遷都1300年を迎える今年、古都・奈良は古代のロマンにつかりたい人々でにぎわいを見せています。 |
中でも注目を集めているのが仏さま。 |
壱のツボ 「気」が生み出す神秘の姿
古代中国、世界は「気」によって作られており、聖なるものは「気」を強く発すると信じられていました。肩から立ち上がる「気」は仏さまの秘められた力を表すものでした。 |
仏教が伝わったばかりの飛鳥時代。 日本の仏師たちも、懸命に「気」を表現しました。 飛鳥時代の傑作、中宮寺の菩薩半跏(はんか)像の長い髪は、下へ流れてゆくはずが外へはね出しています。 曲線の繰り返しによって「気」を表しているのです。 |
神秘的な飛鳥時代の仏さまの秘密は全身に施された「気」の表現にあったのです。 |
弐のツボ 全身で表す喜怒哀楽
ちょうど1300年前、今の奈良市に巨大な平城京が誕生します。 寺が次々と建てられ、新しい様式の仏像が作られるようになります。 |
奈良市の新薬師寺(しんやくしじ)に、この時代ならではの特徴を持つ仏像が残されています。本尊の薬師如来像を囲み、円陣を組む十二神将(じゅうにしんしょう)像です。 |
仏教に敵対するものを一歩も入れまいと、怒りをあらわにしています。 飛鳥時代の仏像と比べてみると、とても個性的なポーズをしています。手足や首を縦横に動かして、怒りを全身で表現しています。 |
十二神将は塑土(そど)といわれる土を用いて作られます。この生き生きとしたポーズの秘密は、像を形づくる木製の骨組み・心木(しんぎ)にあります。 山崎 「体の動きにあわせて、骨格となる心木があります。左右の動きが、ある程度微調整できるんです。だから、おそらく心木を立てた後でも体の動きというか、少し強調したいときに微調整したんだと思います。」 |
山崎 「頭から腰のところに達する心木は少し前傾しています。横木のところにちょっと掘り込みを入れて前に倒れるように作ってあるんです。やはり立体感を出したいという意欲があったんでしょうね」 |
さらに土にもくふうがありました。 表面の肉付けに使うのは、砂に和紙の繊維を混ぜたきめ細かい土で、乾燥しても縮むことがありません。 作り手の微妙な手の加減を、そのまま仕上げに反映させることができます |
山崎「人々が仏さまに対する期待といいますかね、実際に自分たちをすぐに助けて欲しいという。だから静かに立っている、遠くに立っている存在ではなくて、もっと身近に具体的に助けてくれるような存在であって欲しい。それが写実的な彫刻というものに結びついていくんですね」 今にも動き出しそうな奈良時代の仏像。 そこには、仏さまに間近にいて救って欲しいと願う人々の、熱い思いが込められていました。 |
参のツボ 玉眼がつくる仏のまなざし
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源平の争乱が始まろうとしていたころ、大和路にまったく新しい表現を持つ仏像が登場しました。 現存する最古の一例が天理市にある長岳寺の阿弥陀三尊像です。 目が輝いて見えませんか? 人間の眼球をまねて水晶で作った目、玉眼(ぎょくがん)を用いています。 |
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鎌倉時代に大流行した玉眼。よりリアルな表現を追及し、瞳の潤いだけでなく、玉眼の奥にもくふうが凝らされました。 まず水晶を削ってレンズのような形にします。そして裏側から瞳を描き、和紙を当てて白目を表します。 |
さらに、水晶の両端に赤く染めた和紙をはさめば血走った目になります。 玉眼は潤いや輝きだけでなく、裏側のくふう次第でさまざまな目の表情も作り出すことができたのです。 |
こちらは、静かにめい想する大日如来(だいにちにょらい)像。仏師・運慶の作です。 わずかに開かれた目からこぼれる光。 赤く縁取られた瞳は、自らの心の中を凝視しているかのようです。 |
“仏像”って不思議ですよね。向き合っていると、その時の自分自身の心を鏡のように映していると思えてくるのです。悲しい気持ちで見ているとまるで泣き顔のように見え、幸せな気持ちのときはほほえみを投げかけてくれているかのようです。初めて仏像を間近で見たのは、修学旅行で訪れた奈良県の中宮寺にある「菩薩半跏像」でした。建物の中に入ると、外のけん騒がうそのようにシーンと静まりかえり、独特の雰囲気のためか鳥肌が立ちました。思春期特有の悩み多き(?)時期に見た仏像の印象は、とても穏やかで、気持ちがすう~っと落ち着いていったのを今でも覚えています。いっしょに居たクラスメイトにそのときの気持ちを話したら、「私は眠たそうな顔に見えたよ!」って言われました・・・。彼女はきっと夜更かしをしたのでしょう。大人になった今の私が同じ像を見たらどのように感じるのか、平城遷都1300年を機に確かめにいこうかなと思います。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Blue Monk | 渡辺香津美 |
Over the rainbow | Dave Koz |
Solitude | Herbie Hancock |
Three lines | Thierry Lang trio |
Elders of Zion | John Zorn |
Teqiah | John Zorn |
You go to my head | 安田芙充央 |
As seen from above | Jan Garbarek |
Lapin | 橋本一子 |
Baile Exorcisomo | 菊地成孔 |
Greensleeves | Ron Carter |
Redial | 赤松敏弘 |
Rosemary's Baby | Jan Lundgren Trio |
Nuages | 渡辺香津美 |
Penny | Fabrizio Bosso |
It never entered my mind | L. Hart |
Tranquillity | Bobby Hutcherson |
Where do we go from here | 小曽根真 |