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2016年48日放送 午後1000分~NHK-FM

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『明日へのパンチ!』

原案:峯岸みなみ、入山杏奈、木﨑ゆりあ、加藤玲奈

脚本:北阪昌人

★参考:岡山の星、りおりん

出演

峯岸みなみ、入山杏奈、木﨑ゆりあ、加藤玲奈、山寺宏一

あらすじ

AKB高校に入学した峯岸みなみ。今までの弱い自分を変えたい!そう思った峯岸は、強くなるためボクシングを始めることに。その頃、中学時代にいつも峯岸をバカにしていた木﨑ゆりあは、ボクシングの世界チャンピオンになっていて・・・。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、秋葉原にある、AKB高校。
授業が終わると同時に、ひとりの生徒が教室から飛び出していった。

峯岸:私の名前は、峯岸みなみ。
この春から高校生になった。
私には、高校に入って、決めたことがある。
私は・・・変わる!今までの自分を、全部変える!!

峯岸:学校を出て、私が向かった先は・・・。
入山ボクシングジム。
川の近くの、今にも崩れそうな古びた木造のジムだ。


峯岸:本日も、よろしくお願いします!!


峯岸:ここで私は、体をしぼる。鍛える。そして、パンチを打つ。
弱い自分をやっつけるために。
明日へのパンチを、打つ!


峯岸:おりゃあああ!!

峯岸:(はぁはぁはぁ)

入山:はい、峯岸、あと縄跳び、3セット!

峯岸:ええ?

入山:ええ?じゃないよ!自分を変えたいんでしょ。
こんな練習でへこたれて、どーすんのよ!

峯岸:はい、わかりました。入山会長。


峯岸:入山会長は、元全日本女子ボクシングチャンピオン。


入山:あんたが、このジムに飛び込んできたときのこと、
思い出すよ。


峯岸:ここで私を鍛えてください!私、強くなりたいんです!
よろしくお願いします!


入山:いい目をしてたぁ。最近の若いやつにはない、いい目をしてたぁ。
私はねえ、あんときの峯岸の目を、信じてるよ。


峯岸:中学のとき、私をいつもバカにしていた女子がいた。
木崎ゆりあ。


木崎:ははははは、峯岸ってほんとどんくさいよな。
勉強だめ、運動だめ、なにやってもだめ。
ははははは、ああ、かわいそうに!


峯岸:悔しかったけど、言い返せない自分がいた。


入山:おい、峯岸、

峯岸:はい。

入山:また来てるぞ、彼氏。

峯岸:え?いや、彼氏じゃありません。

加藤:よう!

峯岸:ようじゃないわよ、なんで毎日来てるのよ。

加藤:いや、応援っていうかさ。


峯岸:中学のとき、同じクラスだった、加藤くん。
いつも私をかばってくれた。


加藤:峯岸はさ、やればできる子なんだ。
ボクにはわかる。大丈夫。いつか、おまえはすげえやつに生まれ変わる。


峯岸:でも、結局、どんくさいまま、中学時代が終わった。


加藤:なわとび、うまくなったな。

峯岸:そんなことほめられても。

加藤:ステップも軽くなってきた。

峯岸:よく知らないくせに。

加藤:いや、こう見えて、ボクはボクシング、好きなんだぜ。

峯岸:いいから、どっかいってよ。練習の邪魔だから。

加藤:ボクはね、がんばってる峯岸を見るのが好きなんだ。

峯岸:私のことはいいから、自分も頑張りなさいよ!

加藤:ははは、ボクはこう見えて、がんばってるぜ。


峯岸:そう、確かに、加藤くんは、すごかった。
小さい頃からやっているバイオリン。
コンクールでいくつも賞をとっていた。


入山:おい、峯岸、テレビを見てみなよ。

峯岸:え?

司会者:ええ、シリーズ『君のメロディー』、
今日のお客様は、女子ボクシングの期待の星、ピストン木崎さんです。

木崎:どうも、こんにちは。木崎です。

司会者:どうも、先日、単身タイに乗り込んで、世界チャンピオンに
挑んで、見事、KO勝ち!すごいですね。

木崎:いえ、ただ、自分を信じて練習してきただけのことです。


峯岸:テレビに、木崎ゆりあが映っていた。
いちだんとたくましくなった、木崎。


木崎:私は、自分に負けるのが嫌なんです。
何も努力しないで、不満ばっかり言ってるひとが
嫌いなんです。
ボクシングは、自分との闘いだと思っています。
私の座右の銘は、『何も始めなければ、何も始まらない!』


峯岸:ドキッとした。まるで自分に言われているように感じた。


峯岸:会長!

入山:どうした?

峯岸:もう3セット、いえ、あと10セット、やります!

