美術の世界②

  • 天満の裏路地にあった小さな、小さな寄席からスタートした北村笑店は、芸人は200人以上に、傘下の寄席も15軒に増やし、本拠地を大阪一の繁華街・千日前にある南地風鳥亭に移しました。ここは、二階席まである大阪でも一、二を争う寄席という設定です。新築ではなく、すでにそこにあった寄席を買い取り、リフォームしたものです。美術としては、そのスケールの大きさや北村笑店の躍進、さらには時代の移り変わりを南地風鳥亭のセットで表現していきたいと考えました。

  • ロビー

    ロビーには、北村笑店の従業員、芸人、お客さんが集う交差点としての役割を持たせています。そのためにまず、のれん、ちょうちん、藤の花の飾り、花の植え込みなど、外観の要素をすべてロビーに盛り込みました。南地風鳥亭は千日前の大通りに面し、建物自体も大きいので、それをスタジオのセットで作ることはできないし、毎回ロケに行くこともできません。そこで、寄席の中にもう一つ寄席の外観を作ろうと考えました。それが、このロビーです。

  • ロビーの美術・デザインでは、寄席としての格の高さも表現しています。手の込んだ欄間の飾りや丸格子窓、また松の盆栽や大きな生け花を置くなど、大阪を代表する寄席としての風格が漂うデザインとなっています。

  • 売店

    今後、ドラマが展開していく中で、ぜひ売店で売っている商品の変化に注目してほしいですね。今、並んでいるのはラムネ、みかん、まんじゅうなど一般的なものですが、商魂たくましいてんちゃん(葵わかな)が、いろいろなアイデアをだしていくというイメージです。売店に並んでいる商品を見ると、北村笑店の発展と時代の流れが見える。そんな売店にしていこうと考えています。

  • 事務所は、北村笑店の中枢機能が集まったスペースです。写真右奥の机が藤吉さん(松坂桃李)のデスクで、さらにその奥の壁際の席にてんちゃんが座っています。写真左の壁の上には、傘下の寄席の写真が飾られ、中央奥には芸人の名前が書かれた木札がかけられています。北村笑店がさらに大きくなれば、寄席の写真も芸人の木札もどんどん増えていきます。ちなみに、下の左上の写真は、芸人の名前が書かれた紙の札で、藤吉さんが番組表を作るときに使うもので、その横の写真は芸人のハンコです。給料袋に押したりするのでしょうね。

  • 大阪のいたるところにある風鳥亭の寄席マップです。

  • 藤吉さんが作った番組表。これを見れば、どの芸人が今どこの寄席に出ているかが分かります。

  • 上には15軒の風鳥亭の寄席が並び、その下には芸人の名前やコンビ名が書かれた木札がかけられ、さらにその下には、風鳥亭の各寄席の「売上帳」と「会計報告書」が並んでいます。取締役経理として15軒の経理を担当するてんちゃんは、本当に忙しいと思いますよ(笑)。

  • 天満の風鳥亭では、事務所の一角が応接スペースになっていましたが、南地風鳥亭では立派な応接室があります。しかし、置かれているテーブルやイスは天満の風鳥亭にあったものです。「始末」をモットーとするてんちゃんは、むやみに新しく買い替えたりしないのです。

  • 南地風鳥亭では、ロビーからも、事務所からも、応接室からも中庭が見えるレイアウトになっています。屋外が見えることで、ロビーや事務所にいても季節の移り変わりや時間の変化が感じられるようにしました。南地風鳥亭は大きな建物ですが、外の空気が感じられないとどうしても息苦しくなってしまいます。映像にはチラリとしか映らないかもしれませんが、外の空気感が感じられる中庭の役割は大きいと考えています。