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新型コロナ「5類」移行 栃木からは期待や懸念の声

  • 2023年02月03日

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、5月8日に「5類」に変わることに伴い、私たちの生活も大きく変わることになります。栃木県民からは「日常が取り戻せる」という期待の声が聞かれた一方で、医療機関からは懸念する声も上がっています。                     

(宇都宮放送局記者 平間一彰)


「5類」移行で何が変わる?

新型コロナの位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」になることしの5月8日以降、何が変わるのかをまとめました。

▼感染者や濃厚接触者の外出自粛要請などの「行動制限」がなくなる。
▼これまで推奨されていた「屋内でのマスク着用」は、個人の判断に委ねる方向で検討。
▼大声を伴うイベントに参加する人数の上限撤廃。
▼コロナ患者の入院や診察は、幅広い医療機関で対応する体制に段階的に移行する方針。


県民からは“期待”や“不安”の声

3年間、続いてきた新型コロナの対策が大きく変わることになります。
宇都宮市内で街の人の反応を聞きました。
 

10代 
高校生

私は運動部で、大会などでは大きい声で応援できなくて、見ているだけでもの足りなかったので、いいと思います。

50代
会社員

私はご迷惑をかけない範囲で、積極的にマスクを取り外すようにしています。
今の状態だと、目でしか表情がうかがえません。
顔全体でコミュニケーションを取ることが大事だと思っています。

20代
大学生

大型イベントなどに参加するときに、コロナを持った人が普通に入ってきてしまう。
そこでもらったら怖いよなあ、みたいな心配はあります。


医療機関からは“懸念”

一方、医療機関からは、懸念する声も出ています。

栃木市の「とちぎメディカルセンターしもつが」は、感染が拡大し始めた当初から、新型コロナの患者を受け入れてきました。

この病院では、新型コロナに感染して死亡してしまう患者も相次いでいて、取材した1月31日時点でも、24ある「コロナ専用病床」のうち、10床が埋まっていました。

病院は、5月に感染症法上の位置づけが見直されると、社会全体の感染対策の意識が緩み、感染者の増加につながるのではないかと不安を感じています。

とちぎメディカルセンターしもつが 福田健医師
ウイルスの性質はまったく変わってないわけですから、ウイルスに対する対策は、病院はもちろんですけど、社会においても今までどおりやらないと感染がまん延してしまうことになります。


クリニックも患者を受け入れられるのか

この病院がさらに懸念しているのが、今後の診療体制です。

大きな病院だけでなく、町のクリニックなどの幅広い医療機関が、本当に新型コロナの患者を受け入れられるのか、疑問を抱いています。 

とちぎメディカルセンターしもつが 福田健医師
新型コロナに必ず効く特効薬は、今のところありません。もし重症化してしまったら、開業医で診ることは無理だと思います。そうすると、今、コロナ患者を受け入れている病院に、これまで以上に患者が集中する可能性があります。


保健所の関与がなくなると

福田医師が懸念している背景には、新型コロナの位置づけが「5類」になると、これまで調整役を務めていた保健所の関与がなくなってしまうことにあります。

新型コロナの感染者が出た場合、今は保健所が「患者を自宅療養にするか、入院が必要か」などの判断を行っています。そしてもし入院の必要がある場合は「近くの病院がどのくらいひっ迫しているか」なども考慮に入れながら、入院先を調整しています。

しかし5月8日以降は、こうした保健所の関与がなくなり、感染した人は、自分で近くにあるクリニックなどに行って受診することになります。

このとき容体が悪かったり、重症化のリスクがあったりした場合、クリニックが「うちでは診られません」として、大きな病院を紹介することが十分に考えられます。

結果として、患者が次々と大きな病院に委ねられるようになり、一部の病院だけがパンクしてしまうことになるのではないかと懸念しているのです。


負担を分かち合う仕組みを

「5類」に移行したあと、一部の病院だけにしわ寄せがいかないようにするためには、町の小さなクリニックなどを含めた幅広い医療機関が連携して、患者の対応に当たる仕組み作りが必要になると思います。

ただ、これまで新型コロナの患者を診ていなかった医療機関が新たに対応しようとする場合は、院内の感染対策を徹底するなど、手間やコストがかかることになります。

それでも位置づけを「5類」に移行し、新型コロナと共存しながら社会をまわしていこうとするのであれば、町の小さなクリニックなども一定の覚悟を持って、新型コロナに向き合っていく必要があると感じました。

  • 平間 一彰

    宇都宮放送局 記者

    平間 一彰

    2021年に宇都宮局赴任。
    新型コロナウイルスと闘う最前線の医療機関で、3年間にわたって密着。
    死亡した患者の看取りや、感染した小児の現場などを取材。

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