入山:そうだよ、そうこなくっちゃ。

加藤:峯岸、がんばれよ。


ナレーション: 峯岸みなみ、木崎ゆりあ、まさかこの二人が、
リングの上で戦うことになるとは、そのとき、
誰も思わなかった。

ナレーション:まだ朝早い川沿いの道。
上下黒いジャージに身を包んだ、女性ボクサーが、
走ってきた。


峯岸:はっはっはっ!


ナレーション: 峯岸みなみ。この一年間のトレーニングですっかり
たくましく、ボクサーの顔つきになっていた。


入山:右!左!左!右!フックフック!ボディ、ボディ、アッパー!


ナレーション: 自転車で併走しているのは、ボクシングジムの会長、
入山杏奈!


入山:ステップ、ステップ!もっと軽やかに!そうだ。
峯岸、おまえには天性の素質がある。


ナレーション: そんな峯岸の様子を見ているのは、


加藤:峯岸、キミはどんどん遠いひとになっていくようだね。
でも、ボクはいつだってキミの味方だ。
忘れないでくれよな。


ナレーション: 峯岸を慕う同級生の加藤くん。


峯岸:負けて、たまるか!それ!
シュ!シュ!シュ!!


ナレーション: 峯岸みなみは、すごかった。
女子ボクシング界の新星として、注目を浴びていたのだ。
ここ最近は、7戦7勝、全てKO勝ち。
得意技は、体の柔らかさを使った、アッパーカット。

ナレーション: さて、そんな峯岸たちが、ジムに戻ると、そこに
ひとりの女性が立っていた。


木崎:お久しぶり、峯岸。

峯岸:き、木崎ゆりあ・・・。

入山:ピストン木崎・・・。


ナレーション: 木崎ゆりあは、かつて中学時代、峯岸の天敵だった。
いつもひどい言葉をあびせられ、言い返せない。
いつか、木崎を見返してやりたい、そんな思いが、峯岸の中にあったのである。


木崎:ずいぶん、がんばってるじゃない。

峯岸:世界チャンピオンにそんなこと言われるのは、うれしいけど。

木崎:あれあれ、まだ私の顔、しっかり見られないの?

峯岸:そんなこと・・・。

木崎:次の防衛戦、あんたとやってみたいんだけど、どう?

峯岸:え?

木崎:あっさり私が勝っちゃうけど、

峯岸:そ、そんな・・・。

木崎:どう?やってみる?

峯岸:それは・・・。

入山:どうも、このジムの会長の入山です。
木崎さん、あなたほど有名な世界チャンピオンからの
申し出。確かにうれしいんですが、ウチの峯岸は、まだ、

加藤:やるべきだよ!峯岸!

峯岸:加藤くん!

加藤:峯岸、キミがボクシングを始めたのは、このひと、木崎を
倒すためじゃなかったのかい?

峯岸:そ、それは・・・。

加藤:今、やらないでどうするんだ。

峯岸:・・・私は、

加藤:ボクはね、バイオリンを本格的にやるために、来月、
ドイツに留学するんだ。怖いよ、やれるかどうか、わからない。
でも、ボクはいく。後悔したくないからね。
人間にはさ、ぜったい逃げちゃいけないときがあるんじゃないかな?

峯岸:加藤くん・・・。

入山:そうだな、うん、そうだ!峯岸、やるべきだ。
正面から、とことん、戦ってみるべきだ!

木崎:どうするの?峯岸ちゃん。

峯岸:・・・やるわ。戦う。戦って、私は・・・勝つ!!

入山:よく言った!峯岸!

加藤:えらいぞ、峯岸!

木崎:はははははっは、こっちは楽勝な獲物を見つけたまでの
こと。じゃあね。リングで会いましょう。


ナレーション: そして、さらにハードな練習が峯岸を待っていた。
加えて、厳しい減量!


峯岸:み、み、水・・・。ああ、ああ、焼肉が、食べたい。


ナレーション: 学校へも、ランニングで通った。


峯岸:はっはっはっ!

入山:右、右、左、ワンツーワンツー、そこで
アッパー、ジャブジャブ、フックフック、アッパー!

加藤:がんばれ、峯岸!


ナレーション: 峯岸は、頑張った。歯をくいしばって・・・。


峯岸:負けたくない、負けたくない、私は負けたく、ない!!


ナレーション: そしてついに、運命の日がやってきた。


実況:全国の女子ボクシングファンのみなさま、こんにちは。
いよいよやってきました。注目の一戦。
向かうところ敵なしの女王、ピストン木崎の前に現れたのは、
ボクシング歴、わずか一年の新星、峯岸みなみ。
しかし、その実力は、素晴らしく、めきめき頭角を現しています。
ええ、実況中継はわたくし、コブシ・ツヨシです。


峯岸:緊張で、足が震えた。逃げ出したい。いやだ、戦うのは怖い。
だって、負けるに決まってる。無理、私が勝てるわけない・・・。


実況:おっと、リングの上の峯岸、なんだか不安そうな表情に見えますが、

加藤:峯岸!おい、峯岸!

