昭和のはじめごろ、都市の近郊に新しいスタイルの家が次々と建てられました。 |
こちらもそんな家のひとつ。昭和9年に建てられた東京・練馬の佐々木邸です。 |
古さと新しさががとけ合っているのは、このころの住まいの特徴。客を迎えるのは洋風の応接間。しかし家族の日常生活の場は、昔ながらの和室です。 |
壱のツボ 新しい住み方が間取りを変えた
佐々木邸を調査した建築史家の内田青蔵さん。 内田 「プライバシーがないとか、いろんな問題がわかってきた。それをどう解決するかということで、一番大きいのは、廊下というものが住宅の中で重要なものとしてはいってくる」 |
典型的な昭和の家の間取り図。家を貫く「中廊下」ができたことで、目指す部屋に直接行けるようになりました。 「新しい住み方が間取りを変えた」 |
住宅への関心がかつてなく高まった大正時代。近代的な暮らしに合った理想の住まいとはどのようなものか、議論が繰り広げられます。 |
建てたのは、当時成長をとげていたサラリーマン層でした。 |
太一さんの孫の辻寛さんです。 辻 「50歳で会社をリタイアして、自分と家族の生活を楽しむということで、この家を建てたということになりますね。わりと空間がゆったりしている。開口部が広くて、風通しがよいという……そういう意味では、自然と一体となった暮らしができるようにということが、あったと思います」 |
昭和の家で間取りに加えられた、もうひとつのもの。それは、ガラス越しに光が降り注ぐ広縁です。 |
弐のツボ 異国の装いで世界にひとつだけの家
昭和の家ではしばしば見られる、玄関脇の小さな洋館。家ごとに思い思いの装飾をほどこし、異国を思わせる雰囲気を作り出しました。 |
施主の親族で現在の住人の塚原浩子さんです。 塚原 「洋館がついていると、普通の日本家屋にはない個性が加わるということでしょうか。出窓が私のお気に入りなんですけれども、外から戻ってきたときに小さな明かりがともっていると、おかえりなさいって言ってくれているようで、ほっとする瞬間です」 二つ目のツボは、 |
大正から昭和にかけて、家の一部に洋風を取り入れることが流行します。モダンな生活への関心の高まりを、小さな洋館が表現していました。 |
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洋館付き和風住宅の傑作をご紹介しましょう。 |
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屋根は、スレートという石でふかれています(ヨーロッパの山あいなどに見られるスタイル)。 |
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玄関周りの壁は、「洗い出し」と呼ばれる技法。セメントに混ぜた砂利を表面に露出させ、変化を生み出しています。 |
参のツボ 実験住宅に和モダンの極致あり
昭和のはじめ、最先端の住宅は、建築家自身の家でした。 |
前川は、近代建築の父と呼ばれるル・コルビュジエのもとで、モダニズム建築を学びました。吹き抜けを中心にすえたダイナミックな空間は、師から受け継いだもの。 三つ目のツボは、 |
京都・大山崎。新時代の和風を生み出そうとする実験は、ここで始まりました。 |
居間を中心においた、現代に通じる間取りです。直線と曲線を組み合わせた幾何学的なデザイン。 |
藤井厚二は、日ざしや気温の変化を研究し、日本の風土に適した住宅を追い求めます。丘の斜面から、土管を通して室内に風を取り入れる仕掛けも考案しました。室内で暖まった空気は天井の排気口へと導かれ(左の画像)、屋根裏から外へ出ます。 |
松隈 「当時、やっぱり日本の住宅って違うんじゃないのと、もう一回考え直そうじゃないかというのが、ムーブメントとなっていて、かなりの建築家が参加してるんですね。昭和のはじめの時代というのは、一生懸命日本人の住宅を考えた時代だと思うんですね」 日本人にふさわしい住まいを探求した建築家たちの試み。それは戦後、そして現代にいたる家づくりに、大きな影響を与えました。 |
子どもの頃に住んでいた家は“昭和レトロの家”そのものでした。 父が勤めていた会社の社宅で、戦前に建てられた木造二階建ての一軒家。はじめは会社の社長一家が住んでいたそうで、出窓のついた応接間や、どっしりとした大きな柱や床の間にこだわりが感じられる家でした。ですが、人が住んでいない時期があったためにあまり補修されていなかったのです。私たちが住む頃にはかなりがたが来ていました。家の基礎の部分がゆがんでいたのか、テーブルに置いたおはしがコロコロ転がったり、冬は透き間風が入ってきて、ストーブを使ってもなかなか暖かくならなかったり・・・。そんな家でしたがここでの生活はおもしろいものでした。転がるおはしのおかげで食卓はいつも笑いが絶えませんでしたし、足に毛布をかけて寒い夜はみなでくっついて映画を見たりして過ごしました。その後、何度か引越しを経験してさまざまな家に住みましたが、今はもう壊された、あの“昭和レトロの家”がいまだに思い出されます。メンテナンスはとても大変だと思うのですが、いつかまたあのような古い家に住みたいと思っています。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Twilight Time | The Three Sounds |
Everything Happens To Me | Stan Getz |
Tomorrow Is My Friend | Henry Mancini |
Penthouse Serenade | The Three Sounds |
Cleopha | Arnold S.Caplin |
All The Things You Are | Bob Thompson |
There's Yoo-Hoo In Your Eyes | Joe Loss & His Band |
Loose Duck | Wynton Marsalis |
How Are Thinga In Glocca Morra ? | Wynton Marsalis |
Glow Warm | The Three Sounds |
Dinner For One,Please,James | J.J.Johnson |
Jazz Samba | Bill Evans & Jim Hall |
Tenderly | Nat King Cole |
Milestones | Turtle Island String Quartet |
Mother Nature's Son | Joel Frahm with Brad Mehldau |
Don't Miss You At All | Norah Jones |
Up Jumped Love | The Three Sounds |