買い物スポットとして人気の吉祥寺。繁華街にあるショッピング・センターの上に新緑のまぶしい光にあふれた庭がありました。その昔、この地域にあった雑木林をイメージして作られたものです。こうしたビルの屋上など、人工物の上を利用して作った庭を『空中庭園』と言います。 |
この庭を造った平井孝幸さん。 平井 「季節を味わってほしいなというのがこの庭をつくったときの大きな目的でしたね。」 四季折々に変化する木々の味わいが楽しめる庭園です。 |
大阪に巨大なテーマ・パークのような空中庭園があります。大阪球場の跡地に建つ、巨大なショッピング・センターです。1万平方メートル以上の広さの屋上は、緩やかに下る階段状の丘になっています。その上におよそ300種類、7万株の植物が配置されています。 |
地上10階建てのコンクリートの構造物。見上げると、絶壁が頭上にせまる迫力の景観!そう、ここはアメリカのグランド・キャニオンを再現したのです。地層のように色分けされた壁に緑の蔦(つた)が下がり、ワイルドな雰囲気を出しています。 |
コンクリートの上に再現された人工の大自然。創意工夫と労を惜しまぬ努力が都市に独特の空間を生み出しています。 |
壱のツボ 空に浮かぶ異空間を楽しむ
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東京の屋上をとり続けているカメラマンの鷹野晃さん。空中庭園の魅力とは自然の緑と、人工的に作られた池やオブジェと組み合わせ、そこに地上からわき上がってくる都市の騒音が加わり、独特の味わいを生み出していると言います。都会と自然が交差する空中庭園。都会が生んだ異空間なのです。 一つ目のツボ、 |
それでは、鷹野さんと一緒に都会に潜む空中庭園を探しに行きましょう。ポイントは壁面などに緑化が施されているビルは屋上にも庭園がある可能性が高いと言います。 |
屋上は地上と空の間の空間。開放されているけど、ある意味、隔離されている不思議な“町の余白”。都会の暮らしに疲れた人々の心をつかの間、解きほぐしてくれる場所なのかもしれない、と鷹野さんは空中庭園の魅力を改めて語ります。 |
弐のツボ こだわりを極めた演出に酔う
ネット企業が数多く集まり、外国人にも人気の六本木。この施設の一角に、オシャレな町並みからは想像を超えた田んぼを備えた空中庭園があります。 |
モダンなビルのふもと、田んぼのみならず蓮池まで備え、凝りに凝った田舎風情の庭造り。都会の暮らしに田舎の風景を丸ごと持ち込んだ豪快な空中庭園です。東京タワーを背景に眺める苗の緑の鮮やかなこと。 二つ目のツボ、 |
続いて、巧みを極めた空中庭園の美をご覧頂きます。明治神宮から伸びる美しいケヤキ並木が有名な表参道。ここにオープンしたショッピング・センターに粋な仕掛けがあります。 |
フローリングの床に注ぐ、ほどよい光と影。地上6階を吹き抜ける風を、目と肌で感じながら過ごせるように、木の種類と配置が考え抜かれています。そうです、木漏れ日の日の光にこだわって作った庭なのです。 |
でも、なぜ木漏れ日にこだわったのでしょうか?建築家の中村拓志さんは語ります。 中村 「表参道といえばケヤキ並木、その木漏れ日に包まれる中でお買い物する、これが表参道独特の体験だと考え、施設全体に木漏れというものを配置することで、わざわざこの表参道にやってきて買い物をする価値が生まれると思ったんですね。」 |
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こだわりは屋上だけにはとどまりません。天窓の上には、覆いかぶさるようにイロハモミジの枝が伸びていました。その下は、入り口から屋上まで建物をつらぬく、吹き抜けのエスカレーター・ホールになっています。天窓から降り注ぐ木漏れ日の光が、吹き抜けの空間すみずみまでに届くような設計になっています。天窓を通して濃縮された自然のエッセンス。都会の人々を楽しませるぜいたくな趣です。 |
参のツボ 空中庭園に流れる時を味わう
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福岡のビジネスの中心地に建つ 官民複合の市民ホール。正面は、一見するとなんの変哲もないオフィス・ビルですが、裏に回ると・・・ |
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驚きの空中庭園が現れます!高さ60メートル、ビルの裏側は、一面に木を植えた、まるで山のような空中庭園になっています。 |
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ご覧下さい、野性味にあふれ、荒々しく生い茂る樹木がビルの側面をすべて覆いつくしています。ビルが山に飲み込まれてしまったような迫力の景観です。常緑樹が6割、落葉樹が4割、山の木々は、ある特別な管理方法でここまで育て上げられました。 |
