神奈川県の相模湾沿岸の湘南地方は、東京からもほど近く、まばゆい太陽と海を求めて、多くの人が訪れます。 |
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明治時代、海の近くに別荘や邸宅を構え、余暇を過ごすというライフスタイルが西洋からもたらされ、政財界の大物が贅(ぜい)をつくし、趣味を盛り込んだ家を建てました。湘南ならではの邸宅の魅力を、じっくりと鑑賞していきましょう。 |
壱のツボ 客をもてなす湘南の木工技術
まずは、匠の技に注目。 |
こちらは、旧福岡藩主黒田家の嫡男、黒田長成侯爵が建てた清閑亭(小田原市・明治39年)です。 明治維新の前の年に生まれ、新しい時代に育った黒田が、避暑、避寒の別荘として建て、家族と過ごしたり、親しい知人やかつての家臣を招いたのがこの家でした。 |
客間の天井には、あじろが施されています。もともと、床の間の天井など部屋の一部に使われる木の技を黒田はあえて天井一面に用いました。 |
弐のツボ あふれる海の意匠を見よ
次は、建物に施された湘南ならではのデザインに注目します。 |
今、ここに住むのは、おもちゃのコレクターとして知られる北原照久さんです。若い頃からこの家にあこがれ続けたといいます。 北原 「海からはこの家を見ているし、ひとつのランドマークみたいな。いいよないいよなっていつか住みたいよね、こんな家に住んだらいいよねって、そういう憧れだとか夢だとかはずっとあったんですよ。」 |
こちらは、湘南の海に魅かれて移り住んだ老政治家の家です。 |
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若い頃土佐藩の志士だった田中。坂本竜馬らとともに、船に乗り、討幕運動に奔走していました。海と船は田中の青春の原風景でした。紺碧(こんぺき)の海をほうふつとさせる青い屋根瓦。わざわざ、スペインから取り寄せたものです。 |
当時、強い直射日光を避けるため、船の甲板には帆布が取り付けられることもありました。 田中は、このベランダをデッキに見立て、若き日々を回想していたのかもしれません。 |
平井 「田中にとって、帆船に乗って海を進んで行くというのは、若き日の青春の思い出なんですね。あの有名な坂本竜馬たちとともに船を乗り回し幕府を倒すべく活動していた。その思い出に他ならないと。これは、若い青春の坂本竜馬とのオマージュの建物なんだと」 いつか湘南に海の意匠の邸宅を訪ねることがあったら、潮風の音に耳をすませながら、男たちの夢や憧れに思いをはせてみてはいかがですか? |
大正の末ごろ、湘南には、東京のけん騒を嫌った文化人が、移り住むようになります。穏やかな気候を好み、競って邸宅を構えました。 |
参のツボ 光や風を味わう離れ
こちらは、小説家里見 弴が暮らした家。 |
部屋からは谷戸と呼ばれる鎌倉特有の丘陵の景観を見渡すことができます。建築家の久恒利之さんは言います。 久恒 「当時のことを想像してみると、この辺に家が一軒もなかったっていうことを、想像してこの窓を見るとですね、本当に谷戸の感じがとても全体がよく見えて、すてきなんですよね。」 里見は執筆の合間、ここで酒を飲みながら景色を眺めていたといいます。 |
こちらは日本画家、山口蓬春が暮らした邸宅(葉山町・現山口蓬春記念館)。 |
離れは、周りの自然とひとつになれるよう、設計されています。北側と南側の全面を窓とし、光と風を存分に取りいれられるようになっています。 安藤 「北側に山を背負い、南側に海があり、南仏のようなイメージをとても気に入っていると聞いております。全部あけ放したら鳥が自由に行き来できる、そんな空間でございます。」 |
戦災で東京の家を失った蓬春は知人たちの暮らす、湘南の豊かな自然を気に入ります。そして、葉山にアトリエを建てます。 蓬春は、設計に際して窓を閉めても、視界を遮るものがないよう、視線の高さにあるさんを上にずらしたり、日差しの強い夏は陰影が出ないように、障子を取り付けたりしました。 |
戦後、新しい日本画の創造に取り組んでいた蓬春に、湘南の自然は大きな影響を与えます。 |
自然と一体となり、絵と向き合える極上の空間。 |
いよいよ7月!これからの季節にぴったりのテーマでしたね~。
“邸宅”という言葉が相応しいすてきなお宅ばかり!東京から遠すぎず近すぎず、程よい距離。これが人々をひきつける良さなのかもしれませんね。
湘南といって私が思い出すのは、大学時代に毎年、女友達6、7人と海に行ったことです。海の近くに住む友達の家に泊まり、昼は海でビーチボールで遊び、夜はガールズトーク。あの頃は日焼けなど気にせず、思いっきりはしゃいでいました~。そういえば、最近行ってないな~。湘南の海と太陽に癒されたい!
そうそう、今回制作を担当した吉岡ディレクターも、取材を通して湘南の魅力を改めて感じたそうですよ。熱っぽく語る吉岡さん、ぜひ 「ツボトーク動画」 で見てみて下さい!
楽曲名 | アーティスト名 |
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チャーチル首相の打った蕎麦 | 本間 勇輔 |
希望の轍 | Kenny James Trio |
Apes And Peacocks | Duke Ellington |
Survival Of The Fittest | Heabie Hancock |
Bye Bye Blackbirds | Miles Davis |
Dreamsville | Oscar Peterson |
But Not For Me | Modern Jazz Quartet |
So Many Stars | Earl Krugh |
七日目 | 本間 勇輔 |
Wave | Oscar Peterson |
All The Things You Are | Jim Hall & Pat Metheny |
My One And Only Love | Joey Calderazzo |
My Song | Keith Jarrett |
アクビ | 本間 勇輔 |
Li'l Darlin' | Turtle Island String Quartet |
My Funny Valentine | Bill Evans & Jim Hall |
The Sound Of Silence | Pat Metheny |
Dindi | Astrud Gilberto |
真夏の果実 | Kenny James Trio |