お茶の産地として知られる中国・杭州(こうしゅう)。 |
中国の人々にとって、お茶がない暮らしなんて考えられないそうです。 |
仲間たちが集うときも中心にあるのはお茶。 |
茶会の最大の楽しみは、持ってきた急須の見せ合い。 |
壱のツボ かたちにひそむ物語を探せ
張東蘇さんです。 張 「ぼくらは中国茶と紫砂茶壺が大好きなんだ。この2つは世界で一番素晴らしいものだよ」 紫砂茶壺ってなぜそんなに魅力的なんでしょうか? |
紫砂茶壺が登場したのは、中国でお茶が広く飲まれるようになった明の時代。 |
江蘇省(こうそしょう)・宜興(ぎこう)で代々続く紫砂茶壺の工房。 |
器全体で、急流をのぼる鯉(こい)が龍(りゅう)になるという伝説を表した魚化龍壺(ぎょかりゅうこ)。立身出世の願いがたくされています。 一つ目のツボは、 |
一見シンプルなかたちでも、そこに深い思いがこめられた茶壺もあります。 |
このかたちの茶壺が生まれるきっかけになった井戸が、江蘇省の地方都市・溧陽(りつよう)に残されています。 |
呉遠明さんです。 呉 「たくさんの職人がさまざまな茶壺を作りましたが、それはすべて生活の中から生まれたものです。ほかの材質のものと違い地味で質素ですが、紫砂茶壺は中国人の生き方を後世にまで伝えていくものなのです」 茶壺のかたちは、中国の人々の心までも語りかけてくれます。 |
弐のツボ 道具一式で味わう悠久の時間
最近日本でも、多彩な道具を使う中国茶ならではの世界を楽しむ人々が増えています。 |
茶器一式です。 二つ目のツボは、 |
杭州の茶館の店員・張二敏(ちょうにびん)さんに、道具一式の使い方を教えていただきました。 |
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見慣れないたくさんの道具を使って、時間をかけ、何杯も重ねるうちに、お茶に酔うような独特の心地に誘われるといいます。 |
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いにしえの詩人は、そんな心地を詩に歌っています。 |
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さまざまな意匠の道具でお茶を味わい、過ごす、ゆったりとした時間。 |
参のツボ 肌つやにこめられた養壺のこころ
さいごは紫砂茶壺の肌つやに注目します。 |
紫砂茶壺の産地・宜興(ぎこう)で代々続く名門の職人、范さん姉弟が、先祖が作った名品をみせてくださいました。 范 「紫砂茶壺はコレクターや、茶を愛する人の手に渡り絶えず使われ、手で愛(め)でられることによってつやを増します。いろんな人たちに使われてこそ、紫砂茶壺の価値や美しさは高まるのです。これはわれわれ職人にとっても喜びです」 |
茶壺の肌を美しくするため使い込んでいくことを、 三つ目のツボは、 |
杭州の茶館のあるじ龐穎(ほうえい)さんも養壺に熱中するひとり。お茶をのむたびに養壺をしています。 龐穎 「繰り返しお茶と熱湯をかけて磨いていると、表面の穴ひとつひとつに茶の香りが満ちて、茶壺はますます美しくなります。日ごとに自分の手の中でつややかに変化し、おいしいお茶を飲ませてくれる茶壺に愛情を感じます」 |
見事な肌つやの茶壺。壊れたところは、金粉と漆を使ってきれいに修理されています。 |
龐穎さんの茶館の棚には、お客さんが店に預けている茶壺が収められています。 |
茶を味わい、養壺するゆったりとした時間。人も茶壺も、同じお茶をたっぷりと味わいながら、ともに時を過ごしていくのです。 |
茶館の常連・戒清法師の言葉です。 |
突然ですが、問題です。
この豚の置物(写真)、何だと思いますか?
正解は・・・・・・後ほど。
この三匹の子豚くんたちは「中国」からやってきました。
北京オリンピックが開催された2008年にある番組で経済成長著しい中国へロケに行ったときのこと。移動や取材などで毎日ハードスケジュールだったのですが、奇跡的に帰国前日に半日ほど時間が空いたのです。せっかく来たのですから、少しは中国を満喫したい!!私は中国語が話せるスタッフと共に北京の街を散策しました。何気なく「前日に飲んだ“中国茶”が美味しかった」と話すと、その方はある場所へ連れていってくれました。そこは10階建てくらいの大きなビル。実は、その中はすべてお茶関連のお店が集まっているところだったのです。ウーロン茶や鉄観音茶などのさまざまなお茶や、茶器などが所狭しと並ぶ中、目にとまったのがあの豚くんたちでした。なんだか自分の母親の体型を連想させる姿に、見ているだけで自然と笑顔になっていました。私は迷わずこの三匹を購入し、日本に持ち帰ったのでした。
で、豚の置物は何に使うものなのか、突然ですがクイズの答えです!
正解は「養壺(やんふう)するためのもの」なのです。上からお茶をかけ、独特の光沢や味わいを作り出し、自分色に育てあげるのだそうです。
家ではただの置物になっている、三匹の子豚。まだお茶を飲ませていないので、いつかたっぷり愛情を注いであげたいと思います。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Cherokee | Wynton Kelly |
Yang Guan Melody | Wu Xiao Zhong |
So Many Stars | Earl Klugh |
Suzhou scenery | Shanhai Orchestra of Traditional Chinese Music |
Us Three | Horace Parlan |
Birds Adoring The Phoenix | Ren Tong Xiang |
Flowers And Water:Composition | 菊池成孔/南博 |
Waltz For Debby | John McLaughlin |
Fishermen's Song | Li Xiang Geng |
I Got It Bad | Marcus Roberts |
Lujon | Henry Mancini |
Single Petal Of A Rose | Marcus Roberts |
Lush Life | 菊池成孔/南博 |
Plum Blossom | Tan wei Yu |
Creole Blues | Marcus Roberts |