家の出入り口として造られた建物、門。 |
壱のツボ 見上げてくぐれ 寺社の門
お寺の門として日本一大きい東大寺の「南大門」。二重に重ねられた大きな屋根は「二重門(にじゅうもん)」と呼ばれ、最も格式が高いスタイルです。合計18本のひのきの柱が、ずっしりとした屋根を支えています。 |
東大寺大仏殿副院主(ふくいんじゅ)の佐保山暁祥(さほやまぎょうしょう)さんにお話ししていただきました。 佐保山 「下から見上げてもらったら分かるんですけれど、天井がなくて、屋根の裏が見えるわけですね。ちょうど柱の間を突き抜けている『貫(ぬき)』っていうのがすごくよく見えるんですよね。 |
南大門は重源上人が見上げることを想定して造ったわけですね。やっぱり通るときに、ちょっと意識して、見上げてもらいながら通ってもらうといいと思います」 門鑑賞、最初のツボは、 |
伝統的な寺院建築では、クギを使わず木材を組み上げる技法が用いられてきました。 |
見上げることを考えに入れた寺社の門の中でも、圧巻といえるのが、徳川家康を祀(まつ)る日光東照宮の「陽明門」です。 透き間なく組み上げられた色鮮やかな木組みと彫刻。 |
彫刻の一つ一つは、下から見上げる人の目線に合わせて、飛び出すかのように彫られています。欄干には子どもたちが思い思いに遊ぶ姿が彫刻であらわされていることに気が付きます。ここには、東照宮を訪れた人へのメッセージが隠されていると、禰宜(ねぎ)の高藤晴俊さんは言います。 |
高藤 「子どもが安心して遊べる環境こそいい世の中ですよね。陽明門の中心に遊んでいる子どもたちの彫刻があるということは、家康公によってもたらされた平和を表している。ですから一番言いたいことを、外部に向かった広告塔である陽明門の真ん中にそういう彫刻をつけて、メッセージを発信しているということになりますね」 |
先人たちの知恵と思いが込められた寺社の門。今度、お寺や神社を訪ねたときは、門を見上げながらくぐってみてください。 |
弐のツボ 二重の門に 仕掛けあり
名城として知られる香川県の丸亀城。城の要は二重の門で守られています。 |
手前にある門が「高麗(こうらい)門」。奥にもうひとつ、弓矢を蓄える倉や、見張り台の役割も兼ねた「櫓(やぐら)門」。この二つの門と石垣で囲った四角い広場を枡形(ますがた)といい、この形式を「枡形門」と呼びます。城を守る究極の形とされるこの「枡形門」には、戦乱の時代ならではの仕掛けと美がつまっています。 門鑑賞、二つ目のツボは、 |
「高麗門」は、一般的に敵が一気に攻め込めないように小さく狭く造っています。また、両脇に広がる壁には「狭間(さま)」という三角の形をした「鉄砲狭間」、四角い「矢狭間」があり、堀の外の敵を攻撃するようになっています。 |
では、なぜ「高麗門」のすぐ脇に「櫓門」があるのでしょうか。 |
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「枡形門」について、丸亀市教育委員会の東信男さんにお聞きしました。 東 「門を閉鎖すると敵は門の前で立往生するので、櫓門の上にある『石落し』から その敵に対して、石だけじゃなく、鉄砲でも攻撃が出来ます。お城を守る施設として、ちゃんとこういうものを備えています」 考え抜かれた堅ろうな「枡形門」の構えには、城ならではの勇壮な美しさがあります。 |
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日本最大の規模を誇った江戸城。古地図で二つの出入り口のついた「枡形門」を探してみると、20か所以上あったことが分かります。 |
江戸城の正門「大手門」も「枡形門」の形式です。登城する際、諸大名は必ずこの門を通りました。 |
外側に面した「高麗門」の扉には、びっしりと鉄板が張り付けられています。金具を打ち付けるための数多くのびょうが、見る者を威圧します。 |
門をくぐった右奥にはどっしりと構える「櫓門」があります。かつて、大名たちはこの巨大な門をくぐって、将軍に拝謁していました。高さは13メートルあまり。二階に広く設けられた櫓部分には、武器を携えた大勢の衛兵たちが常駐していたといいます。 |
参のツボ 長屋門の構えに格式あり
今なお住宅地の中に残る、古めかしい門。江戸時代に造られた「長屋門」です。横に細長い独特の形で、脇の部分は人が暮らす部屋となっていました。長屋門は、武家屋敷の門を代表する様式で、門番や家臣の住む長屋を兼ねていた門です。 |
「長屋門」のたたずまいにひかれ、写真に収め続けている吉田仁さんは、東地方だけで700もの「長屋門」を見つけたといいます。 吉田 「自分で見つけた長屋門が、地図上ではどうなっているのか、住宅地図を見たんですね。広い敷地に門を表す長細い四角、長方形がある。その長方形に通路のところ、二つ線が引いてあるんですね。これが長屋門なんですね」 |
江戸時代に書かれた書物「武家故実書 青標紙」にはさまざまな形の「長屋門」が載っています。 江戸時代、身分や禄高に応じて門の形は厳密に定められていました。特に両脇にある番所の形が、家の格を表していたのです。 門鑑賞、最後のツボ、 |
東京国立博物館の構内にある「長屋門」「鳥取藩主池田家・江戸屋敷正門」です。門の左右両方に立派な「番所」が設けられているのが特徴です。屋根はカーブのついた「唐破風造り」となっており、手の込んだ造りです。 |
江戸時代も終わりごろになると、各地の有力な豪農たちも「長屋門」を構えることが許されるようになりました。 さいたま市郊外にあるこの門は、かつて名主を務め、この地の発展に尽くした小島家の「長屋門」です。しっくいが塗られ、番所の代わりに武者窓と呼ばれる格子状の窓や高窓があります。豪農が構えた「長屋門」の典型的なスタイルです。 小島家では母屋を改築した後も、この門を大事に伝え残してきました。 |
現在の当主、小島徹さんです。 小島 「やっぱり門がない生活はちょっと考えられないですね。これからも代々伝え残していきたいです。最低孫の代までは責任だと思っています。それまでのことはいろいろ考えなければいけないなと思って、今やっています」 |
寺社の門、城の門、そして長屋門。さまざまな形の門は、今も各地で歴史の重みを静かに物語っています。 |
建物の入り口であり、顔でもある門。遠くから見ている時は目印にしていて、「あぁ、もうすぐだ~!」と思うのですが、くぐる時には意識して見上げたことはありませんでした。
お城も好きで良く行きますが、門をくぐっている時は気もそぞろ、天守閣にばかり思いがいっていました。でも、今度からは「門」の美しさをしっかり鑑賞してみないとですね。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Planctus Pellegrin | Therese Schroeder-Sheker |
Stardust | Wynton Marsalis |
Acknowledgement | Johm Coltrane |
Midnight Voyage | Joey Calderazzo |
E.S.P. | Miles Davis |
Sea Glass | Joey Calderazzo |
Robyn, Gentle Robyn | Therese Schroeder-Sheker |
Something Sweet,Something Tender | Eric Dolphy |
Saeta | Miles Davis |
Solea | Miles Davis |
A Night In Tunisia | Art Blakey |
Misterioso | Kronos Quartet |
Lover Man | Marcus Printup |
All Or Nothing At All | John Coltrane |
Clara | Duke Pearson |
John O'connor | Patrick Ball |