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「産後ケア」 知って、使って、前向きに

  • 2024年02月07日

「初めての育児で何が正解かわからない。不安だらけだけど気軽に聞ける人がいない」。
「眠れないから頭が回らないけど、弱音は吐けないし休むなんてできない」。
こんなことばかり考え、余裕のなかった産後数ヶ月。

「産後ケア」が利用できていたら、前向きでいられる時間が増えていたかもしれません。

  (宇都宮放送局記者 高柳珠希)

 

常に不安 しんどいのが当たり前?

宇都宮市の大塚瑞穂さんです。8月に双子の男子を出産しました。
初めての育児で、分からないことばかり。日々、不安を募らせていたといいます。

大塚瑞穂さん
泣いていても、何で泣いているのかが分からない。特に、最初の頃は分からなくて、
ちゃんとできているのかと、毎日、不安だらけでした

 

大塚さんのような不安を抱えるママは多いのではないでしょうか。
核家族化が進む現代。
近くに頼れる人、相談できる人がいない母親も多く、孤立しがちな人が増えています。

さらに、新生児の育児は待ったなし。
妊娠・出産でダメージを受けた体を休める時間はなく、
まともに眠ることさえできません。

不安だらけだし、休めない。その結果・・
産後の母親の、10人に1人は「産後うつ」の疑いがあると言われています。
昨年度、宇都宮市で行われた、産後2週間の母親への調査では
12%の人に「産後うつ」の疑いが確認されています。

ママを救う「産後ケア」 でも使われていない

こうした母親をサポートするためにあるのが『産後ケア』です。
行政と医療機関などが連携して実施している事業で、
『退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポートを行い、
 産後も安心して子育てできる支援体制を確保する』取り組みです。

▽助産師が自宅に来て指導してくれる「訪問型」。
▽病院や助産院などの実施機関に日帰りで通って指導を受ける「通所型」。
▽実施機関に宿泊して、指導だけでなく、睡眠などの休息も得られる「宿泊型」。

さまざまなタイプがありますが、
事業の知名度のなさや利用料金がハードルとなって、あまり利用されていません。

令和3年度時点の『産後ケア』の利用率は、全国で6%。
宇都宮市では3%にも届かず、利用率の向上が課題となっていました。

今こそ、産後ケアを

先ほどの大塚さん。宇都宮市の紹介で『産後ケア』の利用を始めました。
この日は、自宅を訪問してくれた助産師から、育児のアドバイスを受けました。
 

 

大塚瑞穂さん
抱っこの仕方など、病院でも教えてもらいましたが、実際やっていくうちに、
疑問点がいくつも出てきます。
そうした疑問を、そのつど聞けるので、とても助かります。
『産後ケア』がなかったら、本当にどうしたらいいか分からなかったと思います。

大塚さん宅を訪問した助産師の黒尾絢子さんも『産後ケア』の重要性を実感しています。
 

助産師 黒尾絢子さん
母乳やミルクをうまく飲んでくれないことがストレスで落ち込んでしまう人も少なくないです。
赤ちゃんを連れて自分で車を運転し、母乳外来に、週に何回も通う人もいます。
『産後ケア』の訪問型は、自宅で疑問を解消できます。ぜひ利用してほしい

利用しやすい環境を

自治体でも、制度拡充の動きが目立つようになっています。

▽栃木県は、国の助成を差し引いたあとの自己負担分の半額を、さらに助成します。
▽小山市、栃木市、下野市は、
 国と県の助成を差し引いた自己負担分の全額を助成します。
 自己負担をゼロにして『産後ケア』を無償化した形です。
▽矢板市は、助成額を拡充した上で、制限のある利用回数を増やしました。
▽宇都宮市は、利用回数を増やした上で、
 双子や3つ子などの多胎児を支援する制度を充実させています。

『産後ケア』の利用には、どのくらいの自己負担があるのか。
例として、宇都宮市の利用料金についてご紹介します。

宿泊は安いところで2250円。
通所は無料で使える場所もあります。
訪問は基本すべて無料で使えます。

利用で必要な費用は、自治体ごと、実施機関ごとに差はありますが、
『産後ケア』は確実に利用しやすくなっています。
制度拡充の結果、宇都宮市での利用率は倍増し、7%まで向上しています。
 

宇都宮市子ども支援課 冨山久美子課長
現代は、子育てのノウハウを得る機会が少なく、不安を抱える方が増えています。
不安が大きくなると、産後うつなどの症状も出てきます。
『産後ケア』は産後うつの方はもちろんですけど、そういった方だけではなく、
よくわからない、ゆっくり休養をとりたいという方にも利用できるように提供しています。
ぜひ、どんな些細な悩みでも相談してもらえたらと思います


子育ては、大変なのが当たり前。
だからこそ、ひとりで抱え込まずに、誰かに頼ることを考えてみませんか。

より使いやすくなっている今こそ、『産後ケア』。
お住まいの自治体に問い合わせてみてください。

  • 高柳 珠希

    宇都宮局 記者

    高柳 珠希

    水戸局から4年前に宇都宮局。
    1歳の男の子の育児中です。

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