いつの時代も女性の美しさを際立たせてきたレース。 |
壱のツボ レースと肌が生みだす美を堪能せよ
現代でも、女性たちにレースの人気が高まってきています。 |
レースの「透ける」魅力を、服飾研究家の深井晃子さんは、こう分析します。 深井 「レースは肌と布の間を限りなく近づける素材。隠しているんだけれども、実はよく見せている。」 レースは、透けることで隠していることをより意識させていたのです。隠しつつ見せ、見せつつ隠す・・・絶妙な「透ける」味わいとそこに生まれる肌の「美」こそがレースの魅力なのです。 |
レースが女性の着こなしに欠かせなくなったのは、18世紀のヨーロッパ。優美な装飾が特徴のロココ様式がはやったころからです。 |
東京在住のレースの収集家、ダイアン・クライスさんに、貴重なロココの袖のレースを見せてもらいます。 ダイアン 「18世紀、レースは宝石と同じ価値でした。今の価値で言うとこの袖のレース一組で新築のマンションと同じ位だとされています。」 |
レースの「透け」は衣服と肌の境界線をぼかし、肉体の生々しさを消し去ることで、女性の体に可憐(かれん)な魅力を与えたのです。 |
その象徴的な色が、慎ましやかな白と官能的な黒。レースは色によってまったく異なる効果を女性の肌にもたらしたのです。 深井 「白いレースは肌と近い色なので、肌の色となじんで肌を豪華に見せます。 一方、黒のレースは透け感がすばらしく、隠しながら体を見せるセクシーで魅力的な印象。 同じ素材であるにも関わらず、まったく正反対なニ面性を持つ素材は他には見当たりません。」 |
このレースの色と、肌の関係はデザイナーたちにも注目されました。黒いレースを大胆に取り入れ、女性ならではの肉体美を追求したデザイナーが、イヴ・サンローランです。 |
一方、白いレースの魅力を知り尽くしているのが、日本人初のウェディングドレスのデザイナー、桂由美さん。 桂 「レースの美と女性のきれいな体の美とがオーバーラップすると、神秘性が2倍になる。見た目だけではなく、花嫁は、ヴェールをかぶったとたん緊張感が高まり、気持ちがナイーブ(純真)になる」 |
白いレースは、女性の内面の美までも引き出す力があったのです。 ひとつ目のツボ、 |
弐のツボ 糸が作る無限の小宇宙
レースの代表的な手法、ボビンレース。 |
八木沼雅子さんは本場ベルギーで経験をつみ、その技を身につけました。 八木沼 「基本的にはボビンの動かし方っていうのは、2種類しかないんです。」 |
一つは、ボビンを右へ動かし、となり合う糸を交差させるクロスという動き。 |
クロス、ツイスト、クロスを一セットに繰り返していくと、縦糸と横糸が直角に交差するリネンステッチに。 |
さらにヨーロッパの作り手たちは知恵を絞って、レース織りの美を進化させていきました。 |
発想の源は身近にある「自然の形」。 |
こちらは18世紀のボビンレースの名品。 ふたつ目のツボ、 |
参のツボ レースに込められた思いを感じよ
その清らかな美しさから、教会での儀式でも多く用いられたレース。 |
ダイアン 「これらにほどこされているレースはとても意味深いものです。 赤ちゃんの未来が幸福に恵まれよりよい人生になるよう、家族みんなの願いが込められています。」 |
19世紀から受けつがれてきたウェディングドレスの襟。 |
まだ日本でアイリッシュ・クロッシェレースがあまり知られていなかった頃、ヨーロッパでこのレースに出会い、ほれ込んだのが小瀬千枝さん。 小瀬 「立体に見せるこのテクニックは、アイルランドだけなんですね。アイルランド人の緻密な頑固な女の人たちに作り上げられていったもののすばらしさを感じます。」 |
収集家のダイアンさんのコレクションからとっておきのレースをご紹介します。 |
ダイアン 「レースを作った母親は娘を深く愛していました。娘がレース編みを眺めるのが好きだったことを思い出し、娘とのつながりが永遠に続くよう願ったのでしょう。」 家族の祈りが込められたレース。 3つ目のツボ、 |
洋服やドレス、ポーチや帽子やハンカチ、そして下着まで。いろいろなものに施されていて、レースは女性にとって身近なものですよね。私もレースは大好き!かわいいレースを見つけると胸がきゅん♪としてしまいます。ついついレースがあしらわれている洋服や小物を買ってしまうのです。何というか、繊細で優雅なレースを着ると、身につけている自分までエレガントになるような気がします。ひとつひとつの模様に意味が込められているのも素敵(すてき)ですよね。高級で手が込んでいるものだからこそ、人生の大切な節目でレースは用いられてきたんだな~と納得しました。それにしても、レースを作るあの手さばき!細かい糸を自在に操るその手元は、驚きの技でした!
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
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Valse de Fa | 小林キヨシ | 0分44秒 |
The Folks Who Live On The Hill | Oscar Peterson, Stephane Grappelli Quartet | 1分28秒 |
Birdlike | Freddie Hubbard | 3分12秒 |
Jazzy Bach | Mathiew Herkowitz | 4分24秒 |
Dear Old Stockholm | Paul Chanbers | 6分19秒 |
Easy, Bruno, Easy | Benoit Charest | 7分4秒 |
Yesterdays | Dorothy Ashby | 8分30秒 |
Somedar My Prince Will Come | High Five | 9分45秒 |
The Very Thought Of You | Chris Botti | 11分21秒 |
Cocktails For Two | Svend Asmussen | 12分31秒 |
Skating in Central Park | 秋吉敏子 | 14分8秒 |
Tea For Two | Bill Frissel | 14分40秒 |
Lullaby For The Naïve Ones | Anat Cohen | 16分54秒 |
It's A Sin To Tell A Lie | 寺井尚子 | 18分48秒 |
Invention 8 | Eugen Cicero | 20分0秒 |
La Vie En Rose | Louis Armstrong | 20分53秒 |
La Sonnerie De Sainte-Genevieve Du Mont | Jacque Loussier Trio | 22分33秒 |
Simone | Richard Davis | 24分46秒 |
Hester Street, 1896 | Larry Goldings | 26分9秒 |