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濱田窯の歴史伝える長屋門(益子町)

あっちこっちとちぎ
  • 2023年04月28日

NHK宇都宮放送局では、平日午後6時30分からのニュース番組「とちぎ630」で、栃木県内のあっちこっちを回って、その地域の魅力をお伝えする「あっちこっちとちぎ」というコーナーを放送しています。
県内25の市と町をすべて訪ねる今年度の3回目は益子町
国の登録有形文化財に登録されることになった濱田窯長屋門を訪れました。

(宇都宮放送局キャスター 羽生みな美) 

生まれ変わった茅葺きの長屋門

益子町にある濱田窯は、昭和初期から続く窯元です。
その入り口にある長屋門は、歴史を感じる作りですが茅葺きの屋根はきれいな黄金色。クラウドファンディングで集まった資金で修復工事が行われて美しく整備され、国の登録有形文化財に登録されることになりました。

この長屋門を建てたのは、益子焼を世界に広めたと言われている濱田窯初代の濱田庄司です。
1934年に、濱田庄司が長年交流を深めていたイギリスを代表する陶芸家バーナード・リーチを益子町に迎えることになり、居室兼工房として近くの農村から古民家が移築されました。

イギリス人陶芸家のための工房

工房として使われていた部屋を、濱田窯3代目代表の濱田友緒さんに案内していただきました。

ろくろの跡が2つ並んでいますが、右の大きい方がバーナード・リーチのために用意されたもので、濱田庄司は左側に座っていました。2人はお互いに顔が見える向きで作業していました。
はじめ、バーナード・リーチは慣れない日本の工房の使い勝手がわからず戸惑うこともあったそうですが、わざわざ自分のために工房を用意してくれたという濱田庄司の行動に、非常に感謝していたということです。

受け継がれる設備と技術

濱田窯では、現在使われている工房でも、濱田庄司とバーナード・リーチの時代と同じ仕組みの「蹴りろくろ」が用いられています。

電気を使わず足で蹴って動かすので、力加減によって細かい表現がしやすいということです。
そして成型した粘土に釉薬を塗り、素焼きのあと、本焼きをして作品が仕上がります。

こちらは濱田窯で作られたマグカップですが、伝統的な日本の陶器には、こうした取っ手付きのものはありませんでした。 
濱田庄司とバーナード・リーチの交流によって持ち込まれたイギリスの文化が、今に受け継がれています。

歴史を伝え愛される場所へ

長屋門は今後イベントなどで一般公開される機会が増えるということです。

濱田窯3代目代表 濱田友緒さん
在りし日の濱田庄司とバーナード・リーチの面影がわかるような雰囲気を、皆さんにお見せしたいですし、文化活動などで気軽に活用できる場所にしていきたいです。

5月1日(月)と2日(火)には濱田窯の隣にある濱田庄司記念益子参考館で、職人の作業を見学できるイベントが開かれるということです。(午前9時30分~午後4時30分まで)

  • 羽生みな美

    宇都宮放送局 キャスター

    羽生みな美

    兵庫県西宮市出身。
    趣味は料理。

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