東京ドームのほど近く、隠れ家のようなホテルがあります。ロビーの大きなあんどん風の装飾と、江戸雅(みやび)な色合いのカーペットが和の味わいを生み出しています。こうした和の装飾を取り入れたホテルが、今、人気を集めています。 |
ホテルジャーナリストの富田昭次さんは、日本のホテルは、はじまりから「和風と洋風の融合」が大きなテーマで、今の和モダン・ホテルのブームは原点回帰と語ります。 |
壱のツボ 「寺や城」をまとった建物
明治時代、外国人に人気の高かったリゾート地、箱根。日本情緒を味わえる西洋式ホテルとして評判となったのが、このホテルです。古いお寺やお城に使われた入り母屋造の屋根に、千鳥破風、唐破風の装飾がついた分かりやすさが魅力です。 |
建築史を研究する米山勇さん。西洋化が進む明治時代、「和モダン・ホテル」には、お城やお寺の屋根をそのままもってきた、和風のエネルギー、かっこよさが爆発したような魅力があると語ります。 |
現代の和モダン・ホテルにも日本建築の伝統が活かされています。こちらのホテルの玄関の屋根をご覧ください。まるで細長い白木が並んだような屋根。シャープな中にも和の味わいを感じさせます。 1つ目のツボは、 |
このホテルを設計した建築家の隈研吾さん。「和モダン」をコンセプトにした建築で、世界的に有名です。玄関の屋根は、日本建築の屋根裏で使われている「垂木」を現代的に解釈して、ホテルに採り入れたものでした。 |
吹き抜けの広々とした空間のロビー。見上げると巨大な装飾があります。細長い木材が組み合わされたこの装飾。大きさの割にはさりげなく空間に溶け込み、和のテイストを生み出しています。これも寺社建築をモチーフにしたもの。柱の上にあって軒を支える「組物」をとりいれたデザインです。 |
弐のツボ くつろぎの空間を体感する
「呉服の街」東京、日本橋。ここならではのユニークな和モダンのホテルがあります。特にこのホテルがこだわったのは「テキスタイル」つまり布。布を通じて和の味わいを肌で感じてもらいたいと考えています。 |
テキスタイル・デザイナーの須藤玲子さん。ホテル内で使われている布地は日本製のものにこだわり、布の肌触りを通して和の味わいを感じ取って欲しいと語ります。 |
38階だての高層ビルの中、ホテルとなっているのはその上層階。そこには和の味わいがちりばめられていました。 2つめのツボは、 |
東京、丸の内、リニューアル・オープンを控えたホテル。お堀に隣接する立地条件をいかすため、新たな和モダン・スタイルに建て替えられています。 |
リニューアル・プロジェクトの責任者、諸井徹さんと設計の責任者、大草徹也さんは日本家屋の空間の使い方をホテルづくりにとりいれ、和の味わいをさりげなく演出しようとしています。 |
客室には日本の伝統的な住まいにならって、空間の広さを感じさせる工夫を凝らしました。例えば、窓を大きくつくり、テラスと床の高さをそろえ、外の風景を「借景」として取り込むようにしています。 |
建設中の大宴会場も、天井から床まで、風景を見渡せる巨大なガラス張りになっています。 |
「ホテルの顔」ロビーにも、借景の考え方が採り入れられています。ロビーのつきあたりに用意されたコーナー。ここもお堀の風景を計算に入れ、大きなガラス窓から、四季折々の自然の景観が楽しめます。自然のざわめきが伝わってくるかのような空間。和の住まいの心地よさを、改めて教えてくれます。 |
参のツボ ロビーに宿る和のプライド
東京、虎ノ門に和モダン・ホテルの傑作があります。壁面は江戸時代のナマコ壁をかたどった物です。敷き詰められたのは、実際のナマコ壁と同じく黒い瓦。白と黒の連なりが重厚で、しかも粋な和のたたずまいを感じさせます。 |
昭和39年、このホテルはIMF、国際通貨基金の総会の会場となりました。初めてアジアで開催されこの会議が、日本の復興を世界に印象づけます。 |
天井からつるされた提灯(ちょうちん)型の照明器具。古代の日本人がアクセサリーに使っていた水晶玉、切子玉をモチーフにしたデザインです。表面に波打つような加工が施された特注のガラスが、柔らかい光を生み出しています。 |
テーブルといすで梅の花をかたどっています。東洋的な美しさを象徴する花、梅。上から眺めると、ロビー一面に梅の花が咲いているかのようです。 |
当時、ホテルの設立に関わった大崎磐夫さんが当時の様子を語ります。 大崎「大倉さんのポリシーは、和のホテルをつくろう。西洋の物まねしたら、二流だよと。日本のホテルをつくれば、一流になれる機会がある。チャンスがある。外国人が来るんだから、日本の神髄を見せたいというのが、大倉さんです。」 |
