着物には大きく分けて二種類あります。 |
そして染めた糸で柄を織りだす「織りの着物」。 |
壱のツボ 柄にこめた地味の美学
紬は織る前に糸を独特の方法で染めます。 |
絣くくり職人、直井由夫さん。 直井 「そうだね、平らになんといっても平らにできればね最高だと思います。ここは強くするその次はゆるくというのではなくてね、平らに」 均等な強さでくくらないと柄にむらが出てしまうのです。 |
着物一着に、およそ八万箇所もくくりを入れます。 |
糸でくくっていない部分にしっかり染料をいきわたらせなければなりません。 |
叩き染め職人、大久保雅道さん。 大久保 「細かいところに染料を入れるというのがたたき染めの特徴。たとえばこんなね、1ミリぐらいの間隔。こういうところに染料をたたいて入れるという。」 |
細かく染め分けられた糸を機に張ります。 柄がしっかり出ているか、ヨコ糸を入れるたびに確認しながら織り上げます。 |
わずか2ミリの亀甲が浮かびあがってきました。 |
目をこらさないと見えない精緻な柄。職人たちの手技の結晶です。 |
弐のツボ 糸から生まれる風の着心地
紬はかつて養蚕農家が、商品にならないくず繭を、自家用に利用したのが始まりです。 |
こうして取り出した繊維は唾で固めて一本の糸にします。 |
真綿つむぎ職人、塚原アイさん 塚原 「つばはのりの役目してますから、はりつけちゃうわけね。」「手で紡ぎますから撚り(より)じゃない。」 |
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真綿から取り出した繊維は太さも長さも均一でないため撚りを入れにくいものでした。 |
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茨城県工業技術センター、篠塚雅子さん。 篠塚 「普通は糸って言うのは撚りをかけて糸にしますけど、手で全部引き出して、ちょっとねじるみたいなことなので、無撚糸といってよりがない状態になりますし、強い力で引かないので繊維の方向がいろんなとこ向いていたりとか、ということもあります。」「よってないので強度がとても弱いのでよりがない分のりで補強しないと織れない糸ですね」 |
唾で固めただけでは、糸の強度が弱く織ることができないため、糸をのりに浸しさらに補強していきます。 |
着れば着るほどやわらかくなる紬の着心地。 |
参のツボ 色を足して渋さを楽しめ
紬を研究してきた石嶋眞理さん。 |
紬の魅力は丹念な手仕事から生まれた生地の美しさにあるといいます。 |
結城紬研究家、石嶋眞理さん 石嶋 「黒地ですから一瞬きものだということ忘れていただけるというか、洋服感覚の組み合わせだねってよく言われますけれど、ポイントカラーとして帯をとらえるとそれはそれで楽しい着方ができるんじゃないかと思いますけどね」 |
亀甲柄が施された黒の紬。茶色の帯を合わせるとちょっとした遊び着に。 |
落ち着いた草木染めの帯なら仕事着にと、一枚の紬を自在に楽しむことができるのです。 |
石嶋 「帯を冒険してもそれを許容してくれるような懐のふかさみたいなものが紬地にはあるので、紬がやさしくうけとめてくれるとそういう感じでしょうかね」 |
紬は、着る人の大胆な発想によって新しい魅力を発輝する。 |
着物が好きな人は、「染めの着物」から最終的に紬などの「織りの着物」に行き着くと聞いたことがあります。今回はその奥深さを知りました。
かつては繭農家のくず繭から作られた日常着だったこと、手作業で丹念につむがれた風合いが、極上の着心地の秘密だったこと。何代も受け継ぎ、てろてろとしなやかな着心地になるのも良さの1つですよね。シンプルで渋い紬は、着る人の内面がよりあらわれるものなのでしょうね。
上手に着こなすことは難しいかもしれませんが、こうしたシックな着物を凛(りん)と着こなせる人って、男女問わず素敵(すてき)です!
楽曲名 | アーティスト名 |
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Epistrophy | 嶋津健一 |
Caravan | Lewis Nash |
Cherokee | Clifford Brown, Max Roach |
But Beautiful | Don Sleet |
Stormy Weather | Itzhak Perlman , Oscar Peterson |
Variation 30 "Quodlibet ~ Variations on Goldberg's Theme And Dreams | Richard Stoltzman |
Notes in Three | Christian Mcbride |
My Buddy | Chet Baker |
Arcos | Salle Gaveau |
I'm Old Fashoned | Keith Jarrett |
Reza | 井上陽介 |
さくらんぼ 母ときた道 | 安田芙充央 |
Futures | Burton, Corea, Metheny, Haynes, Holland |
Hope | Kris Bowers |
Mars-Brasileiro | 橋本一子 |
Bye Bye Blackbird | Kai Winding |
All Blues | Miles Davis |