難だから、いくのです!

担任:なぜ、南京玉すだれなんだ?

茉由:大阪、なんばで、私、目撃したんです。街角で、南京玉すだれを披露しているおじいさんを!


(回想)
老人:あ、さて、さて、あ、さてさて、さてさてさてさてさては南京玉すだれ♪

茉由:白いヒゲに、白髪頭。お世辞にも、うまいとは言えない。動きも遅いし、足もぶるぶるふるえている。でも、感動したんです。

老人:はい、通天閣ぅ!!

茉由:ほんとうに、通天閣に見えたんです。私、すごいと思いました。ひとって、こんなふうに感動を与えることができるんだって。

老人:はい、道頓堀!!

茉由:私は、おじいさんに話しかけました。ねえおじいさん、弟子にしてもらえませんか?って。そうしたら、おじいさんは、こう言ったんです。

老人:いいかい、お嬢ちゃん。どんな道も、地道にコツコツと歩いてこそ、目的地にたどり着けるもんなんじゃあ。夢をつかむのに、翼は、いらない。

茉由:翼はいらない。その言葉が胸に刺さりました。

老人:修業は、つらいぞぉ。近道はないからなあ。

茉由:せめて、名前を教えてください。

老人:わしか? わしはなあ、玉すだれ、というもんじゃ。

茉由:玉、すだれ?


茉由:先生! 私、南京玉すだれへの道を一歩ずつ歩いてみたいんです!

担任:う~ん。仮に担任の私がOKと言っても、お父さんやお母さんを説得できなくちゃ、ダメだろうなあ。

茉由:やっぱり・・・そうですよね。


茉由:私は、家に帰って、もう一度、言ってみた。


茉由:私、南京玉すだれで世界一になる!

父:父さんは許さん!

母:母さんも、許しませんよ!

兄:兄貴であるボクも反対だな。


茉由:仕方なく、私は、ひとり、近くの公園で、段ボールで作った南京玉すだれを使って、練習をした。


茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ♪ はい、ふじさーん!


茉由:雨の日も、


茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ♪


茉由:強い風の日も!


茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ♪ ああああ、風に流される!


ナレーション:そんな様子を木の陰からそっと見守るひとがいました。それは、茉由のお父さんでした。


父:茉由よ、おまえは、本気なんだな・・・。


ナレーション:さて、とびきり強い風と激しい雨が吹き荒れた、ある夜のことでした。


茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ~。ああ、ああ、もうダメだ。


ナレーション:茉由は、風邪をひいて、熱をだしていましたが、それでも練習を休まなかったのです・・・。


茉由:ああ、私、もう・・・ダメ。


ナレーション:倒れこんだ茉由に、近づいたのは・・・。


父:茉由、茉由、

茉由:え?

父:起きなさい。

茉由:お、お父さん?

父:わかったよ。

茉由:え?

父:おまえが本気だということが。

茉由:ほんと?

父:さあ、家に帰ろう。

茉由:いや、まだ練習する! あ、でも・・・段ボールの南京玉すだれは、ぐちゃぐちゃになっちゃった・・・。


ナレーション:とそのとき、父が肩にかついでいたバッグから取り出したのは、


茉由:な、南京玉すだれ、本物の、南京玉すだれ! どうして?

父:血は争えぬものだなあ。

茉由:え?

父:実はなあ、茉由、父さんは昔、南京玉すだれの日本チャンピオンだったんだ。

茉由:え? ほんと?

父:父さんのお父さん、つまり茉由のおじいさんが、南京玉すだれを教えてくれたんだ。おやじの芸名は、玉すだれ。

茉由:玉、すだれ。

父:おまえがやるなら、私は、おまえに自分の技を全て教える。

茉由:ほんと?

父:ああ、ただし、この道に近道はない。

茉由:大丈夫、私、翼はいらないから!

父:今、なんと言った?

茉由:翼はいらない。

父:それは、父さんがおやじからさんざん聞かされた言葉・・・。

茉由:お父さん、お願い、教えてください。

私ね、自分を試したい!どこまでやれるか、試したい!!

父:茉由!


ナレーション:吹きすさぶ風雨の中、ひしと抱き合う親子がいました。そうして、二年が過ぎたある日・・・。大阪、なんばの路上で・・・。


茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ♪ 通天閣! 道頓堀!


ナレーション:拍手喝采を浴びる、小笠原茉由の姿がありました。


老人:まさか・・・孫の姿がおがめるとは・・・。

茉由よ、がんばれ。がんばって、世界一になるんじゃぞ。

茉由:あ、さてさて、さてさてさてさて、さては南京玉すだれ♪


茉由:私はいらない、翼はいらない。

収録後のワンショット

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