特にこだわったのはホテルの顔、ロビーです。『光悦、宗達の精神を汲んだものにしたい。』金銀を巧みに用いた繊細、かつ洗練された桃山文化を模範としました。 |
この壁は絹の織物でできていて、陶芸家、富本憲吉がデザインした模様が整然と並んでいます。花びらと、がくを組み合わせた風車のような意匠は『テイカカズラ』という花をもとに、富本がデザインしたものです。この壁は開館日の午前5時までかかって制作されました |
ロビーにほの暗い幽玄な雰囲気をもたらしているのが、伝統的な麻の葉の文様に組み上げられた木組みの細工です。釘(くぎ)や接着剤を使わずにつくられました。喜七郎自身が何度も職人のもとに足を運び、作らせたと言われています。緻密な模様が、ロビーに柔らかな光を届けています。 |
新年度1回目の放送、いかがでしたか?
4月からも「美の壺」をどうぞよろしくお願いします!
水曜日の夜に変更になりましたので、間違えないようにして下さいね。
和モダン。
ロビーや部屋に入った時、「どこか和を感じるな~」と思うことってありますよね。行灯や障子、寺社建築など一目で和を感じさせるものはもちろん、ファブリックや組み物のオブジェなどで和を感じることも。
レストランやホテルに出かけた時、和モダンを取り入れている場所って多いな~と感じます。
さりげなく竹がインテリアに取り入れてあったり、小さな行灯がテーブルランプとして用いられていたり。
和モダンの空間って、どこか落ち着いていてホッとします。
日本に住む私達には懐かしさを、外国の方には新鮮さを感じさせるものですよね。
今回改めて、唐破風や組み物、なまこ壁といった和の建築文化をきちんと日頃から知っていなければならないと思いました。
だって、友達や外国の知人と一緒に出かけた時さりげなく説明できたらかっこいいですよね!(笑)
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
---|---|---|
Moanin' | Art Blakey & The Jazz Messengers | 0分2秒 |
Sunday Morning Samba | Italian Secret Service | 0分33秒 |
Moment's Notice | Buddy Rich & Lionel Hampton | 1分8秒 |
Fantastic Rhythm | Bill Charlap | 2分27秒 |
La Pasionaria | Michel Ledrand | 3分6秒 |
Puttin' On the Ritz (Club Des Belugas Remix) | Fred Astair | 3分49秒 |
Puttin' On The Ritz (Club Des Belugas Remix) | Fred Astair | 4分47秒 |
Puttin' On The Ritz (Club Des Belugas Remix)? | Fred Astair | 6分9秒 |
Li-mo | 橋本一子 | 6分24秒 |
Orcinus Orca | 上野山トリオ | 8分49秒 |
Small Club | Capiozzo & Mecco? | 11分31秒 |
Shiny Stockings | Magnus Hjorth | 12分5秒 |
Lounge Time | 菊地成孔 | 13分20秒 |
Minority | The New York Sessions | 14分7秒 |
Bond : The Cast | Gerald Clayton Bond | 16分29秒 |
Sunday Morning Samba | Italian Secret Service | 18分28秒 |
black and tan Fantasy | Duke Ellington and his orchestra | 19分16秒 |
If I Should Lose You | Herb Ellis | 21分34秒 |
Good Morning Blues | Count Basie | 22分32秒 |
ろまん燈籠 | 小湊昭尚, 保坂修平 | 23分50秒 |
Valse D'antan | Larry Goldings | 26分28秒 |
Brookside | Mel Lewia Sextet | 28分21秒 |