ここの緑を完成以来、見守ってきた和智淳友さん。枝の切り方一つにも、山らしさを大切にしたこだわりがあります。 和智 「通常の刈り込みみたいにバサッと切るんじゃなくて、切った後でも剪定(せんてい)したかな?とわからないようにしています。基本的に手を入れない、山なので自然なままに任せる。」 |
都会の中に出現した山のような空中庭園。 最後のツボは、 |
ここには福岡県の県庁舎が建っていた場所です。市民はこの公有地に、緑の公園を望んでいましたが、土地の有効活用から多目的施設を作ることになりました。 |
緑を求める市民の声に応えるべく、植栽設計を担当したのが、造園家の田瀬理夫さんです。 田瀬 「建物全体が、全部緑で覆われて山のようになる。その山が、ここから見えるような福岡のまわりの山と同じ植物で覆われている、そうゆう事が都市にとっては必要だろう。」 その発想は“一つ山を育てる”のだという思いでした。そのために、屋上の土作りに取り組みます。 |
手入れで落とした枝は園内に残していき、時間をかけて人工土壌をまるで自然の土のように仕上げていきました。努力の結果、想定外の味方が現れました。野鳥が集まり、植物の種を落としていきます。完成当初、75種類だった木々は200種類近くまで増えました。福岡の自然を取り込んでいった空中庭園。コンクリートの建物が、大都会の中心地にそびえる里山へと成長していきました。 |
建物には、コンサート・ホールを中心に、国際会議場やオフィス、店舗が入った複合施設になっています。大きな吹き抜けの空間を覆う緑の光。山の体内に入ったかのようです。緑の枝が風に揺らぎ、自然の息吹を中でも感じます。人工物と自然の新しい出会いです。 |
完成当初は木々が少なく、コンクリートがむき出しの武骨な姿でしたが、時間と共にどんどん魅力を増していきます。田瀬さんはその魅力を語ります。 田瀬 「通常、建築物って、最初ピカピカで、だんだんすすけていくでしょう?だけど、このビルは年々魅力がこう集積していくというか、積層していく。時間を味方にする建築って言うのですかね。」 |
日没の夜空に、煌々(こうこう)と輝く空中庭園がありました。自然と建築が融合し、新しい都市の風景を生み出していました。 |
「空中庭園」という響き。改めて考えると、夢の世界にあるようなロマンチックな名前ですよね。確かに地上から少し離れているだけなのに、空の中にいるような感覚になります。たまたま入ったビルにすてきな空中庭園があると、ラッキー!青い空を眺めながらのんびり過ごします。
私は周りの人たちの様子を見て、マンウォッチングを楽しみながらコーヒーを飲んだりしています。緑が綺麗(きれい)だなぁと、ついついぼーっとしてしまいますが、あんなに庭園の中にこだわりが込められているなんて!今度訪れたら、隅々まで趣向を楽しみたいなと思っています。
これからの季節、気持ちよいだろうな~♪
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
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Moanin' | Art Blakey & The Jazz Messengers | 0分2秒 |
Perfidia | Gonzalo Rubalcaba | 0分33秒 |
Irresistible you | Bird & Chet | 1分35秒 |
Someone To Watch Over Me | Oscar Peterson | 3分18秒 |
It ain't necessarily so | Magnus Hjorth Trio | 3分43秒 |
First Ride | Eugene Friesen | 4分16秒 |
Oleo | Miles Davis | 5分48秒 |
Get Out Of Town | Jack Sheldon Quartet | 7分33秒 |
Yardbird Suite | Dusko Goykovich | 8分41秒 |
Sukiyaki | Vincent Herring & Eric Alexander | 11分8秒 |
Devandade ( from 「Calmos」) | Georges Delerue | 13分59秒 |
Giant Steps | John Coltrane | 14分18秒 |
This Belongs to You | Unity Band | 15分25秒 |
Flight For The 21st | 林正樹 | 16分13秒 |
Savasan | Lars Jansson Trio | 17分31秒 |
Everlasting | Gordon Goodwin's Big Fat Band | 20分17秒 |
Winter Festival 1 | Hakuei Kim | 23分1秒 |
Winter Festival 1 | Hakuei Kim | 24分24秒 |
Bess,You Is My Woman Now | Magnus Hjorth Trio | 25分57秒 |
While We're Young | Keith Jarrett | 28分19秒 |