おせちとは、もともと正月だけではなく桃の節句や端午の節句などの行事で出される料理のことでした。そのうち、最も大切な正月に食べる料理だけを、おせちと呼ぶようになったのです。 |
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現代は料理や器の種類もバラエティ豊かになり、おせち百花りょう乱の時代。しかしそこには、日本人が大切にしてきたものが、ぎっしり詰まっているのです。 |
壱のツボ 詰めて重ねて隙間なし
おせちの見どころは、たくさんの料理が、重箱いっぱいに盛りこまれた景色です。しかしただ詰めればいいというものではありません。そこには細部まで計算しつくされたプロの技があります。銀座の日本料理店で料理長を務める秋山能久さんにその技を見せてもらいました。 |
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食材は、一つ一つミリ単位まで寸法を決め、切りわけます。プロは定規など使わず、この正確さ。 |
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重箱の中の配置は、料理人の頭の中で、あらかじめできあがっています。まず気を配るのは色の取り合わせ。赤、青、黄、白、黒と食材の基本的な五つの色で華やかな彩りにします。 |
最も大切なのは、隙間を作らないこと。ぎっしり詰まった重箱は豊かさの象徴なのです。 1つ目のツボは、 |
弐のツボ 料理に意味を託す
かずのこ、黒豆、田作り。ちの中でもとりわけよく知られるこの料理は、三つ肴とよばれます。ただおいしいから食べるのではありません。実は、料理の名前が大事なのです。 |
「朝日の豊栄登り・・・」 |
おせち料理の名前は、そうした考え方が表れています。 2つ目のツボは、 |
意味を与えるのは、名前だけではありません。調理の仕方も大切です。都内に京料理の料亭を構える仙場才也さん。40年近く日本料理を作り続けてきました。 |
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黒豆の色と艶(つや)にはいつまでも黒く日に焼けまめに働けるようにという願いが託されています。ご覧ください。豆の表面に部屋の風景が映り込む程の艶。この色と艶を出すための秘密が還元鉄です。 仙場 「鉄の粉で還元鉄というものを入れますと、艶やかにすきとおった黒さの色が出る。」 艶やかな黒豆を作るには、表面のしわは禁物。 |
田作りの材料はカタクチイワシの稚魚。かつて田畑の肥料だったことから、豊作を祈願する食材として取り入れられました。 |
一方関西では、田作りの代わりに叩きごぼうを添えます。 |
もう一つ、食材に意味を託すのが飾り切り。野菜を祝い事に相応しい形にします。人参で梅の花の形を作ります。使うのは赤い色が美しい、金時人参。クワイは細かい切り込みを入れて松ぼっくりの形に。芽を残すことで「めでたい」を意味します。このクワイの装飾は、おせち料理独特です。 |
名前や色、そして形。なぜおせちは、ここまで意味にこだわるのでしょうか? 柳原 「言霊信仰=シャレとは違う。その中に願いを込めていなければいけない。だから神とともに食事をしていると考えれば願いということが通用してくると思うんですよ。そこでへたすると現代の若い方はダジャレだというかもしれないけども、そのぐらい生きることに大事だったんです、昔は。」 |
生きる事が、今よりもずっと困難だった時代。 |
参のツボ 神への感謝が「おせち」の原点
千葉県・香取市にある香取神宮では600年以上続く祭があります。11月末の大饗祭(だいきょうさい)です。香取神宮では独特のお供えを作ります。一般的には食材をとれたままの姿で奉納しますが、ここでは調理をします。 |
この地方の海の幸山の幸。赤い切り身は鮭(さけ)です。昔は近くの利根川に上ってくる鮭を用いました。 |
収穫に感謝し、その実りを神に捧げるという思いは、現代にも受け継がれています。千葉県成田市の農家、湯浅さん。毎年おせちは手作りです。作るのは、90才の恵子さんと息子の妻、久江さん。長年一緒におせちを作ってきた二人の、息の合った仕事です。 |
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今年も、豊かな実りを、ありがとう。一年のはじめ、自然へのあふれる感謝の思いを、日本人はおせちという形に表してきたのです。 |
クリスマスが終わってからお正月までの間って、とても慌ただしいですよね。
あっという間に、街もお正月の飾りつけに変わりますし。
毎年この時期、大掃除や年賀状作成、忘年会などで心がせわしなくなってしまい、私はなかなか落ち着いて新しい年を迎える準備が出来ていません・・。
実家に帰省し母の作るおせちの手伝いをしながら、ようやく新年を迎える心構えが出来ているような気がします。
今のように長寿でなかった時代、「健康で長生きをする」ということが何よりも強い願いの1つだったということ。
改めて知ると、1品1品おせちを頂く時の気持ちも変わってきますよね。
黒豆、たくさん頂かなきゃ。
来年もまめに働いて、「美の壺」を楽しみにして下さっている皆さんにお伝えしていきたいです。
よいお年をお迎え下さい!
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
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Moanin' | Art Blakey & The Jazz Messengers | 0分2秒 |
Vivian Van Damm | George Fenton | 0分38秒 |
Just One More Chance | Dean Martin | 1分31秒 |
On The Spur Of The Moment | Horace Parlan | 1分48秒 |
Disk Jocky Jump | Gene Krupa & His Orchestra | 3分5秒 |
Letter From HK | Jean-Christophe Cholet | 4分35秒 |
Stonewall | Milt Jackson & Wes Montgomery | 7分1秒 |
In A Sentimental Mood | John Coltrane | 8分49秒 |
A Night In Tunisia | Bud Powell | 9分52秒 |
Esay-Don't Hurt | Ike Quebeck | 11分42秒 |
My Man's Gone Now | Magnus Hjorth | 12分20秒 |
Midnight Blue | Kenny Burrell | 14分11秒 |
Callin' All Cats | Lou Donaldson | 16分10秒 |
Blackberry Winter | Keith Jarrett | 18分9秒 |
Hat And Beard | Eric Dolphy | 20分0秒 |
Wise One | Mike Mainieri | 20分46秒 |
River, Stay Way From My Door | Harry Allen | 23分15秒 |
What Are You Doing New Years Eve | Ella Fitzgerald | 26分12秒 |
Hora Decubitus | Charles Mingus | 28分27秒 |