日本有数の観光地、函館。 手前に見える函館山は、もともと島でした。長い年月をかけて砂がたい積して陸地とつながり、砂時計のように中央がくびれた珍しい地形となりました。 |
幕末に開港し、貿易港として急速に発展した函館。 |
壱のツボ 復興の歴史を刻む坂道
函館山のふもとに広がる旧市街に、多くの坂道があります。 |
基坂は、かつて函館奉行所や函館県庁、イギリス領事館などがあり、歴史を感じさせる坂道です。 |
明治の初め、貿易港として急激に人口が増えた函館。 |
函館市立函館博物館館長 田原良信さん 田原 「火事を遮断する目的で、道路をまっすぐにして幅を広げた。都市改造という側面もあった」 山の斜面に広がる町を貫くように、いくつもの広い坂道ができました。火災の脅威を乗り越えようとする人々の努力が、美しい坂道を生んだのです。 函館、最初のツボは、 |
都市改造後の函館。町を分断するように、広い坂道がいくつも伸びています。 田原 「道幅が広いことによって美観的に優れた町になった。港を中心として非常に開放感がある」 |
二十間坂は、道幅が二十間=36メートルもあります。函館で一番広く、とびきり開放的な景観を見せる坂道です。 |
函館の人々は、坂道にさまざまなデザインをほどこしてきました。 |
坂道をさらに魅力的にするものが、アイストップ。坂道の突き当たりなどにあり、道行く人の視線を受け止めます。 |
函館市民に最も愛されているアイストップが、旧函館区公会堂。明治40年に火事で焼失した後、市民からの寄付で基坂の頂に再建されました。華やかな洋風建築には、函館を脅かし続けた火事を、人々の知恵で乗り越えたという記憶が宿っています。 |
弐のツボ 和洋が共存 新時代の家
一階は和風なのに、二階は洋風。日本と西洋の建築を切って重ねたような家を和洋折衷町家といいます。 |
北海道大学教授(建築史) 角幸博さん 角 「明治時代は、西洋の文化をたくさん取り入れる流れがあった。函館を含めて北海道はもともと和の伝統文化がなかったので、和と洋の文化が同じ価値を持っていて、どう共存させていくかということが重要な課題だったと思う」 開拓者の自由な精神が、北海道ならではの家を作り上げました。 二つ目のツボ、 |
和洋折衷町家の一階は、ほとんど商店として使われてきました。間口を広く開け放つ伝統的な和風の店構えは、商品の搬入や客の出入りに便利でした。 角 「広告媒体として、自分の商売が繁盛してることを見せたいためのツール(道具)として、洋風のデザインを取り入れたと思う」 |
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和と洋を共存させるため、庇(ひさし)が効果的に用いられています。 |
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板張りの壁に塗られた明るい色のペンキは、遠くからも人目を引きます。 |
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しかし、洋風のデザインは、あくまで外観だけ。 |
こうした和洋折衷町家は、函館独自の景観を作るため、計画的に取り入れられたとも考えられています。 |
昭和20年代の函館。遠くからは 洋風の二階部分が目立ち、どこか西洋の町のようです。 田原 「坂の下から見ると重なりあった一階はあまり見えない。二階を洋風にすれば、一階が和でもいいわけですから、それが和洋折衷町家が流行った理由かもしれない」 |
当時、函館港に降り立った人々は、見たことのない町並みに目を見張ったことでしょう。 |
参のツボ 天地人が生んだ奇跡の夜景
函館を訪れる旅人たちを魅了してきた夜景。町の明かりが一つ一つくっきり見えるほどの光の鮮やかさが、大きな特徴です。函館特有の強い浜風が、粉じんや排気ガスを吹き飛ばすため空気が澄んでいるのです。 |
函館の夜景といえば、標高334メートルの函館山から見るものが最も有名です。 |
函館山は、かつて陸軍の要さいが築かれ、長い間、立ち入りが禁止されていました。 |
この夜景、いつでも見られるわけではありません。両側の海から、濃い霧が上がってくるのです。夏は、3日に1度発生すると言われます。 |
北海道へは取材やプライベートで何度か訪ねたことがありますが、広大すぎてほとんど回りきれていません。行ったことがあるのは札幌や、道東の網走・釧路・十勝といった限られた場所だけ。都市ごとにいろいろな表情がある北海道だけに、もっと他のところにも遊びにいきたいなぁと思っていたところ、今回の美の壺「函館」は私にとってもタイムリーでした。西洋風と和風が融合した建物、人の温かみを感じる光が作り出す夜景は必見ですね!そして、私が特にひかれたのは“坂”です。坂に囲まれた所で育ったので、函館の坂道に懐かしさを覚えました。しかも、それぞれの坂に名前がついていて、幅や路面に特徴があるのだとか。坂の傾斜や名前の意味を考えながら坂道をゆったり歩きたいです。
楽曲名 | アーティスト名 |
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函館の女 | 島津伸男 |
Toto Sexy | Antonio Farao |
Midnight Dance Hour | 嶋津健一 |
My Romance | Keith Jarrett |
Live in Amiens | Bugge Wesseltoft |
April in Paris | Stefano di Battista |
Greensleeves | Ron Carter |
Child Dance | 寺井豊 |
Love For Sale | Stefano di Battista |
So Near, So Far | Miles Davis |
The Cascades | Joshua Rifkin |
Ascension | Barry Harris |
Do You Know What I Means To Miss New Orleans | Stephane Grappelli |
Try To Change | Antonio Farao |
Simone | Richard Davis |
As Time Goes By | 安田芙充央 |
Stardust | Michael Buble |
Softly As In A Morning Sunrise | Don Street |
Bluestone | Just Another Mind |
My Romance | Chris Botti |