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本物に負けない美しさ! 蚕のまゆで咲かせる花々

  • 2023年03月14日

蚕のまゆを使って、四季折々の花などを精巧に表現する「まゆクラフト」を知っていますか?
栃木県の愛好家グループが、3月に那珂川町の美術館で開いた作品展を取材しました。

(宇都宮放送局キャスター 川島加奈代)

本物そっくりの「まゆクラフト」

作品展の会場となった「那珂川町馬頭広重美術館」のギャラリーに足を踏み入れると、色とりどりの花が競うように咲き誇っていました。

細部まで精巧に作られたおよそ100点の作品は、花の品評会と錯覚するほどの出来栄えです。

たんぽぽ カタクリ ふきのとう
ヒガンバナ

これらの作品はすべて、蚕のまゆを薄く小さく切って、つなぎ合わせることで作られています。

会場を訪れていた人たちも感心しながら作品を見ていました。
中には「本物みたい、これ全部まゆで作ったんですか?」と尋ねる人もいました。

グループの代表は、この道40年のベテラン

この展示会を開いたのは、愛好家グループの「なごや会」。
栃木県に住む60代から80代の6人がメンバーで、これまでおよそ5年ごとに作品展を開いてきました。

代表の屋代和代さんは、「まゆクラフト」歴40年のベテランです。
かつてこの地域で養蚕農家を営んでいたことから、柔らかくふんわりした蚕のまゆに愛おしさを感じ、作品の制作を始めたそうです。

「なごや会」代表 屋代和代さん
私たちの制作のモットーは「本物よりも美しく」
美しくきれいに作るため、本物よりも少しアレンジしている部分もあります。
作品を見て、わくわくしてもらえたらと思って制作しています。

こちらのすいれんは、屋代さんが30年前に作ったものなんだそうです。

屋代和代さん
まゆで作っているので長持ちしますね。
「まゆクラフト」は枯れないのもいいところです(笑)

平面に吐いたまゆ!?

作品のは多くは、蚕の「まゆ玉」から作られていますが、花びらが大きいすいれんや、カサブランカなどの作品は、別の材料を使って制作されています。

それが、「平面繭(へいめんけん)」と呼ばれるこちらの素材です。

和紙のようにも見えますが、実は蚕が平面に吐いたまゆなんです。

すいれんなどの作品は、この「平面のまゆ」と「まゆ玉」を、パーツごとに使い分けながら制作していくそうです。

驚くほどの精巧さ

それでは、屋代さんたち「なごや会」の力作を紹介していきます。

涼しげなあじさいを表現しているのは、「初夏の便り」と名付けられた作品です。

「まゆ玉」を薄く小さく切って花びらのように見える「がく」を作り、それらをなんと2000枚重ね合わせることで制作されています。
完成までにおよそ3カ月かかったということです。
 

こちらは鈴なりに実ったミニトマト
真っ赤な実と、まだ青い実の色合いまで、工夫して作られています。

反り返った「へた」もまゆで精巧に表現

トマトの実の部分は、「まゆ玉」の形をそのまま生かして作られていて、会場には「取って食べたくなる」と話していた人もいました。

そのほか、どの作品も丁寧に作られていて、本物と見まごうばかりの仕上がりです。

満開の桜
1枚1枚の花びらを丁寧に再現
秋の花々 えとの置物
甘い香りが漂ってきそうな藤の花

次の開催にも期待!

今回の取材のきっかけは、代表の屋代さんからいただいたお手紙でした。

栃木県内で暮らしていても、まだまだ知らないことはたくさんあるので、こうしたお手紙はとてもありがたく読ませていただいています。

お手紙の中には、「グループ員の年齢がほぼ80歳を超えていますので、次回は無いと思われます」とありましたが、会場でお会いしたみなさんは、若々しくて、はつらつとしていらっしゃいました。

細かい手作業、身の回りのものをよく観察すること、そして何より楽しんで打ち込める趣味があるということが、若さを保つ秘けつだと実感させられました。

みなさん、次回の開催も楽しみにしています。

「なごや会」のみなさん ありがとうございました!
  • 川島加奈代

    宇都宮放送局 キャスター

    川島加奈代

    北海道出身
    趣味は短歌(日記感覚で楽しく詠んでいます)

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