峯岸:加藤くん、


峯岸:客席から加藤くんが声をかけてくれた。


加藤:キミは、何のためにキツイ練習と苦しい減量をしてきたんだ?

峯岸:え?それは、

加藤:自分に勝つためじゃなかったのか?

峯岸:自分に、勝つ・・・。

加藤:私が戦う相手は、弱い自分なの。
いつかボクに、そう話してくれたじゃないか!


峯岸:そうだった・・・。他の誰でもない。
私の相手は、私だ。


峯岸:ありがとう、加藤くん。

入山:よし、峯岸、思いきりやってこい!
悔いのないようにな。

峯岸:はい!

実況:運命のゴングがなりました。
さて、勝つのは、世界チャンピオン、ピストン木崎か、
それとも、挑戦者、峯岸みなみか?!

木崎:最初から、手加減なしよ!おりゃああああ!


峯岸:木崎は、すごかった!パンチが、強い!
容赦ない!でも、それがなんだかうれしかった。
そうだ、私も思い切り、ぶつける。

弱かった自分、バイバイ!!


峯岸:おりゃああああああああ!!

木崎:いくぞぉぉぉぉぉ!!

実況:おーっと!第1ラウンドからすごい打ち合いです!
お互い、ひきません。
一歩も逃げません。

加藤:すごいよ、峯岸!めっちゃ、すごいよ、
それでこそ、ボクの大好きな峯岸みなみだ。

入山:ステップ、ステップ、足を使え!
いいぞ、狙っていけ!


峯岸:私は、特にアッパーを打つチャンスをうかがっていた。
相手は百戦錬磨、長期戦になれば勝目は薄い。
たった一回のチャンス。
それしか、私の勝ち目は・・・ない。


木崎:よく鍛えたね、これだけ打っても、あんたの腹筋は悲鳴を
あげないのね。

峯岸:木崎、あなたはやっぱり、すごいよ。
迫力が、オーラが、ハンパない。

木崎:私はね、ずっと歯がゆかったの。やればできるのに、
峯岸、あなたはいつも、やらなかった。

峯岸:でも、教えてもらった。あなたに。
自分で始めなければ、私は、どこにもいけないってこと。

木崎:でもね、峯岸、

峯岸:なに?

木崎:この試合、負けるわけには、いかないの。

木崎:おりゃあああああ!くらえ!!


峯岸:一瞬、木崎のガードが空いた。いまだ!


峯岸:おりゃああああああ!

実況:おおっと、出たか、峯岸の伝家の宝刀!
アッパーーーーーーカット!!

木崎:させるか!

峯岸:えええ?

実況:かわした、さすがピストン木崎!

木崎:ジ・エンド!

峯岸:うっ!

実況:ああああああ、木崎のストレートがもろに入った!
ダウン!ダウンです!これはかなりなダメージだ。
もう立てないのか?峯岸みなみ!

入山:峯岸、立て!立つんだ!

加藤:峯岸!!これで終わりか?まだだ、まだ早い!


峯岸:朦朧(もうろう)とした頭の中で、声が聴こえた。
負けるな、負けるな、立て、立つんだ。


実況:おおっと、立った、生まれたての小鹿のように、
峯岸が立ちました。

木崎:ほめてやるよ、私のストレートをまともに受けて、
立ったやつは、今まで誰もいない・・・。


峯岸:そこからの戦いは、あまりよく覚えていない。
ただ、私は、がむしゃらだった。
人生でこんなにがんばったことはない。


実況:全てのラウンドが終了しました。
顔面を腫らした峯岸、最後まで立ち続けました。
おおっと、会場からも、ものすごい拍手です。
これは、くじけなかった峯岸への尊敬の拍手でしょう!

木崎:峯岸・・・。

峯岸:木崎・・・。

実況:おおっと、ピストン木崎と峯岸が、抱き合った。
感動です。なんだか私、コブシ・ツヨシも感動です。
素敵な試合、すばらしい試合を、ありがとう!


峯岸:判定で、負けてしまったけど・・・私の心は、晴れ晴れしていた。


加藤:よく頑張ったな、

峯岸:加藤くん、ありがとう!

入山:すばらしかったよ、

峯岸:入山会長!


峯岸:私の戦いは、まだまだ続く。
私は、これからも、鍛えていく。
明日へのパンチ!!


峯岸:おりゃああああああ!!

収録後のワンショット

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